何時もご案内している業界紙の「日経ホームビルダー」の6月号から・・・
本題の前に、この本のメインテーマにもあるが建築業界も人不足が続いており、オーブルデザインも現在スタッフを募集中である。が、縁あって以前のスタッフAが自身の忙しい状況の時間を割いて先月から手伝ってくれている。事務所の仕事を知っているだけにホントに助かる・・・。感謝!
さて・・・
建物に対して「躯体の生物劣化発生確率に関する分析」という論文の特集が日経ホームビルダー6月号に組まれていたのでそのページを紹介する。
そこには
- 1階の床(床下も含む)で最も発生確率が高い。
- 築年数が51年以上で2%越え。
- 布基礎の発生確率は10%越え。
- 60cm以上の(基礎立ち上がり)高さで発生確率は大巾減。
- 軒の出が短いと危険性が増す。
とある(但し調査建物の9割が問題ないとの結果)。
「緑の家」ではこのうち1、4、5は常日頃から口を酸っぱくして何時も話していること。
特に60cm以上の基礎立ち上がりで生物劣化の発生確率が大巾に下がる・・・との結果には
「緑の家」の基礎の高さは「時」が証明してくれると思っていたがそのとおりの結果になっている(業界では数十年前から当たり前の事なのだが)。
この記事のエビデンスは(国立研究開発法人)建築研究所のこちらのPDFでもあるが、流石に読み込みにくいので今回の日経ホームビルダーを購入して記事を読んだ方がわかりやすい。
常日頃から「て・こあ」という築100年の民家に接していると、建物の劣化の殆どはこの生物劣化によることがわかる。生物劣化を引き起こす最も大きい要因は、雨と湿気である。
この雨と湿気から建物を保護する事ができれば建物の躯体の健全性は担保される。
ただ・・・雨と湿気から躯体を保護してもシロアリ加害やクマバチによる穴あけも長期的には屋根を支えるタル木に被害を与えるし、腐朽菌を活動させるほどの湿気・雨水を防いでもカビの発生は防げない。カビは直接の生物劣化ではないが、建物を放棄(建て替え)させる動機となるあの嫌な匂いを発生させる。であるからこそ・・・日本において建物の長寿命化は大変難しい。
そのあたりを整理して「緑の家」は60年使えればOKとの発想で仕様を決めている。無論・・・運良くその建物に愛着持った後継者を育むか見つける事ができれば、自動的に建物は存続できると考えており、仮に基礎高が低く、軒の出が短くとも・・・この建物への愛着が有れば修繕を繰り返してでも建物は長寿命化される。