鹿嶋市の家 完成② 日常時の内外差圧計測

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「緑の家」はいつも変わったことをやる。この27年間欠かさず全棟で完成時に気密測定しており、今回もUA値で0.2(BELS認定)、隙間相当面積C値で0.2cm2/m2、と良い数値が出ている。そしてこの気密測定時は24時間換気扇類を全てOFFする規定である(JIS規定)が、換気扇が可動している日常生活時の建物内外差圧を測ったことがない。先月デシカを24時間換気扇とした時に不審な内外差圧があったので、当面のあいだ気密測定以外にも日常想定条件で建物内外差圧を測るつもりである。これで換気しているときにその家がどのような差圧になっているかがわかり、より確かな換気計画となる。例えば局所換気のトイレ換気扇がONになると一台あたり10Paの負圧が生じる。

さて建物の内部である。

2階はワンルームとなる家族の間。この南西側の窓から富士山が見える時もあるとのことでその方位を中心に窓計画を立てている。

階段室にコーナーサッシを計画するという変わった発想で窓計画。

サッシは国内最高断熱レベルであるシャノンUFシリーズ。

シンプルだからこそ夏用エアコンが目立たない様に壁と同じ仕上げ材で囲っている。しかもエアコンは通常より400mmほど低くして必ず平等に訪れる加齢時に、脚立なしでもメンテナンスが可能なように低くしている。このエアコン下にTV等が配置されるので、頭をぶつける可能性は低くく計画しやすいが、このように目立たない様にする配慮は必要。

また普段はまず行わないような床からのFIX窓は、ワンちゃん用の「お帰りなさい窓」であり、建て主さんが帰ってきたりすることをワンちゃんが確認する窓。

きっとしっぽをブルンブルン振るうのだろう。かわいいですよね~。

お帰りなさい窓。床からある窓は足下が見られやすいので珍しい。しかし意外と外から内部は見えづらい。
白矢印がお帰りなさい窓。外部景色が反射して内部は見えづらい。

基本設計から実施設計までスタッフMが担当して行っているが、23坪とコンパクトな床面積の家で如何にバランス良く玄関とホール面積を割り振るかを事務所内で議論した空間が下の写真。結局スタッフMの意見が合理的に納得できると判断して図面を弾いたが、まさしくどんぴしゃりの空間となった。

階段が7段あるので一歩間違うと危ない感じになるが、降りてきたときの長手方向と幅方向が絶妙であった。素足のまま靴を取り出せる。手すりは引っ越し後取付け。

「緑の家」は玄関ホールから階段がよくあるのでここはまさしく空間想像力を研ぎ澄ましミリ単位で決定する。

わずか畳み2枚のスペースに玄関タタキと靴箱、床下へ行く扉、ホールと階段が納まっている絶妙な角度がよい。

人の行動パターンから玄関の割合が広い方が今回は空間的つながりがよく、無駄がないので狭く感じさせないよい玄関とホールになった。

なんてことはない小さな空間だが設計のノウハウが詰まる空間構成。

そしてその階段は2階へあがる階段と被さり複雑な空間となる。「緑の家」の階差段廻りはコンパクトで且つ凝った重なりをする空間で、いつも絶妙であると自画自賛。

最後に既に廃盤になった洗面台の水栓。こちらは最後の在庫を建て主さんがネットで1年以上前に購入し保管していたもの。

先端止水ができる水栓だからカウンターを気兼ねなく木に出来る。洗面器は25年ほど使い続けている実験室用の陶器製だから頑丈で半永久的に艶がある。
床下エアコン設置の定番場所である洗面台下。上の板は可動式なので簡単にメンテができる。必要最小限度のシンプルさ。

オマケであるが・・・

プチ見学会時の最終チェックで一部のガラスが間違っていることがわかったのでガラスに大きく×をつけた。この取り違いは2件に一件発生するが、今後は全て原則遮熱ガラス(98%紫外線カットガラス)になるのでこのような単純取付けミスはなくなると思う。

ペケの付いた日射浸入タイプガラスは他の遮熱ガラスと取り違えて設置されていた。

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