新潟市白山浦の家 完成2 
  開口部2つの拘り

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太陽光発電パネルがあるので雪止め金物が多数並ぶ屋根。シンボルツリーはまだ未植樹であるが、その花壇は既に準備出来ている。

「緑の家」の2つの開口部の拘りを今回はご案内する。

まず窓であるが・・・
準防火地域なので使える窓の種類は限られている。その中でやはり「緑の家」ではドレーキップが最優先である。

ドレーキップは内倒しと内開きの2つの動作を一つのサッシで行う。写真は内倒し。

ドレーキップ窓は新潟県ではまだ一般的でない。しかし「緑の家」では11年前から積極的に使っており現在は標準サッシとなっている。その理由は簾を設置したいこと、長期気密性の保持が引き違い窓より優れているからである。特に長期気密性の保持は、超高断熱住宅ではとても重要なポイントになる。引き違いはその構造上20年以上気密性を保持することはなかなか難しいためである。

フレーム内に断熱材を入れ枠の結露防止を強化したサッシ。

ドレーキップ窓で防火サッシを使わなくともよい場所は高断熱型サッシの欠点である枠の断熱性を特別な方法でなくしたUF-LとUF-Hを使用している。

防火サッシの価格は通常より2から3倍となる。

一方防火サッシを求められるところは、網入りのペアガラスの樹脂サッシである。

次は・・・玄関戸である。
玄関戸の標準はスウェーデン製の断熱木製扉であるが、これが拘りではなくその扉に「ドアクローザーを標準では使っていないこと」が拘りなのである。

クローザーのない玄関扉。扉上の黒い棒はクローザーではなくストッパーである。

ドアクローザーは日本の玄関扉には99.9%の割合で設置されているが、「緑の家」では最初は「無し」をお勧めする。

こちらはストッパーなのでスプリングが入っていない。

ドアクローザーとは・・・扉を開けて手を離すと自動的に閉じる装置である。ドアクローザーは元々建物内非常階段などの防火戸に設置するために開発された機構であり、扉の閉め忘れ防止装置である。防火扉では扉の閉め忘れによる火災の延焼が大変危険であり、火災拡大を簡単に引き起こすので設置が義務つけられている。一方玄関扉ではドアクローザーをつける習慣は先進諸国では日本だけである。他の国では扉は閉めてある姿が標準で、そこを開けた人が閉じることがマナーであるくらいの意識であるため、クローザーが住宅の玄関に必要な事がない。でも「緑の家」ではクローザーがないことはその理由ではなく、ただ単に玄関戸を快適に開け閉めしてほしいことからドアクローザーを標準では薦めていない。快適?というとなんで?と思うだろうが、ドアクローザーが勝手に閉まる機構にはスプリングが入っている。このスプリングが実は不快である。開けるときにある程度の重さがスプリングのために発生するのである。

例えば車の運転席ドアを想像してほしい。車のドアも結構な重さがあるが指二本ほどでスムーズに開け閉め出来るのは、クローザーが入っていないため。今度はワンボックスのバックドアを思い浮かべてほしい。バックドアを指2本で開け閉める事が出来るだろうか。結構抵抗がかかり指が痛くなるはず。これはバックドアにスプリングとダンパーが入っているためである。スプリングがないとバックドアが重すぎて開けることが出来ず、逆に閉めるときにはそのスプリングのため最初に大きな力が必要になるのである。ああ、完全自動扉の高級車は除外。

日本の玄関扉はクローザーが入っている扉が99.9%なので皆がその重さに慣れてしまい、「ない」その快適さがわからなくなっているが、「緑の家」の半分はクローザー無しであるのでその快適さが体験できる。一度クローザー無しの開閉重さを知ると、クローザー有りでは凄く気持ち悪いため10年ほど前からクローザーは標準では採用していない。

しかし・・・「緑の家」でもクローザー有りが半分程度ある。これは国内99.9%まで普及したクローザーを急に止めたときにある弊害があるから。それは子供達へのリスクが増えるということ。それも自分の家の子供ではなくご近所さんやお友達が来たときに、いつものように手を離すだけで扉が勝手に閉じないため、つい力をいれて押す動作で、ドアが急にしまり手を挟んでしまわないかというリスクである。

そのリスクを受け入れて採用するかどうかは建て主さん次第となる。引き違い戸でも、手でサッシ枠を握って閉めれば指を挟んでしまう。これは当たり前だが、その機構を体験したことのない人(赤ちゃん)は、一度は挟んでいたい思いをする人がいるだろう。動くものはほとんどそのようなリスクがあるのである。それが大きな事故にならない限り、今の社会では体験学習で許容されているのである。玄関扉もそうであってほしい。

玄関の話になったので玄関の画像を少しご案内する。
玄関を上から見ることはほとんどないと思うが「緑の家」の玄関は天井は3.5mにもなるので下のようなアングルが撮影できる。

近年ではタイルより高価になっているモルタルの床。質感は最高であるが小ヒビが欠点である。
モルタルの床がコートかけ下まで続く。
モルタルの海に浮かぶ出島のような玄関ホール。奥の戸は床下収納入り口。
玄関の天井高は3.5mなので上部に明かり窓を設置出来る事が多い。これが結構豊かな空間になる。

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