新潟県ではほとんどなじみの無いパッシブ換気の講習会をスタッフMがZOOMで受けた。パッシブ換気とは、電気的な動力を使わず、温度差や風力のみで行う24時間換気システムのことである。但し建築基準法28条の2の換気設備に該当しないので、一般的にはパッシブ換気を設けても24時間換気設備を設けなければならない。
私はその録画を見たがパッシブ換気はその曖昧な所が逆にオーナーの気をひきメンテナンスに参加してくれる要因であると思った。
北海道でパッシブ換気に対して評価が高いのは、機械換気の安定さが時間と共に不安定になる事に対する反発だと考えている。
北海道でパッシブ換気が始まったのは古く1990年代とのことだが、その当時は24時間換気(28条の2の法律ではない高気密高断熱住宅の条件としての換気設備)が本格的に始まってから既に10年経過している家もあった。そこで2000年代にある機関が24時間換気の運用状態を調査してみると、当時しっかりと動いていた機械換気が動いていなかったり、フィルターが詰まったりして換気されていない家が大変多かった。そこで機械換気に落胆した人たちが安定さが売りの機械換気より、曖昧さがあるが何時も存在し勝手に行われる換気をあえて有る一定の法則に則って意図的に設けた。意図的とは煙突のような換気塔だけで無く、2階建ての高低差を利用した温度差換気も含まれる。始めてから10年くらい知見を積み、現在パッシブ換気と名付けそのシステムが成り立っている。実は24時間換気は今現在も2000年代当時のように多くの家で計画的に行われていないとの報告もある。この多くは、オーナーが換気に対し興味がない事に原因があると私は考える。換気に興味があれば機械換気だろうがパッシブ換気だろうが適正なメンテナンスを行ってくれるだろう。つまりパッシブ換気は機械換気の欠点を補う代用では無く、できる限り簡素な換気設備を搭載したい・・・そう、薪ストーブのように電気を必要とすることのない、どちらかと言えば趣味的な換気設備のように感じた。だから好きか嫌いかでパッシブ換気を採用すれば良いのかな・・・と私は考える。
換気の持論は・・・
住宅は元々自然界にあり得ない20度以上の温度差をわずか30cm弱の壁厚によって設ける家の暖房環境は人のエゴである。よってその暖房環境を成り立たせるための換気も電気エネルギーで全く問題ない。そもそも社寺仏閣のように暖房をしなければ気密化の必要がなく、換気などいらない建物となる。人が温かさを求めたエゴ環境だから、科学的なCo2センサーで換気不備を知らせる設備があれば換気不足という事は解決できると思う。同時に換気とそのメンテナンスの必要性をしっかり建て主さんに理解してもらえば機械換気でもまず問題ないだろう・・・と考えている。Co2センサーは安価だし安定性もそんなに悪くない。換気事故の多くは自動車がそのような進化(多センサー装備)を遂げたようにきっとそれで解決できるだろうと思う。
でも電気を使わない換気方式が好きならパッシブ換気でも良いし、自宅なら使うかも・・・こういった趣味的な事は嫌いではないというよりむしろ好きなほう。しかし、建築基準法28条の2の法律外仕様を他の人に専門家としてお勧めするのは流石にできない・・・かな。
パッシブ換気の欠点と言えば、熱交換換気は出来ないこと、低い位置からの取り入れが基本のため新鮮空気(SA)口の場所がある程度限定される。その場所を間違うと寒い思いをする事になる。
北海道では床下にSA口を付けることが多いとのことであるが、床下に新鮮空気をとり入れる事には抵抗がある(クリックでエビデンスにリンク)。東北地域以北の夏期は絶対お勧め出来ないが仮にカビの心配の少ない冬期でも、あえて誰も居ない、掃除も行われない空間に新鮮空気を最初にいれる事になるからだ。新鮮空気は本来一番その空気を必要とされる場所からいれて徐々に汚染されるほうが理に適っている。これは空気齢が短いので換気効率が高いと言える。このことは住宅ではあまり重視されていない。台所を除くと住宅内は汚染物質が限定的だから「空気齢は短ければよい」程度ということで必須事項ではない。
しかし・・・住宅は時の経過を足して評価することが重要。新築時は問題なくても30年後はどうだろう・・・。私がいつも申し上げるとおり床下や壁内が綺麗だといえるのだろうか。ダクト式換気装置はダクト内の埃や汚れを気にするのに、壁内や床下内は30年後でも汚れも埃もなく、ましてやカビもないと言えるのだろうか。私は日本の本州以南の環境では難しいと感じるし、事実30年経た高気密高断熱の自邸でも少し匂いが変わってきていることを実感している。
ところで・・・
COVID-19の影響で様々なオンラインセミナーが増えてきてうれしい。特に今冬期はオンラインセミナーを6回くらい受ける。これは以前では考えられない。生配信ZOOMであっても、画面録画であとでいつでも振り返って見られる。逆にいえば何時も記録が残せる。こうなるとユーチューブもそうだが文責がはっきりする。私は公開したブログを消去することなく15年くらい残しているが、過去のブログは訂正線で訂正することで間違いを共有認識できるが、その点動画の訂正は大変時間がかかり難しい。よって安易な動画での配信は諸刃の剣である。