屋根の劣化はなぜ起きる
 国総研資料から 防水シートが大事!

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以前のブログでも何回か説明しましたが、屋根の防水性は一重に防水シートで保たれております。特に瓦屋根は風速15mを超える風雨になると結構な量で瓦の裏側に水が回ってしまいますから、防水シートがない場合は漏水します。その特性も↓のように報告されております。

そこで大事になるのが防水シートの性能です。

防水シートを屋根に留めつけるのにも、また屋根仕上げ材(瓦やスレート、金属も含む)を施工するにも釘がその防止シートを貫通し、1m2あたり20個以上の釘穴が生まれます。この釘穴があっても、その下に漏水しないことがこの防水シートの特性でなければなりません。そこで下のような実験を行い、どのシートが釘穴漏水に対し有効かを曝露実験しております。

無論気温も、一般的に防水シートの不利になる冬季で、しかも氷点下-6.8℃から15.7℃の厳しい条件です。

結果は前回もご紹介しましたが、

となり

漏水しなかったのは改良アスファルトルーフィングや改良アスファルトフェルト(所謂ゴムアス系)であり、一般的なルーフィングやフェルトと透湿防水シートは漏水が認められました。

今屋根防水シートでトレンドの「透湿防水ルーフィング」で更に細かくメーカー別の5製品を調べても同様の傾向です。しかし透湿防止シートは、僅かな漏水があってもその特性で早期乾燥が期待できるため、漏水=NGにはなりません・・・とこの報告書には書かれております。ただ、まだ歴史の浅い透湿防水シートの経年劣化はまだ未知数です。

というのは・・・

屋根は地上の建築部位で最も条件が厳しい箇所です。真夏の最高の温度は70℃を超えますし、冬は氷点下10℃にもなる事さえあります。その過酷のなか、その防水性を30年以上維持出来るか・・・まだそこまでの実績はなく、現在10年くらいを経過したところ・・・と言えるでしょう。

屋根仕上げ材はこの過酷な状況で30年維持出来るように石や金属、ガラス、セラミックスに限られておりますね。

なぜここまで慎重になるかと言えば、

建築業界は過去何度も「想定外」を経験して来たからです。

それはこの国総研のレポートにもあり、例えば下ように

金属である水切りが、土台に防腐剤として染みこませた銅やホウ素で腐食する事がつい最近わかったり、壁の防水透湿シートが上と同様に防腐防蟻剤でその防水性をなくしたりする現象が、施工後10年でわかったりしております。

人が科学的に造った材料(透湿シートなど)は、やはりその実績が乏しいので慎重に採用したほうがよいと考えております。部材メーカーは何時も「想定外」といって建て主さんに対するその責任をとりませんから。

しかしわかっていることとは言えこの国総研の資料から様々な裏付けが得られますね。

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