Bグレードで 等級7認定取得と今後の審査

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
「小新西の家」の長期優良住宅認定申請の書類。断熱等級7で認定取得。

昨年の春に設計が終了した「小新西の家」の長期優良住宅を申請した。昨年10月に断熱等級5、6、7が新設されたため長期優良住宅の基準が変わり、その後初の取得となった。

大きな開口部を持つ小新西の家のファサード。耐震等級3で断熱等級7を認定された。

「緑の家」では下位タイプ断熱性のパーケージであるBグレード(2010年策定)ではあるが、そのBグレードでも、国の最高位断熱性能の等級7をクリアーすることができるとこの小新西の家で証明された。

小新西の家の設計がスタートしたのは、2020年の7月・・・。このため、実施設計が終了した時点2022年4月ではウッドショックの影響をもろにうけ、なかなか施工会社さんが見つからなかったが、ようやく昨年暮れに若干の仕様変更(間仕切戸や自転車小屋、冷収納を取りやめ)を加え価格を圧縮し工事請負契約を工務店さんと結んだ。そして補助金を受けるために長期優良住宅を申請していたが、無事等級7で技術的審査を終了した。

今回のこの申請でわかったが、長期優良住宅の認定基準が昨年の10月にかわり、より厳しくなった。

ピンク色のところが判断値となる。紫色は太陽光発電などがないと難しく、黄色は断熱性に全く関係の無い定数であるためBEIには組み込まれない。

具体的には上の図のとおり、基準一次エネルギー消費基準にたいしBEIで0.8以下としなければならない。今回の「緑の家」Bグレードである小新西の家では、0.8以下に対し0.69と余裕でクリアーしている。しかもこのクリアーした仕様は、エアコンは建て主さんの支給品となるので機器効率を最悪数値とし、また給湯器も既存家から取り外し支給する物だったので、エコジョーズではない普通品でクリアーしている。それでもこれだけの余裕でクリアーするということは、つまりそれだけ建物の本体の断熱性がよいとのことになる。

しかも・・・窓に至ってはナント全てペアガラス(新潟県においてペアガラスの日射メリットはあまり無い)である。このようにトリプルガラスのサッシでなくともUA値0.26w/m2kの等級7を「緑の家」はBグレードでクリアーするのである。但し窓の大きさには左右され、全てのBグレードで等級7を取得出来るかと言えばそれは違うが、上の模型をみていただければわかるが、窓は大きい。これで等級7を取得できたのは、採光に効果的な窓は大きくし、それ以外は設けないか小さくしていたからである。

さてこの長期優良住宅の改正でわかったことは、再来年予定されている省エネの義務化と構造の審査の全棟義務化において、現在審査機関が助走体制に入っているということ。この今回の長期優良住宅とほぼ同じ審査が再来年から全棟で義務化される。これは審査機関では大変な負担であろうし、現在の確認申請の手数料が3倍くらいになること暗に示している。現在は新潟県なら確認申請は1.5万程度、しかし長期優良住宅は5万程度である。再来年からは確認申請も5万程度になる可能性がある。さらに・・・今回の審査で指摘もあったが、より細かい根拠が必要となる。これは構造計算なら一語一句評価書どおりの基準しか根拠にならないとのこと。例えば、告示による法律で規定された構造用合板の面材耐力壁は、巾が600mm以上あれば耐力壁としてカウントできるが、個別認定耐力壁であるダイライトは910からの耐力壁でしか認められない(認定書に600mmからの記載がないとき)。これが今まで曖昧であったこともあり、今後はより厳格化される。これによりより木造住宅においても設計業務が専門的に複雑化することになるので、構造計算を社内で完結できる当事務所のような設計事務所が優位になるのだろう・・・か?

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする