建築技術2018年1月号買いましたか? その3 
欧州建物と軒の出のない建物のリスク 夏型結露から

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その3です。

その3はまず本間先生と南先生のやりとりから・・・

本間先生の一言がキョーレツ・・・。建築技術の座談会のページからの抜粋。

まず・・・最近ちょこちょこと耳に入る単語で、

「逆転結露」とか「夏型結露」

等の懐かしい単語があります。

懐かしいと言ったのは、

既に25年以上前に夏型結露についてはほぼ終わった問題だったのですが、超高断熱住宅が10年前から本州でも建築され始めてちょうどその頃、欧州の建築物で壁内結露の問題がでるようになりました。

建築技術の座談会のページからの抜粋。
多分、30年前の高気密高断熱の時代を知っている人は通気層を省くことはしない。

まず日本と欧州の建築物の決定的な違いは・・・夏の気候です。

日本の小規模建築物では外壁に通気工法がほぼ高い確率で採用されているの対し、欧州の小規模建築物には、通気工法が採用されることがありませんでした。

この違いには夏の気候状態が大きく影響しており、日本の特に本州以南では、高気密高断熱住宅に限らず外壁にかかった雨水を早く乾かすことにおいても、また台風などの暴風時にも外壁部陰圧で壁体内に雨水が吸込まれる防止策としても、陰圧を和らげる通気工法が認知されておりました。これは元々日本の住宅の外壁の多くが木貼り+土壁の外壁で、これらは貼るだけで通気工法となっておりましたから、理論はしらなくとも外壁通気工法が、田舎の大工さんでも一般的に受け入れられておりました。また同時に当時爆発的流行になった窯業系サイディングの劣化防止にも、通気工法にして外壁材表面の防水塗料を使う事が必要だったのです(当時の窯業系外壁は雨水浸透性が高いとボロボロになった)。

実は私がまだ事務所開設前の職場で、新潟大学と一緒に夏型結露の実測行い、既に今言われている「夏型結露」は連続冷房による室内側が低い温度が主原因ではなく、吸放湿材の蒸し返しによるものだとの結果を知っておりました。行った実測では東西壁内においてRH(相対湿度)100%(結露)を短時間発生する事があり、その現象は木材から湿気の放出とわかっておりました。しかし、通気工法設けGWの外側がタイベックであれば一時的に発生する結露は、直ぐに乾き特に問題にならないと、当時の建築学会で発表される数多くの論文で結論付いておりました。

最近再び問題になったのは、通気工法を採用せず、また室内側に防湿層を採用しない建築物が出てきたためです。また拍車をかけるように、雨水のかかりやすい外壁構造・・・所謂軒の出の無い建物(住宅)が流行したこともその環境を作りました。

建築技術2018年1月号ページからの抜粋。是非購入して全文目をとおしてほしい。

今回の特集号で

「夏の内部結露(逆転現象)のメカニズム」

との題で執筆された齋藤宏昭先生(足利工業大学)によると、

夏型壁体内結露防止は、

  1. 通気層(機能が正常な)を設ける事
  2. 乾燥材をつかうこと

の2つをまもれば殆ど問題にならないと、25年前とほぼ同じ結論。ところが、近年外壁に雨が直ぐにかかるような建物が多くなったので、雨水が由来の内部結露が散見されるとの事。

建築技術2018年1月号ページからの抜粋。まるで私が書いているような内容の文面 。ダブルのクロス通気胴縁の安定さがなぜ大切なのかとか・・・是非購入して全文目をとうしてほしい。

「梅雨時期のない国の建物外観をまねてはいけない」と他の国の建物デザインを全否定するつもりはありませんが、その地域の気候風土にあった建物が、皆さんがよく目にする普通に作られた建物形状で、それが時代を経て経験した「無難な形状」なのです。特に根拠がない場合はその無難を受け入れる事がユーザー(建て主)にとって、本当のメリットになる場合が多いと私は考えております。だから「緑の家」は目新しい形状、流行を追うことなく、軒の出があるバランスのよい建物外観を今後もご提供したいと考えております。

通気層がなくとも(機能しなくとも)室内側の防湿シートの代わりに可変透湿シートを使った場合は、ほぼ問題ないことも最後に付け加えておきます。ただしこの場合、室内側に湿気が入り込むため、除湿負荷(潜熱負荷)が大きくなるのでその対策は必要です。

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