高断熱高気密住宅は過乾燥になりやすいと言われる。その通りであり、時には間違っている。
上のグラフは、高断熱高気密住宅の湿度の日中変化と、同じ日の事務所内の湿度変化を測定したもの。
すると事務所のほうが湿度40%前後に対して、住宅のほうは、湿度、高断熱高気密住宅の湿度は50%前後になっている。これは当たり前の結果がである。住宅は高断熱高気密のため、換気量がしっかりと調整されている。換気量がある一定に調整されれば、そこは「気密住宅=防湿層がしっかりある」ので湿気の壁内流失や天井から流失も非常に少ない。一方事務所は中気密低断熱のオフィス(当事務所)。換気もいい加減で防湿層もない。すると部屋の空気はどんどん室外の絶対湿度の低い空気に近づく。だから住宅より乾燥する。勿論水蒸気発生源が住宅のほうが多いことも主要因。水蒸気発生源のトップは人。続いて洗濯物、炊事、風呂等。事務所ではこれらの水蒸気発生源のうち、人が主となるためたとえ高気密高断熱構造でも乾燥しやすい。だから高断熱高気密住宅より事務所のほうが圧倒的に乾燥感があるはずであるが、事務所ではいつも発汗が促される仕事が多いので ( ̄Д ̄;; 感じにくいかも知れない。
さて、ではどうして高断熱高気密住宅の湿度 は低いと言われるのだろう。(但し、赤ちゃんを始め、高齢者、病気療養中の方は、湿度60%位が体にやさしいと言われているので湿度50%でも注意が必要)
1.住宅では湿度計を良く見る機会が多い。(湿度計表示がいい加減)
2.家の大きさが住人に対し大きい。
3.すぐ洗濯物が乾くことを見て、心理的に思い込む。
4.発汗作用の低い時間が多い(就寝、休養時など)ので乾燥感を感じる。
ではないかとおもう。特に2の「家の大きさが住人に対し大きい。」は大きい理由。それは7年ほど前に始まったシックハウス法により、家の換気が義務付けられほとんどの場合換気回数(住宅内の容積に対し時間当たり何回空気が変わるか)が0.5回以上と定められたたため。私みたいに高断熱高気密住宅を20年作っていると、家の大きさが住人に対し大きいときの冬は、換気回数が0.30くらいあればよしと判断できる。この判断は、寝室にある給気量で決める。一人当たり一時間に25m3の空気が必要。すると4人家族で100m3となる。家の大きさが40坪であれば、家の容積は約360m3。この360m3の1/3は120m3となりほぼ一致する。ただし、当事務所ののような換気システムでないとだめ。当事務所は必ず寝室に強制給気扇を設置しているから。穴が開いているだけの給気口では、安定して空気を必要量供給できない。またセントラル換気のように家中で給気量を平均的に確保するタイプも厳しい。なぜか?はまた次の機会に。