行政機関に属する人が「・・・と言われている」を使う場合は注意しなければならない。
「気候変動に伴う気温上昇で冬は気温が上がり、普通は気温が上がれば雪が少なくなると思われるが雪が多くなるところと少なくなるところがある。またどか雪になりそんなに気温上昇のメリットはない。だから気温上昇はデメリットが多い。」のようなコラムがあった。その発言の主の経歴は立派であり博士号も取得して且つ業界の受賞歴もある人。でも農業が専門でもないのに、農業の話まで踏み込んで良いのかな~と思わせる記事があった。その一例は・・・
記者:農業への影響は大きいのでしょうか?
ヤフーのネットニュースとコラムより
A博士:冬季に山岳地帯に積もる雪は、天然のダムと呼ばれ、雪解け水は農業用水として田畑を潤します。温暖化すると、雪の量が減り、雪が融ける時期が前倒しになるとみられます。現在、北陸地方では4月から5月にかけて雪解け水の流れる量が多いですが、それが3月頃になってしまうという研究もあります。すると、現在の田植えの時期とずれてきます。
この手の凄いことは「・・・という研究もあります」と逃げているところで、ここは責任は取りませんよとの文面になっていること。自身の専門分野や考えと巧みに混ぜてもっとらしいく伝えている事に腹が立つ。最近の学者さんはこのような人が多い。気象庁研究官の肩書きを利用して専門外のことまで断定に近い表現をする傾向がある。しかもこのくらいの経歴の人は、平均気温が上がれば田植えも現在の5月から4月に前倒しになり特に問題ないかも・・・ということに気がつかない訳がない。知っているからこそあえて「・・・の言われている」とか、「・・・の研究結果がある」と責任回避の表現をつかう。そしてもっと凄いことは嘘は言っていないこと。
「将来」雪解けの水が早まると「現在」の田植えの時期とずれる・・・と言っており「将来」の田植えの時期が気温上昇で早くなり水どけと同じくなれば問題は無い・・・とも読み取れる。「将来」と「現在」とうまく混ぜ、使い分けるこの話法が「凄い」のである。
温暖化が起きているかどうか、もし起きているならそれが良いのか悪いのかは私にはわからない。でもこの温暖化問題を聞くときには要注意である。わからない事がさも確定しているようなことと合せてさりげなく織り込まれている。前にもこの事は環境省公開説明でも指摘した。せめてまだわからない事はわからないと前置きした上で・・・「との研究結果があるが違う結果もある」と言えばよいはずだが・・・。