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S造の倉庫をリノベして超高断熱の「入り子構造」で模様替えした新事務所の壁は、桐の無垢材(板はぎ)の厚さ9mm。当然無塗装。したがって合板(べニヤ)と違い小端は上の矢印のとおり綺麗に仕上げることが可能。
床よりさらに柔らかい桐は、床には向いていないが普段触らない壁なら使える素材。「緑の家」定番のAEPも使いたかったが、何分にもリノベでできる限り石膏ボード(プラスターボード)の粉を現場でまき散らしたくなかったことと、柔らかい素材で「音」の反射を抑え、「触れた感触」も大事にしたかったし、色も真っ白でなく柔らかい白(アイボリーベージュ)が優しい。この桐の色味は黄色がった白色で紫外線に焼けなければ、この白い色を長期間維持する。それでも次第に黒みになるが、桐のタンスのようにそれなりである。今回の大窓は紫外線を95%防ぐお勧めのガラスなのでどのくらいこの色を維持するか楽しみである。
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この色味に近いものに「シナベニア」があるが、こちらはべニアであり、この桐板と違い木口、こばを化粧で出すことはできないが、桐板の「こば」ならを出せる。この点が合板のシナベニアと違い無垢材の良さ。また無機素材(ケイカル類似板等)と比べてその素材も見た目も柔らかいので、音の反響もちょうどよくこの空間にいると大変落ち着くのである。
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そして壁の一部は当然AEPのいつもの「白」。この白壁の役目は基準色をつくること。これは結構重要なポジションであり、写真でも色バランスを調整するときに必ず「白」の見え方を基準として補正することからわかる通り、意外と人の目も白を基準色として比較する。だからこの壁がこの事務所の基準色となり、この色は以前の事務所の壁にも採用している色で、40年ほど使い続けている定番の白。
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このAEP壁の先には大型のモニターがある。これはここ数年前からの打ち合わせから、紙印刷でイメージ確認することを廃止して、まずモニターに移した映像で行うことにしているが、従来の事務所にあったモニターは37インチのTVを使っていた。この為小さな文字などや写真の細かいところを見るときは、全員が画面に近づこうとして前のめりであった。しかしこのモニターなら全くその必要がない。加えて優れているところはタッチスクリーンを採用していること。以前は面前で手書き絵で説明するときにも、紙とペンであったが今後はこのタッチスクリーンに直接書いて必要とあればその画像をスクリーンプリントやデータでお渡しすることができる。過去30年間分の紙の量は膨大であり、カタログからすべて紙の時代を体験して来た者からすると、このモニター移行の変化は大変ありがたい。
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ところで話は変わるが、最近スタッフMのiPhone16の広角側の画角が広すぎるので調べると・・・35mm換算で14mm相当とのこと。これは35mmでは魚眼レンズ10mmと超広角20mmの中間である。多分目で見る視覚より広く感じる。どんどんカメラは進化していると感じるが気になるのが、奥行き感が強調され過ぎている感があること。さらにこの上にレタッチソフトによる超広角画像への修正を施すことが近年では建築雑誌レベルでも当たり前のように行われていて、その写真を見ると現実とはかけ離れ広く見えるように補正されている。多分普通の方は気がつかないと思うが、いわゆる梁が現実では長方形になるところ、写真内では真四角にまで横方向で引き延ばされている。例えると3畳しかない部屋が6帖に見える程遠近感やワイド感が強調され、縦横の比率が歪になっている。著作権上その写真を掲載することはできないが、写真に拘る人にはある理があり、レンズメーカーと絞り、画角(焦点距離)、カメラ(センサーサイズ)を参考情報としてその写真に添えることをしていた。確かに煽り補正はするが参考情報があればその現実の空間がどのくらいかを判断することはできたのである。しかし近年はソフト的補完を行った内容で生データにすでに入り込んでいると解釈しており、こうなると昔の写真とは違う概念で見ることになる(いわゆる絵画のような印象で表現されたもの)。
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私がブログで完成写真を掲載するにあたり、上の参考情報を注意しているがもう古い感覚なのだろうか?私が愛用しているカメラは35mm換算で19mmと所謂35mmカメラ時代の超広角である。このくらいの画角が空間をある程度正しく見せる限界のような気がするが・・・如何だろうか。