「緑の家」のクロス通気工法と庇

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今日、今年最初の工事監理は「関屋の家」の外壁下地チェックだった。

改めて「緑の家」って基本性能をしっかり先取りしていると思う。

昨年末に紹介した「建築技術2018年1月号」の特集「結露」の中で何回も題目に上がった「夏型結露」「逆転結露」・・・。

その防止策は何時も行っている正しい通気工法が最も効果的であるとの記載がある。

またそれを「原理原則」とまで言い切っている。

そんな大事な通気工法を「緑の家」は愚直にしっかりと20年前から行っている。

そんな通気工法なんて20年以上前からやっていたよ・・・。

という方が殆どであろうが、下の写真をみてほしい。これは「緑の家」の外壁の出隅下地。

この縦と横を組み合わせたクロス通気工法は、「緑の家」のオリジナル。まるでザルのように縦横に木が組まれるので、表面に平らに木板を張っても、

必ず、必ず・・・

空気は留まることなく外気につながって行く。特にこの外壁出隅部分はクロス通気工法を行わないと、ほぼ通気が出来なくなる部分(間違いだと思う方は他の現場のこの部分を見ればわかる↑)。それは上の写真で一目瞭然。横胴縁で浮かした縦胴縁なのでその下を空気が流れ、壁の湿気と縦胴縁の湿気を通気層から排出する。手間がかかるが、私はここが大事だと思うとそれを様々な工務店さんでも確実に施工出来るようにその仕様を考える。それは「緑の家」が入札して頂いた初めて施工会社でも、大事なポイントを間違えずに簡単な工事監理で行えるように考えているから。通気工法を行えばそれでよしとする事と全く違う。大事なら誰が施工しても(新米の大工さんでも)必ず通気するように考えるのである。

だから今日の工事監理でも、

窓下回り部分。クロスの最初の横胴縁のみ。この後クロスの縦胴縁が施工される。

まだ横胴縁しかない外壁下地だけでも安心にしてチェックして帰ることができる。・・・効率的な工事監理。工事監理が効率的なら建て主さんに恩恵がある。無駄な監理コストが避けられて且つ完全な通気工法ができるのである。

そしてこの付加断熱のフェノバボードが120mm柱外に貼られた外壁に取り付く窓は外壁より120mm内側にはいる。

だからこそ庇が必要になる。

大きめの庇が外壁雨漏りの一番の弱点である窓部分を保護する。

Aグレード仕様の窓全てには庇が全て計画される。最近は庇がない又は小さい庇の家が流行しているが、きっとこのくらいの大きさの庇もあと10年後には

「窓廻り大事なのは大きめの庇・・・」

と建築技術に載るだろう(・・・というか私は既に7年前に寄稿した)。

今回の通気工法と同じように、「緑の家」は大事な、大事なポイントは必ず省かない。これはデザイン以前の問題、いやそれが本当の建築デザインだと私は思う。

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コメント

  1. batap より:

    いつもブログで勉強させていただいています。
    今回の記事内で窓が外壁より引っ込む場合、「だからこそ庇が必要」なのはどんな理由ですか?
    現在、庇をつけるか、外部シェードをつけるかで悩んでいるので参考にしたいです。
    よろしくお願いいたします。

    • Asama より:

      batap様
      コメントありがとうございます。

      まず・・・一般的に庇とシェードとは目的が全く違います(真南以外)。庇は雨による劣化防止と防水強化のため。シェードは日射侵入防止と目隠しのためです。

      今まで通りサッシが外壁と同じ位置にある場合、外壁表面から侵入した水はサッシ上部から外へ排出されますが、外壁ラインの内側に付ける場合は、納まりによっては外壁内に溜まることもありますし、サッシ下にある皿板に雨水が跳ね返り、その部分の痛みが早くなります(10年経過後差が出る)。よって庇で雨水をサッシから遠くに離すことが利に叶った形状です。10年くらいのスパンで考えるのが住宅建築です。

      詳しくは「取り替え 窓」の語句で「緑の家」内のブログを検索したリンクを読むと話がつながると思いますので、その検索結果を下に置きます。
      https://arbre-d.sakura.ne.jp/blog/?s=%E5%8F%96%E3%82%8A%E6%9B%BF%E3%81%88%E3%80%80%E7%AA%93
      特に2012年以前の記事が詳しいと思います。