新潟県内の住宅情報誌で最も有名な「ハウジングkomachi」の2020年冬春号の巻頭特集「平屋に住む」の第一ページ目に「緑の家」の五日町の家が記事として掲載された。
この住宅雑誌は昔は新潟県内の書店しか置いてなかったはずだが、今は新潟県内でなくともAMAZONさんから全国どこでも購入できる。私も文字校正に参加したので送られてくると思ったが甘かったようでAMAZONで先日買った。
この特集では平屋が数棟紹介されており、平屋がゆえに全ての家で勾配天井となっている。五日町の家も勾配天井であるが、この仕様は途中で設計に追加された。
平屋の勾配天井の家同士を比較すると「緑の家」だけちょっと異質に写る。「緑の家」が他の家と違い木が多く見える。それは多分、勾配天井のわりに梁が多数露出しているからだろう。
昔から「緑の家」の勾配天井は梁が多く露出する。これは梁を沢山見せたいのでは無く、耐震性を確保しようとすると、梁が太く細かく入ってしまうから。新潟県内の平場では積雪を1.5mで考える地域が多く、そこで耐震等級3を確保し、さらに空間の広がり考えた時に、屋根下面の水平面剛性が必要となる。この剛性を確実に得るためには、勾配面の面剛性ではなく、水平面での剛性が確保しやすいし、確実に効果がある。この理由は以前リフォーム・リノベーションの時に話したが、箱を横から押すときに6面があるとなかなか変形しないが、5面しかない(天井面がない)と変形が起きやすい。
この天井面が水平ではなく勾配だったらどうだろう。5面より変形はし難くなるが、水平の方が簡単に強固になる事は容易に想像がつくはず。
つまり簡単に水平面の剛性をできる限り確保したいので、梁が太く多く入り、火打ちという斜材が多く入るのである。「緑の家」以外は太い梁はあまり無く、斜材もすくない。このことが勾配天上面をスッキリと見せてモダンな空間になるとわかっているのだが、「緑の家」では「安価なコスト」での耐震性はまずもって優先で、しかも平屋なら等級3取得は当たり前としたい。
空間の違いは建築士で無くとも直ぐ感じられる。もし興味あればアマゾンさん等で購入して読んで頂ければと思う。
勾配天井で無いときは、梁の上に合板を貼ると火打ち斜材で固めた時より更に強固になるので、大空間又は耐雪住宅をつくりやすい。それほど水平の天井面は重要な耐震性確保のポイントである。無論、勾配天井でも剛性の強化は可能であるが、ランバー材以外で根拠のある剛性確保はグレー本による詳細計算の必要とそれに沿った施工が必要で、通常は登り梁という特殊な架構の上に厚い合板を貼る事になる。この架構方法は一般的に小屋裏内にも耐力壁が必要※なので施工に時間がかかり日本の気候を考えてもコストは不利といえるが、どうしても小屋裏空間をスッキリさせたいときには採用する。
※・・・勾配天井時は工法に限らず必ず必要