梅雨時恒例の水害対策について

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新潟市のハザードマップ2011年。水色のところが海抜面以下の土地。

こちらはご存じのハザードマップである。この地図をこのブログで取り上げたのは、まだ一般への公開を行っていない2011年の4月である。この時は新潟県のハザードマップは国交省の出先機関や県の事務所にしか掲示されておらず、市民には積極的に公開されていなかった。

悲劇を繰り返さないため建築士としてできる事。
こちらは一般に市販されていない 「新潟 デジタル標高地形図 1:2万5千」というポスターです。 海や川以外の青い色...
2011年の4月のブログ。青みがかったところが全て海抜面以下の土地。海抜2m以上は極限られた砂丘地域にしか存在しない。

その2年後にネットなどでようやく一般公開されるようになった。さらに2020年7月に、宅地建物取引業法施行規則の一部が改正され、不動産事業者は物件の売買などの取引時において、洪水、雨水出水、高潮といった水害ハザードマップを利用して、そのエリアに潜む水害リスクを説明する規定が盛り込まれた。その点からみれば当ブログの素早さは褒められても良いかもしれない。

さて昨今洪水被害の報道が多く、大手住宅メーカーも水害を免れる住宅として対水害商品を売り出している。対策も国交省の外郭団体から様々な対策住宅が検証されているが、私はへそ曲がりで水害の対策は「低地に住まないことにつきる」としか言えない。つまり水害対策をまず語るなら何時どこに来るかわからない地震対策とは全く異なり、「低地に住まないこと」が大原則。それでもやむなく低地に住まなければならなくなったときには、命を守る行動が優先として考えるだけでよいと感じる。

河川の底より低い土地もある。また土手の高さが異常に高い。

上の図は国交省のHPからの転載であり、これを見ると市の住宅地の多くが海抜面±2m以内にある新潟市とかわりないように感じる。こんな状況で個人の住宅だけ浸水対策しても、地域が水没し水道はおろか下水まで使用出来なくなったときに、住宅の復興は数日間は何もできないと思われるからだ。大概水害は夏場に起こるのでその数日間で家の状況は、匂いや水濡れで最悪になり、家財及び水没した建築部位のほとんど解体処分することになる。

パリでは土手より低い土地がほとんどみられない。
ロンドンでは土手より低い土地がない。
ニューヨークは首都では無いがそれでも東京よりまともな地形。

上の図も全て国交省HPからであるが、東京都のような都市計画は、国の首都として実は東京だけと思ってよい。図をみると東京都が異常であることがわかるし、新潟市も、名古屋市もハザードマップを見れば異常である事がわかる。日本人は天災が多い地域柄その感性は他の国より鈍感になっているのだろう。

ではあるが、東京都は下町(所謂上の図の低地部分)から一戸建て住宅が少なくなって中高層建物なってきているので、生命の安全面では地下空間にいない限り低い。つまり2階以上に住まえばよい。また同じ低地でもより低い土地に水は集まるので、近隣からみて少しでも高いと水害を免れる。一方新潟市では平らな土地で且つ一戸建て住宅がほとんどなのでその点では厳しい。よって新潟市でもし水害対策を行いたいならまず低地を選ばないことにつきる。当然新潟市以外でもハザードマップを見て浸水地域を避けて家造りをするのが、最も正しい水害対策の家となるため、私たち建築士は家自体での水害対策を建築主に話すより、本当に低地を選んで後悔しませんかとまず問い、水害にあったときの補修は解体分離を要する大がかりになると話すべきだと思う。その後どうしてもその土地に住む必要性があるなら、その暮らしに合った水害対策を個別に検討するべきだと感じる。特に超高断熱住宅は水害に弱い。これは内部に大量の断熱材を抱え、それらが密閉されることがその性能上重要なのだが、水没すればどこの気密防湿層が破壊されたかを確かめないといけない。つまり壁をはがさないと全くわからないため大規模補修になるのである。ところが何故か業界では忖度がありこのような大原則を話したがらないことが残念である。

一応下に2年前に掲載した国が発表した水害対策住宅のブログリンクを置く。

土地条件が90%影響するのが住宅 その2
このページの図又は文の引用元は全てこの論文から 梅雨空が多くなり豪雨注意報を頻繁に耳にする季節になった。数年前に...

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