築130年のotomo vie cent リノベ その24 土間キッチンに向けて                 

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10畳の茶の間だった空間の床を剥ぎとり、天井を抜いて原点だった小屋裏を露出させる。

「otomo vie cent」のリノベはどうなっている?との読者さんも多いと思う。確かにこの1年半は殆どリノベらしい事をしていない状態だったが、今年からまた加速してリノベをお手伝いしたいと思う。

12.5帖の時計の間。新潟県でのモジュール割りは2間より2間半が多く、10畳が基本形となっているようだ。

一昨年の夏から近親が亡くなった事後処理で人生初の弁護士さんへの依頼や、また愛犬の介護、そしてお見送り、さらには新たな家族、またウッドショック(こちらは業務であるが)だったりと、本当にめまぐるしい18ヶ月だった。このためリノベに割く時間はなく母屋の進行状況は止まったまま。しかしどうしてもここで来年を迎えたいとの想いがあるので、今年中にはなんとか土間だけも施工を出来るようにしたい。

まずはメイン空間である時計の間の床を剥がす。

この家の中心部の部屋は12.5畳が板の間だったらしい。但しそのさらに前は三和土でちょうどこの下にオクドさんがあった形跡が三和土にあったし、小屋裏は煤で真っ黒である。

床は当然木であるがこれは下地板ではなく、当時この上で「ござ」など敷いて生活していたので薄い杉板でなく松系の厚い床板24mm。さらに昔はモルダー加工機など無いから本実加工など出来ないので、雇い実による木の貼り方。

矢印がやとい実である。板幅は455mm程度と大変幅広な板となる。

この実があるので隙間が空くこともなく、ネズミやすきま風を防いでいた。結構手間のかかる材料の板張りである。

埃まみれだが、雇い実があるのがおわかりだろう。機械が無くあっても高価だった頃、手がんななどで溝を掘る事になる。

しかし最近の合板より壊すのは圧倒的に簡単で、大きなバールでひょいと持ち上げればすぐに外れる。そもそも外れるようにしておかないと、床下のメンテナンスが出来なかったのである。ここで改めて合板の強さを知ることになる。その隣の廊下が近年修繕してあり畳の下に合板(いわゆるベニア板)12mmが貼られているが、これを剥がすのが結構難儀である。多分この板張りより5倍ほど手間がかかる。釘は錆びていて抜くのに一苦労するし、抜かないとこれが外れない。合板は耐水系ではなく湿気の多い床下地で弱っているのにこんな具合である。大変と言うことは強度もそれなりにあるということで、身にしみて合板の強さ(水平力)を感じる。合板は一度自分で剥がすとその異常なほどの強さがわかるはず。

囲炉裏はこのような生火から始まったが、流石に生火では付き人が常時いなければいけないので、この後は木炭に切り替える。家の中で生火を扱える事は、住宅の原点に近く扱う喜びも木炭とは違う。

床を取り去って本来の三和土がでてくる。たたきになっている土は南側半分で、とても堅く締まっている。一方囲炉裏は近年移設設置されており、周囲はCBで内部板はステンレスの厚物板。ここに灰汁が深さ300mm以上は入っている。一辺900mmの正方形であるから灰汁の量は0.243m3もあり、最近はこのような灰汁を集めるだけでも大変である。

床を取り去ると本来の築130年の古民家らしい当時の雰囲気になる。そんなところにこの「otomo vie cent」の管理者さんがこられて、囲炉裏火をみて焼き芋ををご馳走して頂くことになった。

生火から熾火をつくりその上に木炭を載せる。囲炉裏は大きいので炭火なら五徳が5つくらい並べられる。

鍋下に小石を敷き詰めてその上に「紅遙か」や「シルクスイーツ」を入れ加熱すること200分。

ホーローの蓋を取った状態がこれ。

適度に水分の抜け焼き目がついたらできあがり。

焼き芋だけで昼食はOKなくらい完成度が高かった。

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