今日外構の照明位置を決めるため、及びエアコンの助走運転を行なうために松美台の家に伺った。
駐車場の中にある外構灯は門灯も兼ねるが門灯と言っても樹木の葉や枝に照明をあてて木全体で門灯にする。また車のドアの開閉や道路からの見え方を考えて位置を決める。下のような感じである。
外構灯のベースはアイアンウッドでおこし、将来の位置変更も容易に変えられるようにする。
さて本題の外壁の木の留め付けの釘だが、正面の縦貼りの抑え胴縁には、デザイン性がある甲丸のステンレススクリュー釘L50を使う。50mmという長さは微妙で、本来もう少しあると固定が強固になるのだが、63mmを超えると防水シートを破ってしまい防水性が少し落ちることになる。規格品は50、65mmになるので、今回は50mmを使い本板にも50mmの釘でダブルで留めつけている。
一方他の三面は横張であるため、少し釘が錆びて木と同化色するように亜鉛メッキのスクリュー釘としている。こちらは長さ50mmでちょうど良い。巷の横張外壁の時はクロス通気でないので50mmの釘を使うと防水層に穴があくが、「緑の家」クロス通気を採用すると、50mmの釘を使っても防水シートを破らない絶妙な通気工法なのである。多分これは初紹介でありこのような細かい事の積み重ねで「無難な」家ができる。
釘と言えば今年から瓦屋根において全ての瓦に釘を一本以上打ち込むことに、法律が改正された。既に数年前から法律先取りで全数釘打ちが行なわれている現場も多いが、今年からは法律で定められているので、釘が打っていない箇所があれば法律違反となる可能性がある。しかし・・・
瓦は完成引き渡し前にも割れてしまうことが多い素材。実際最近も割れていた現場もあったが、瓦はそれほど華奢で取り扱いが難しい。この割れた場合にどのように交換するかと瓦屋さんに伺うと、殆どが一枚だけなんとか釘を抜いて割れた瓦を外し(釘が残っていると新たに設置できない)、新しい瓦を接着剤(コーキングやシーリング)で留めつけるとのこと。これはガイドラインに乗っ取っていれば問題ないが、それ以外は法的にはグレーでありあまり良いとは言えない。またもう一つの方法に脳天釘留めがありこの場合は、パッキン付の釘を使う。このように割れると新たに釘を打つことは出来ない。もし釘を打つなら割れた瓦の上段を全て取り外し、全て取付け直すしかできないはず。だからシーリング等でくっつける事になる・・・
とここまでは許せるが、実は抜いた釘のアスファルトルーフィングへの穴処理をしないと、その穴から雨水が浸入するリスクが高い。逆に釘を抜かず刺しっぱなしにすればよいのであるが、抜くと穴が埋まらずにのこる。この穴から雨漏りした事例が「「緑の家」には過去あった。
この点「緑の家」が標準とするSGL(ガルバニューム鋼板)の屋根なら、引き渡し前に屋根が壊れること(割れる)は、可能性として限りなく低い。しいて言えば屋根に鋭利な重い物を落としたときに、金属に穴があくくらいだと思われる。またもう一つの標準仕様の屋根材であるファイバーシングルも同様で、割れることは限りなく低く、鋭利な重い物を落としたときに穴があくくらいである。一方瓦は足場解体時にちょっとした事で割れることが多いと聞くし、実際にあった。
今回の瓦屋根全数釘打ちで、地震や台風の外部物理性耐性は高くなったが、その代償として耐久性は低くなったと言わざるを得ないので、益々使いにくい仕様となった。全数釘打ち、更に割れた瓦の釘穴放置から耐久性は、ガルバニューム鋼板と同じ35年どころか、それ以下の耐久性になると思われる。となると・・・瓦のメリットはその意匠性だけになる。せめて釘を抜かないか、穴の補修又は外壁の釘の長さで紹介したとおり穴があかない工法になるとよい。その穴があかない施工がホールレス(クロス桟)工法であり、この工法なら瓦の止め釘がルーフィングまで届かない。何度釘打ちを間違ってもルーフィングに穴があかないのである。これは「緑の家」のクロス通気の屋根版である。これでSGLの屋根と同等の耐久生性となるり「緑の家」ではこの工法を瓦の場合の標準工法として今後進めていく。
科学や技術は進歩し、その一方責任は大きくなることで時代の主役はかわるのである。