重要!耐震性の基本は法律をまず守ること その1

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よくある住宅の2つの基礎形状。この他独立基礎もある。

異種基礎の禁止って知っていますか?

その説明の前に日経ホームビルダーという住宅業者専門誌にこの度の熊本地震の特集があり、

「長期優良住宅を取得した住宅が倒壊した原因を検証」

とあり途中検証ですが良い情報が掲載されておりました。それは「その2」で詳しくご案内しますが、やはり現行の法律を守らないで設計し、又は施工した場合が多いと考えられます。

その1の本題ですが・・・

家の設計で一番大事なことは

耐震性です。

外観の格好良いデザインでも、断熱性でもありません。

耐震性とは正しい構造設計と正しい施工です。そこを是正せずに法改正しても仕方ありません。

ところがこの異種基礎の禁止の規定が法律であるにも関わらず、異種基礎で造られている建物が今だ多く見かけられます。

阪神大震災以後法律は耐震性の法律は大きく変わりました。この変わるときに、パブリックコメントが実施され、その中で建築業界の最大組織である日本建築学会の基礎構造運営委員会で

「この異種基礎の禁止を定めてた施行令38条の2は必要無いので削除してください」との意見をだしました。

しかし国交省(当時建設省)では

「構造計算を必要としない小規模の建築物に対しても、安全性を守る為必要」

との見解を示し削除意見を退けました。

ここでいう「構造計算を必要としない小規模の建築物」とは主に延床面積500m2(150坪)以下の住宅の事ですから、一戸建て住宅の9割以上が該当する普通の家の事です。

よって現行法では原則「異種基礎の禁止」を明確にしております。特にこの法律は住宅のためにあるような法律であることをQ&Aで明確に位置付けております。

以下にその表を示します。

国交省HPより。

さてこの異種構造の基礎の禁止とは一体なんぞや?

と思われると思いますが、実は大変身近にあります。

布基礎とべた基礎は全く違う構造である。

この法律をわかっているどうか知りませんが、業界紙、専門誌にも異種基礎の疑いがある光景をよく目にします。例えば玄関ポーチの柱の基礎・・・

ここはよく基礎型式が母屋のべた基礎と違って独立基礎だったりします。

基礎工事が終わったある現場。これが異種基礎と考えられる。

「緑の家」はそれを嫌って玄関屋根には柱を設けません。実はこれは異種基礎を避けた上でコストを最小にする為にポーチ柱を取りやめたものです。

玄関屋根を支える柱を無くしたため基礎も省くことができた。

浮いた屋根には意味がある。

このように異種基礎避けつつ外観のデザインがそのままコストダウンと法律遵守につながっております。こういった設計が出来るのは、意匠設計と構造設計が同一技術者が行っているからです。

また玄関ポーチの次によく見る異種基礎ななりそうな建物部分は・・・

「緑の家」である矢代田の家の組み込み車庫。

このような住宅に組み込まれた車庫です。特に2台並列に止める事ができる車庫は、開口部が5m以上になるので、べた基礎にすると地中に大きなコンクリート製の梁を設けなければなりませんからコストが掛かります。よって巷でよく見る組み込み車庫は、ほとんど異種構造の基礎(違法)になっております。

「緑の家」の組み込み車庫は・・・

エキスパンジョイントとは、異なる構造の建物同士が地震等で損傷しないように設けた継ぎ目のこと。

このように住宅と車庫が一体に見える「矢代田の家」は、エキスパンジョイントを設け、構造的に別の建物となっております。このようにして法律遵守とコスト、デザインの最適化・工夫をしております。

さて・・・構造的な違法性がある建物は20年まで遡って責任を負うことになりますから設計者も大変気をつけておりますが、それでもこの異種基礎は巷で氾濫しております。

ではなぜ氾濫するか?

それは現在の確認申請が誰も(行政)チェックしないこと、また発覚後の処罰も甘い制度になっているからです。

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