17年前の「緑の家」と無難について

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当時も全く変わらない「緑の家」のコンセプトである無垢無塗装の床とAEPの白い壁。スイッチ位置や梁の見え方も同様に17年前でも同じ使い方。

17年前に設計し、16年前に竣工した「緑の家」のメンテナンスに伺ってきた。

メンテナンスといっても15年経過した昨年連絡があり、トップライトから雨漏れがあるとのことで、屋根屋さんと屋根に上がったのが昨年の春。当時施工した工務店さんは既に今はなく、大野町の家の施工を行っている屋根屋さんから対応してもらった。

外壁は一度もメンテナンスしていないが今も健全。但しシーリングは劣化して所々ヒビがある。

設置後の2008年のカタログには表記があった。17年前のカタログは残されていない。

トップライト付近からの雨漏りはよく巷でもきく話であるが、私が体験した雨漏れは、全てトップライト自身からの雨漏れであった。このトップライトはベルックス製で20年前、国内で断熱性に優れたトップライト(木製)はほぼこのベルックス製しかなかったのである。

このメーカーさんは10年ごとの補修メニューを推奨しており、その補修をすればトータル20年の保証がつく(10年目の補修をしなければ当初の10年保証のまま)。しかし有償補修メニューのことを知ったのはトップライトをつけた10年後であり、当時そんな表記がカタログにはなかったにあったがもっと柔らかい表現であった。しかも数年前に補修メニューの価格も大きく値上がり再びこのメーカーさんの保険をつける気持ちにはなれない。

屋根の上で3人の専門家がそれぞれの分野での意見を出して最もよい方法の対応を考える。

雨漏れを探すのはとても大変である。今回も1年かけて場所を絞り込んだ。するとやはりトップライト付近ではなく、トップライト自身から雨漏りの可能性が99%となった。製品が原因となるとメーカー以外手が出せなくてやっかいになる。

昨年の9月からポリエチレンフィルムで窓だけを覆い8ヶ月。雨や雪、豪雨でも雨漏れ一切無し。

ガラス周囲を全てシーリングし問題がありそうなところつぶして様子を見たのが昨年の春、2ヶ月くらいは問題なかったが夏の豪雨に再び漏水。
雨漏れを箇所を切り分けるために上の写真のようにまずトップライトだけを覆って様子をみた。

すると・・・10ヶ月間雨漏れが全くなかったことで、このトップライト自身が原因とわかった。

普通はトップライトから雨漏りがあると、トップライトに懲りて取り外して屋根にしてしまう建て主さんが多いと聞くが、「緑の家」のオーナーさんは違う。
このトップライトを生かしてなんとか雨漏りだけを防ぎたいとの希望。
これは他の「緑の家」建て主さんも同様で、いままで住んでいた家がトップライト周りの雨漏れで苦しめられても、新たな家を建築するにあたり「トップライト」を希望されることもある。雨漏り対応よりも得られたメリットが大きかったのだろう。無難な仕様が特徴の「緑の家」であるが無難でないといえるかもしれないところもある。

日之出町の家で設置されたトップライト。オーナーさんは以前トップライトの漏水で苦労したが再設置を選択した。

今回の雨漏れした「緑の家」でも下の写真のようにトップライトとハイサイド窓が効果的に使われている。

勾配天井に計画され、1階家族の間に光を落とす雨漏れしたトップライト。

テーブル真上からの写真。長さ4mのダイニングテーブルにトップライトの光が落ちる。テーブルデザインは当時流行し建て主さんの愛機ででもあったiMacとマックノートの白とクロームの意匠をまねて設計した。

構造材をレンジフードを吊るために張り出しているキッチンは大胆な設計だと自身でも思う。このようにキッチンが中央にあり光はトップライトから取り入れる。

当時は木の外壁が法律で使用できなかったのでサイディングも使われている。
一度も再塗装していないが、さすが当時のオートクレーブ養生されたクボタ製のサイディング。今もきれいだった。ただ・・・シーリングはそろそろ再施工の必要があるくらいヒビが入っている。

現在でも世の中では主流の窯業系サイディングはシーリングの寿命でメンテナンス時期がきまるのであろう。ガルバニュームの外壁もしかり・・・。

17年目・・・少しシーリング部分だけにヒビが入り始めた。

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