良い家造りと工事監理者の重要性 その1

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国交省のHPより抜粋。矢印はこちらで記載。

一般の方が家をつくるときには、設計者と施工者と工事監理者が必要になる。設計者と施工者はだれもが知っていると思われるが、工事監理者とはいったい何者?との疑問があるかもしれないが、もし私が今の仕事していなくて一般の人であった時でも家を建てるなら必ず「施工関連から独立している工事監理者」を自身で選ぶだろう。

最初に工事監理者とは・・・

建築主の代理人として、設計図書のとおりに工事が実施されているか確認・監督する役割を担う者です。建築士の独占業務であり、設計図と現場の工事を照合して、建築物の品質確保、設計意図の正確な実現、安全性の確保、法令遵守の確認などを担当します。実際に工事を行うのは施工会社や現場監督であり、工事監理者は法的※な立場から指示・是正を求める役割を持ちます。
※延床100m2を超える木造住宅を建築する際は建築主は建築士である工事監理者を指名する義務も持つ。

AIによる回答にオレンジ部分を追加

上のとおりとなり、通常の木造住宅は建築士による工事監理者を指名する義務を建て主さんが課せられているので、下の確認申請書でも工事監理者を記名している。

実は半年ほど前の話であるが、ある現場で給排水工事で図面と違う排水工事がされようとして、これを工事監理者(オーブルデザイン)が見つけ施工者(現場監督さん)に聞いたところ、

「役所の指導でこのような変更になる。」との回答があり、それを工事監理者が本設計者に伝えたところ、「それならや無得ないが、図面と違う施工になることについて建て主さんに説明するので少し待ってほしい」と施工者に伝えた。当然工事監理者は私で設計者も私であったので、私が建て主さんに「給排水屋さん曰く、『役所の指導でこのような変更になる』との事で図面とは違う施工になりますが、〇×デメリットがあるがよろしかったでしょうか」とお伝えしたところ、「その施工は本意ではないので、少し何とかならないか、役所は近いので自身で役所に確認してきます」とおっしゃった。

その数日後建て主さんから連絡があり「役所に聞いたところ『特に設計図通りで問題ありません』とのこと」。

この建て主さんは他の仕事で役所に行くことも普通にある方だったので、それも含めて本来なら設計者が役所に交渉をするところを、遠方の地であるため建て主さんに相談・報告したのである。つまり私も「役所がおかしなことを指導するな」と疑っていたのである。

この回答から数日後施工者から連絡があり「給排水業者さんから『今回の指導の間違いは一般の住宅だと思わず役所の人が勘違いをして(現設計図ではNG)と伝えてしまったようです』とのことです。よって図面通り行います。」だがしかしこれを鵜呑みにする人は・・・普通の感覚ならいないだろう。

施工者(給排水屋)の事を信じて図面と違う施工をしてしまったなら建て主さんは大きなデメリットを被ることになっていたのである。

このように建築の専門家で施工者から独立した設計者と工事監理者が建て主さん側に立って考える立場だったので、未然に防げた不利益問題である。名誉のために申し上げると、施工者(現場監督)さんは特に悪意があったのではなく、逆にとてもよくしてくれる現場監督さんであったのに、このような事になる不思議。

実は最近も同じような事が起き、この一年で同じことが2度も続くと、つくづく施工者(現場監督)さんが良い方でも、業界の屁理屈で建築素人の建て主さんが不利益を被る事があるのがこの業界。だから工事監理者は施工者よりではなく、必ず「建築主に寄り添える立場の人」を建て主さんは選ぶべきだと思って、冒頭の私が家を建てるなら、自身で工事監理者を選ぶとのことになる。残念だが未だこのような建て主に対する不義理な事がまだあるので、設計者より工事監理者選定の方が重要な良い家造りの方法になると・・・この業界に40年いる私は思う。

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