最近の耐力壁検査と筋かいの素材のエビデンス

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はじかれた筋かいの材料。生き節で一見問題ないように見えるが、こんな節があるのは明らかにNGである。

木造住宅等の耐力壁を構成する部材として「筋かい」があるが、筋かいの材料については以前からほとんどの工事現場で正しい材料を使っていないと申し上げているが、今回は正しい材料について説明する。

「筋かい」とは先の大東亜戦争後から現在まで使用されている耐力壁の部材のこと。写真では斜めの材で、この材の節がどこまで許容されるかの規準を解説。

家の計画では何事も根拠(エビデンス)が必要である。施工者にとっては厳しすぎるのではないかとの声も上がる筋かいの材料品質だが、その根拠をしめしたい。

上は「緑の家」の設計図書のP2である。この冒頭にあたる左上をアップすると・・・

「緑の家」の木材の品質の規定を定めている。当然木造構造である「緑の家」では、木材の品質はいの一番であることは言うまでもない。そして文には日本農林規格(JAS)によるとなる。

そのJASだが、

このように木材(製材)の定義が第2条に記載あり、今回の耐力壁に使用する「筋かい」は45×90以上なので構造用製材の構造材Ⅱ↓に該当する。

そこで構造材Ⅱの品質基準を定めたところでは、

上のように木材の節の量と大きさについてピンク色の部分のように定められている。

こちらの材料は広い面材辺部において15%以下、狭い面においては30%以下で105×45の材としてはOK

ここで筋かいに当てはめると、材辺部においては15%以下と厳しい基準である。もし材料が広い材面が90mmだとすると13.5mmの節まで許容するとなる。残り76.5mmあればよいが、当方の検査基準では材面の広い面では105mmあるので15.75mmの節まで許容であり、すると105-15.75=89.25mmとなりほぼ90mmの断面が残る。これで実際も規定上も告示1460号1号の(ニ)の規定以下に確実になる。

こちらは本来節以外の部分が76.5mmなければNGの筋かいに該当するが、60mmしかなくNG。

一方中央部にある節は広い材面105mmなら31.5mm以下なら許容できるが、当方の規準は概ね1/3以下で35mm以下としているが、法律では90mmが広い材面でこの30%が30mmとなり残り部分が60mmと解釈して、105-35=70mmで60mm〉70mmの残り断面という事でOKとしている。但し筋かい中央部など面外座屈を起こしやすい節の場所によってはNGとする。

こちらは広い面で中央部30%以下の節となるのでOK。
こちらの節径は105mmの広い面に対し中央35mmあり通常NGになるが、節の種類と場所によってOKとしている事もある。

当然広い面に貫通する流節は座屈のきっかけになるので ほぼ全てNGとしている。

困ったらこれ。住宅金融支援機構のマニュアル内に筋かいの一般的材料として「杉」と「米ツガ」がある。

次に筋かいの樹種であるが、これについては言及しているマニュアルやメーカー取説は少なく、米ツガか杉が一般的と住宅金融支援機構の仕様書では記載があるので、Zマーク同等認定品ならこの2つはまず間違いなく大丈夫。一方Zマーク認定品以外だとその耐力試験は「米ツガ」で行うことが多いので「米ツガ」とすれば問題ないが、関東以外で米ツガの良品を手に入れることは一般流通では難しいので、ここは住宅金融支援機構の仕様書では記載がある杉か米松としていることが多い。

住宅金融支援機構のマニュアル内に筋かいの一般的材料として「杉」と「米ツガ」があるので、Zマーク金物同等品であればこれで全く問題ない。

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