上山の家 構造耐力壁の工事監理

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屋根はまだ養生シートのままで壁もブルーシート養生中。ビルトイン車庫と一体となり限りなく建物高さをを抑えた上山の家。これで基礎高1.05mで1階床高1.2mと0.7mが混在。

連休中に上山の家の耐力壁検査の工事監理をおこなった。

模型と同じように伸びやかな水辺ラインが強調された上山の家・・・。

ちょっと「普通じゃない感」が発せられている。

同じ進行状態の堺市の家とは違い郊外の住宅地のため敷地には大変余裕があり、防火制限もごく一般的。

よって何時も木の外壁となるが、防火は省令準防火構造で対応するので、耐力壁は普通の構造用合板と筋かいになる。

その構造用合板であるが、建告1100号の耐力壁だけではなく、面内せん断試験により耐力が確かめられた厚さ12mmの構造用合板にCN65をピッチ100で打込み壁倍率換算で4倍という高強度の耐力壁を中心に配置され、耐雪1.5mで耐震等級3という極めて高い耐震性のある構造となっている。この耐震性は避難所クラスの耐震性能があるので、大地震時にはこの建物に避難するくらいの安心感がある。

その耐震性に大きな吹き抜けのある本格的な土間キッチンを組み合わせている・・・「緑の家」の中でも最もお勧めが詰まった仕様である。

この部分は土間キッチンで平屋棟。天井は勾配させ何時ものツイン梁が配置される。そして・・・養生中の例の杉の一本柱がある(笑)。

上の写真で人との対比で基礎高や天井高がわかると思う。専門家でなくともしっかりした構造と読み取れるほど構造部材が密に入っているような空間。

細かく入れた梁はレンジフードを取付けるためだけに配置。土間キッチンは構造材だけでデザインする。

それもそのはずで、アイランドキッチンのセンターフード換気扇を留めつける部材も専用の構造梁を配置した。これはキッチン位置からミリ単位で構造図にかき込む。

土間キッチン上部の吹き抜けにある手摺も構造材で最初から配置する。小屋裏にかくれるところに1Pの筋かいを2セット配置し、耐震等級3の基準が守れるように小屋裏細部に渡って構造配慮をする。

高さの違う梁が交差する部分。カブト仕口に筋かいを痛めないように梁一部をかき込む。

建物階高を最小にする為、梁の高さを微妙に換え、引張り力がかからない部分はカブト受けで対処。

土間キッチン上部はツインの梁でデザインされる。通常この梁の真ん中を利用して照明器具が配置される。

梁は端部まで見せたいのであるが、建物高さを抑えることとコスト的に削る部分があってもよいのでは無いかと考え、天井に吸収される納り(日之出町の家五日町の家方式)となっている。

請負をされた中村建築さんは意識レベルが高い。屋根仕上げが直ぐ出来ないときは防水のアスファルトルーフィングをあえてはらず、養生シートだけで覆うことで、養生の時に打ち込む釘によるルーフィングへの穴あきを排除している。このような事を普通にできる工務店さんは初めてである。

これだけ建物高さを抑える工夫をすると2階建なのに平屋建に見える・・・。

この見晴らしの丘の最も目立つ位置に建つ控えめなランドマーク的な存在としてちょうど良い・・・と設計者は想う。

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