2017年 建築学会の論文梗概集1 
基礎断熱への新鮮空気導入は高湿化の危険

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毎年この時期は楽しみですね。

そう・・・建築学会の論文梗概集が発表されるからです。

昨年も大変面白く興味深い論文が発表されましたが、今年もあるでしょうか。

私が面白いと感じる一つに、私の仮説が論文で実証される場合が多いからです。

特に昨年は・・・

基礎断熱を行った場合、温暖地での夏期通風による避暑方法はカビの発生の確率が高いと申しあげたとおりの論文がオーガナイズセッション(注目の論文として)で発表されました

今年の第一は・・・

基礎断熱内の環境で様々な論文を発表されている本間義則先生らのグループで、

「パッシブ換気システムを利用する基礎断熱床下空間の空気移動性状とその湿度環境」

からご案内します。

2017年建築学会学術講演梗概集から 赤線は浅間がいれたことお許し頂きたい。

随分前から申しあげているとおり・・・

基礎断熱はもろ刃の剣で、温暖地における白アリやカビ問題のリスクがあるとの認識で20年まえから「緑の家」を設計してまいりました。北海道を始め東北北部など夏期でも高湿の大気に長期間覆われにくいところでは「問題ない」ことであっても、温暖地ではNGとなることが地域に根ざした家造りの重要ポイントです。

この論文の始めにあるとおり、

基礎断熱内でのカビ・・・既にこの事は新潟を始めとする温暖地の実務者では常識となっております。満を持して基礎断熱工法の発祥地の第一人者である先生方の論文発表となりました。

ある夏のアメダスデータ。露点温度は新潟が結構高い。つまりAH(絶対湿度)が高いことになる。札幌市と新潟市の露点温度の違いに驚く。

ただ冒頭に一つ言いたいのは・・・シミュレーションなので実は地域条件を変えることは、アメダスのデータならほんの数秒の作業(パソコンに入っているなら)・・・。ですので、比較的乾燥している東京(意外とAHが低い都市気候)や高知だけではなく、北陸、中国、九州、大阪のデータもお願いしたいところです。多分・・・もっと高湿側の危険な結果になるのではないかと思われます。

さて結論は、

2017年建築学会学術講演梗概集41090から 赤線は浅間がいれたことお許し頂きたい。

なんと・・・

表題の

「パッシブ換気システムを利用する基礎断熱床下空間の空気移動性状とその湿度環境」中、空気移動性状はまとめには一言もなく、

「基礎断熱床下は、住宅性能、地域性によって高湿化する危険性は否めない

と結んでいます。

・・・

・・・

床下に新鮮空気を導入する工法は多くなっており、北海道から始まった床下内新鮮空気導入は、現在温暖地にまで何の注意をすることもなく導入する考えがありますが、この先生方の一言は大きい・・・。

と素直によむか、

そんな事(基礎断熱内に新鮮空気を導入すること)ある程度環境を知っている人なら簡単に予測可能・・・とするか?

貴方はどちらでしょうか。

それとまとめにある「今後の床下の加温と除湿等」って・・・床下エアコンが現実的ですよね。でもそんな事をしたら床下給気のメリットが少し削られ、わざわざパッシブ換気なのに何も対策しないと不衛生になる環境から新鮮空気を入れている・・・何か腑に落ちない・・・。既に昨年から国のプログラムに入った床下給気・・・クリーンな外気を床下にいれる積極的な理由は冬期だけなのでしょうか?

下に梗概集に載った全文を置いておきます。ご興味があればどうぞご覧ください。

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