先日の熊本県熊本市で行われている熊本の家の工事監理で基礎の一発打ち込みに立ち会った。
一発打ち込みと言っても内部の立ち上がりは2度打ちで了解した。そもそも住宅の基礎において一発打ち込みの最大の目的は、打ち継部※からの白蟻、水侵入阻止になる。その点では目的を達しているので良いと考えている。
※特に最下部の金属セパレーター(型枠巾止め)が残ってしまうことでその周囲に微細な隙間ができることが問題となる。止水版を使えばその部品は使えなくなる。しかし高基礎のばあい一発打ちのほうがコストが安価になる。
内部打ち込みだけ2度になったのは、基礎屋さんがどうしても失敗したくなく慎重に進めたいとの事で、初めてだたっため自信をもって施工できる内部だけ2度打ちで了解した。しかし実際型枠を組み終えて話してみると、「すべて一発打ちのほうが手間がかからず安価になるかも・・・」との基礎屋さんの感想をまた聞きしている。これには訳があり、「緑の家」の基礎は一発打ちのため捨てコンをしっかりと行う。
この捨てコン※が真っ平で施工できるため、平滑が取りやすく、平滑で正しく水平が取れていれば型枠も簡単に設置できるのである。一発打ち込みの最大の心配事はこの型枠にあるので、それが簡単だとわかると「すべて一発打ちのほうが手間がかからず安価になる」のである。
※通常の2度打ち基礎は捨てコンを行わないことが多いので、下が砂利のまま凸凹している。
実は先回の名古屋千種の家でも当初は「内部だけ2度打ちさせてほしいと」と施工はスタートしたが、途中配筋が完成するころに「やはりすべて一回打ちで施工させてほしい」に施工途中で変更になった。実際行ってみると簡単なのが「緑の家」フラット基礎である。
熊本の家も名古屋千種の家に引き続いてAグレードのため、ダブル配筋のフラット基礎。ダブル配筋で行う住宅は非常にまれで、例えば温熱環境でHEAT20のG3や断熱等級7以上の大変高性能の家でも、基礎は最も簡易な「シングル配筋のべた基礎」だったりする。
木造住宅業界を離れ例えばコンクリート建造物だけを作っている方に。「シングル配筋のスラブって作ったことある?」と聞くと、からなず「?」、「シングル配筋?ってスラブができるの?」と逆に聞かれるほど、シングル配筋のスラブはイレギュラーなコンクリート構造なのである。もし100年住宅との高い目標ならコンクリート構造の標準であるダブル配筋のスラブが良いだろう。「緑の家」は60年住宅が目標であり100年住宅をあえて目指さないが、それでも性能のバランスからAグレードは余力のあるダブル配筋のスラブとしている。ただしダブル配筋が必ずしも必須との見解ではなく、立ち上がり部(梁部)が鉄筋による剪断力も負担しなくてもよい程度のシングル配筋でも成り立つ基礎だから、スラブもシングル配筋でバランスがよいとの考えもあり、設計とはその個人の思想によて決まることもある。付け加えだが、実はシングル配筋のほうが計算上は気を使う。余力がないので縦横筋で縁からの距離が13mm変化することで成り立たないこともある(主筋間隔より配力筋間隔が狭くなることもある)。この辺りは実際シングルスラブ配筋を手計算したことがあれば、何を言っているかわかるだろう。実際に国の基準ともいえる瑕疵担保の設計施工基準(上の図)には、新潟県の一般的な2階建において区画8畳程度のスラブなら厚さ200mmでD13@250のダブル配筋基礎が標準となっている。
コメント
TU様
コメントありがとうございます。TU様が一般の方なのか、それとも建築関係者さんなのかによって答える語彙が違ってきます。よって建築関係者さんだとして返答します。
一般的にコンクリートの養生は低温でゆっくりと化学反応させその間十分な水分があるとほうが良い、つまり低温水中養生がよいとされております。
そこから考えると現在の新潟の気候は何も養生しなくても外気温6から10度で、常に雨が降っている最高の状態です。一方コンクリートの強度は20度くらいの気温での発現強度が標準なので、通常の工期しか取れない場合で標準の温度補正ならブルーシートでできるだけ保温してあげればよいかと思います。ただブルーシートを全面に覆うと雨の恩恵を受けられないので毎日散水をした方がよいことになります。
以上です。
コンクリートを打ったあとの養生についてどのようにやられているのでしょうか?