2023年建築学会梗概集からの 論文② 第三種換気の問題

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いきなり結果を示す表の掲載である。C値0.1m2/m2以下の家でも給気口から40%しか入ってこない。残りの60%は他の隙間からである。

ようやく少し余裕が出来たので再び2023年の建築学会梗概集から興味深い論文を取り上げてみる。その②は上のグラフで、第三種換気の実際の給気口から入る新鮮空気の割合である(実測値と計算値)。

いきなり第三種換気を推進している人には衝撃的な表であるが、シミュレーションであると気密性能がC値が0.1cm2/m2くらいであれば80%位は給気口から新鮮空気が入るといわれているが、今回の実測値では40~50%である。しかしこの論文中にもあるが、実際の換気量はトレーサーガスなどによる実測で初めて精密に計測できるが、今回は風量計で給気口の風量測定のようであることに注意してほしい。

さてまず題と発表者であるが、

このブログで取り上げた図、表は全て上の筆者らの論文からの転載である。

であり、目的は、

LDKが60~80m3/h必要かどうかは異議のあるところだが、寝室個室は最低でもそのとおりだと思う。

となっている。実はこの題目は35年ほど前から同様な測定は行われており、そう当時私も研究者であったため、この第三種換気の欠点は当時からわかっていたので、この30年ほどは第一種換気システムしか推奨していない。当然「緑の家」家も26年間第一種換気システム(熱交換無しと有りの両方)のみを使ってきた。この論文では、

C値0.36cm2/m2の22coi1の住宅のでは、給気口から入る風量は排気に対して34%しかない。

C値0.36cm2/m2の22coi1の住宅では、給気口から入る風量は排気に対して34%しかないが、少ないながらも各給気口から入ってくるだけでも立派である。私が実測した家では、風下の給気口からは0やマイナス給気となっていた。

決して気密性能は悪くない10件の家であるが、最高でも51%しか給気口からしか入らない。

C値0.03~0.84と決して気密性能は悪くない10件の家であるが、最高でも52%しか給気口からの新鮮空気が入らない。排気量さえ満足すれば家全体換気量としてシックハウス法の主旨は満たすが、期待した給気口の給気量はできればシックハウス法を満たす給気量であってほしい。また一方で人一人あたりの25m3/h程度の新鮮空気を期待して換気しているだろう。その点半分以上が実際は壁体の間等を通って入ってくる空気でありそれを「新鮮空気」と呼んでよいのか疑問であると私はやはり思う。また仮に排気用換気扇(排気口)の近くの隙間からショートサーキットで空気が入ってくれば、換気量を満たしても実際家の換気はされないところがある・・・といえる。そんなあやふやな換気が第三種換気である。

まとめでは、測定方法に間違いがあったのか検証する必要があると結んでいるが、多少の違いがあっても第三種換気はこのような傾向になる事は30年前から換気の専門家の中では周知されている。よって近年の第三種換気を薦める理由は、その長期安定性(汚れによる風量減がすくないこと)だけとなるが(導入コストは熱交換無しであればそう変わらない)、これらは、近年の自動車がセンサーで進化したように、フィルターの汚れなどの換気不足をCo2センサーでその感知を行い居住者に知らせればよいシステムにすればよいと思う。

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