現在の通気層に疑義有り・・・との警報

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最近水平方向に長い窓が多く見受けられるようになった。「緑の家」では当初から開口部の大きい窓を計画していたため、最近の水平方向に大きい窓は普通にある。この水平方向に大きい(具体的には2.5mを超える)窓下の外壁内通気が、実はあまり効果的でない・・・との結果をこの度日経ホームビルダーさんが実験棟で確認している。

左側の窓は巾2.6mあり、これも水平方向の大きい窓となる。

今回の特集記事である「「水平」が邪魔をする外壁通気」では、P38~P57 ととても多いページ数となっている。ライターはご存じ荒川尚美氏であり、いつも興味深い記事を提供してくれており、携わる者としては感謝である。

内容が豊富で多すぎて購入して読んで頂ければと思うが、2年ほど前から国の調査研究でもこの通気層は益々重要性を高めている。例えば雨侵入時の早期乾燥が夏期逆転結露を防止するポイントである・・・など。

この号の最後の編集録には・・・

編集部から

幅3cmの隙間規定の検証を

日経ホームビルダー2020年7月号のP84 より

取材したことがまとめられているので特に目を通してほしい(P84)。

そこには・・・

・・・中略・・・横胴縁の厚さを「18mm以上」としましたが、隙間は1991年の規定を踏襲しました。坂本名誉教授の検証では、雨水が通気層内に入る量を見込んでいません。

日経ホームビルダー2020年7月号のP84 より

上のような・・・当時の調査研究では「雨水の通気層に入る水分量はみこんでいない」つまり、雨水が通気層内に進入したときには現在標準通気工法では問題が起こる可能性は否定できないとのこと。

その問題の標準通気工法とは、外壁が縦貼り時の下地となる「横胴縁」のことである。特に横胴縁同士の継ぎ手部分の30mmの隙間が少ないこと、またそのピッチも長すぎることが問題となる可能性がある。またこの横胴縁に通気のために木材をあらかじめ工場でかき込んだ「通気胴縁」が流通しているが、通気は少し改善するが縦胴縁ほど効果が得られないこと、あらかじめかき込んだ事で胴縁の耐力と共に断面の少ない所での外壁の留め付け力も落ちるので、配慮が必要である。

「緑の家」のクロス通気。もう15年以上前からオリジナル発想として採用している工法。平成9年の事務所設立以来通気層の重要性を意識し、通気が確実に機能する事を形にした証である。

さて・・・この内容素直に受け止めると、「緑の家」のクロス通気はやはり素晴らしいといえる。胴縁を欠いていないので耐力も落とさず、横胴縁でも縦胴縁でも通気量はほとんど変わらないばかりか、「水平」で邪魔される影響もほぼ無いくらいの拡散性をもつ。これはこの特集でも点状の胴縁(現場ではあり得ないが)の実測もあり、この点状の胴縁の場合は、左右上下まんべんなく通気していることが確かめられている。アカデミックな実験ではないが、実際の状況を見るには十分である。是非本誌を手にとってご覧頂きたい。↓購入先
https://shop.nikkeibp.co.jp/front/app/catalog/list/?searchBackNoSearchFlg=1&searchMediaNameShort=HB

「緑の家」は超高断熱住宅を特徴としているが、建物を考える順番は1.耐震性などの安全性、2.1が続く継続耐久性、3.デザイン、快適(超高断熱)などとなる。これは以前申し上げたが、mono作りは、USスチールの社長である、エルバート・H・ゲーリー唱えた・・・

「安全第一、品質第二、生産第三」

であり、コストが決まっている条件下では、安全第一だけで終わらせる標語ではない明確な順番があるとの認識である。最近日本の大メーカーは「生産第二」になっている気がする。

「緑の家」過去通気層に関する特集↓(2006年と2009年)

https://arbre-d.sakura.ne.jp/main/column/13-2/

https://arbre-d.sakura.ne.jp/main/column/31-2/

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