シングルスラブ配筋はシビア 15年ぶりに基礎指針改訂住宅等の基礎

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先週、新潟県胎内市に建築中の「どっこんすいの家」の配筋検査が雪がちらつくなかで行われた。

午前中は雪が降っていたのだが午後から小康状態になり、これはいけると思って事務所を出たが、三条市から胎内市内まで90分ほどかかるので着くころには再び雪が降り始めた。鉄筋の上は雪が積もり始めスリップに注意しながらスタッフと2人で1時間ほど検査を行った。

最近は、べた基礎のスラブの鉄筋の耐久性と施工性の正しさを考え、鉄筋の被り厚を最低基準の60mmから10mmアップの70mmにしている。Aグレードはダブル配筋だったので当初より被り厚70mmだったが、Bグレードの基礎は被り厚60mmの最低基準で行っていた。これはAグレードのスラブ厚が220mmに対しBグレードのスラブ厚が40mm少ない180mmだったので、短期応力を考慮してスラブ上端面からの鉄筋の距離をできるだけ多く確保するためである。しかしながら建築学会の推奨被り厚が70mmであることを鑑み、施工ミスもカバーできることから70mmとしている。

被り厚70mmで鉄筋の位置が13mmほど上になったので、主筋をD16を2本追加。

このことでスラブ内に配置する基礎梁の鉄筋位置もシビアになり、高さが15mmずれるとNGになる箇所もある。今回もそのような場所があったので、事務所に戻って構造計算で確認すると15mmずれると許容応力度を超えてしまう事がわかったので、急遽鉄筋D16を2本追加している。修正より追加によってスラブ筋をばらして直す手間は省け、現場も士気が下がらない。実はシングル配筋のスラブは、その上下鉄筋位置が10mmずれるとNGになることもあるくらいシビアであるがゆえに縦横のスラブ筋の位置をはっきりするために、「緑の家」では全棟スラブ筋は配筋図を書くのである。それでも今回のように現場は勘違いを起こす。

スラブ配筋図。一本一本わかるように書く。

こんなことは準公的の検査員である瑕疵担保保険の配筋検査では見抜くことは不可能。だからこそ私どものような構造設計と同一の工事監理者が必要なのである。

高い位置での排水管スリーブも万一の出水時に基礎内に水が浸入し難い仕様となる。

先日、所属する日本建築学会で小規模建築物基礎設計指針が16年ぶりに改訂された。それに伴って講習会がおこなわれ参加した。

講習会で配布された資料。下図はこの中からの抜粋である。
玄関ポーチ柱を含め独立基礎は詳細に検討が必要なことから「適用範囲外」との判断。

大きな変更がなかったが、以前このブログでその曖昧性を指摘した「独立基礎」が今指針からなくなった。その説明には「直接基礎の種類としては独立基礎もあるが・・・略」とあり、布基礎とべた基礎の他に独立基礎があり、これは特殊な構造方式なので、損傷変形を生じさせない事を『詳細に確認』とあるように、布基礎やべた基礎と独立基礎の混用は避けたい。つまり玄関ポーチによくみられる柱下の基礎が独立基礎となる場合が多いが、この確認は「詳細に必須」という事を日本建築学会は明言している。

異種基礎か ベタ基礎と布基礎について
2020/02/09ピンク線が間違っていたので直しました。 異種基礎とは上の図のとおり布基礎とベタ基礎は違う形態の...
2020年に指摘した独立基礎の曖昧性を書いたブログ

そんなことで、「緑の家」では15年以上前から構造的に独立基礎になりやすい玄関ポーチ柱はないし、当時からこの危うさを申し上げている。

続いて大きな内容だったのが、地盤沈下で特に液状化などについては、完全に防止するにはあまりにもコストがかかったり、地域ごとでないと効果が見込めない事から、常に完全な対策を目指すのではなくリスクコミュニケーションが必須とその方向を変換している。

上の黒塗り部分が示す通り、①リスクの受容とありある程度対策はするが、積極的な対策(完全)は行わず、リスクを受け入れると明記されたことが大きい。「緑の家」では2025年の広島南区の家で採用された地盤改良(液状化20年保証を含む)が②と③のリスクの移転と制御になる。今後この②を含んだ③の方針で行いたいが、この②を満たす工法が県内にはまだなく、現在は埼玉県で検討中。③はここ数十年行っている柱状改良で可能。

また地盤改良体の配置も以前は2m程度以下の間隔で行うと表記があったが、その根拠がなく現在は削除されているとのこと。実際の現場でのべた基礎の改良体補強でも、スラブ下に配置されることは10年ほど前からなく、基礎梁下だけであっても適切な配置であればよいとのことになっている(ごくわずかだが2m配置もある)。

木造部分だけを見ると大変しっかりしている工務店さんでも、基礎の設計や構造についてはよくわかっていない会社さんが多数である。これはやはりRC構造を毛嫌いしているのかもしれない。しかしここは一般の建て主さんの方が理解していると思うが、基礎とは最も、最も大事な部位である。その証拠に2024年元旦の能登沖地震では、上部木造に被害が全くなくとも、地盤沈下又は基礎構造の不具合でその家が住めないくらいに傾いたり、壊れたりしている。従って住宅程度であっても設計や施工する側は、基礎構造は木造部分よりしっかりと学ぶ必要があるといえる。

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