26日は年一回行われる長岡市主催の海岸掃除日。
暴風雨のなかボランティアが大勢いらっしゃった。気温も高くなく厳しい状況であったがみんなしっかりと作業を行った。拾い始めてから40分ぐらいで終了。本当はもう少し行う予定であったが、気象状況が最悪で早期終了となった。(写真は金山海岸です。中央浜はもっとたくさんの人たちがいらっしゃったと思います)
皆さん!!お疲れ様でした。
軒の出が1mもある正統派のフォルム。アプローチの屋根の重なりが美しい家です。 軒の出を1m近く出すには、大きな部材が入ります。その部材は「たる木」と呼ばれ、通常屋根の中に隠してしまいますが、「緑の家」では堂々と露出です。
主要な窓は、木製サッシ「アンダーセン」の高性能400シリーズです。K値1.6~1.7です。家のQ値は、1.7w/km2ですので、SS仕様にはもうちょっとですが、内外インテリア等は拘りのもので、中霧島壁や、床下暖房+薪ストーブです。
家の和室に入るところには大柱があり、これは建て主さんと木材屋さんでチョイスしました。この大柱は35cm角のケヤキ製です。もう少し工事が進んだときご案内します。
この屋根もオークリッジプロというアスファルトシングル葺きの屋根で、洋風な雰囲気を出してますね。
3枚の図は、日本女子大学の平田准教授の建築学会の雑誌に載っているコラムからの抜粋である。
住宅の耐震性に対し建て主(予定あり18%、未定等82%)が、どのように考えているかをアンケート調査した結果である。それによると性能表示で定める耐震等級2、3(法律の耐震性のそれぞれ1.25、1.5倍の高い耐震性)を望む方は、63%と過半数を大きく超える事がわかった。 また、耐震強度に関する情報を設計者と対話したいと考える方は、90%にもなる。
ところが、新潟県の戸建住宅ではこの性能保証を利用する建て主はほとんどいない。いないだけなら良いが、たぶん耐震等級1(建築基準法ぎりぎり)の建物がほとんどのはず。というのは、耐震等級2の基礎は、制限が大きく、布基礎であれば立ち上がりの高さ(地中30cm+地上40cm)が70cmは最低必要であり、べた基礎なら地中梁による区画がしっかり確保されていなければならない。しかし巷でそのような基礎を見ることは少ない。特に人通口は基礎梁の計算で満足しなければならないので、標準の人通口ではNGとなる。ということは、一番肝心な基礎が等級2以上を満たさなければ、いくら上部木造部分が良くても等級1の耐震性になる。
このように戸建住宅では最も重要な安全性おける建て主さんの希望と現実に大きな差がある。
ここで面白いことはこのアンケートの返答者中、家を造る事はまだ未定という人が80%なので、曲がった情報がハウスメーカーや建設会社からもたらされない。そのため耐震性に対する純粋な気持ちと読み取れる。そうでないと、営業トークによる洗脳(基準法を守れば大丈夫!とかこの家は強い構造ですから・・・とかという根拠のない押し付け情報)で、耐震性は二の次に!と意識が変わるはず・・・。
布団 とバスタオルに包まれ、顔が見えないけれど触りたくなるようなふんわりした毛。自慢の「ビアンコ」です。トイプードルで18年目。事務所の設立時からずっと一緒。最近はご隠居さんで、ほとんど寝て過ごしていますが、何とか元気で自力で生活してます。ここまで元気なことビアンコに感謝してます。これからも元気で長生きしてくださいね。
次にわたしの愛用のキーボード、HHKB lite2 英語版です。このキーボードはとても小型で幅290mmとA4の紙より短いコンパクトさです。もう6年くらい使ってますがへこたれません。この上位機種がとても有名で高価なものですが、このLiteでもなかなかなものです(虹色に光っているのは朝日が水槽でプリズムされたもの)。テンキーはないですけれど、慣れてしまえば問題ありません。ただ英語版であるためOSとの相性がいまいちで、「Shift」キーが時々CADやExcelで問題を起こします・・・。
後ろにあるコンピューターは以前お伝えしたとおり自作機で、OSがVISTA64ビット版でメモリー8GB(4GBでも常に使用率85%以上だったので増設しました)で、3画面で使ってます。前のW2Kに比べればとても安定しておりますが、いまだ各ドライバー64ビット版がいまいちですね。
赤字は2009.07加筆
オーブルデザインは、雪が1m以上降ると容易に予想される地域に家を建設するとき、必ず、雪の対応にはどのようにするかお聞きしている。これは今後予想される地球温暖化による異常気象で、小雪だけでなく、ドカ雪による多雪もありえるからである。1昨年前には、妙高市の積雪が過去最高であったということは記憶の新しく、今年は逆に小雪。このように、両極端な気候が今後も予想される。新潟県にとって積雪も立派な災害になる。多雪が過去あった地域にとっての雪対策は、耐震性と並ぶ大きな備えであり、これを怠れば、専門家としては不誠実となる。
建築基準法によると、建物は地方自治体で設定されている積雪量に対して安全でなければならないと規定されている。それは三条市で1.8m2.0m(に変わりました) 、新潟市で1.0m、新津市で1.2m、長岡市で2.5m、新発田市で1.3m、柏崎市で1.3m、燕市で1.2m、吉田、弥彦でも1.2mとなる。この数値が適正値である。今の住宅のほとんどが緩和措置である雪下ろしを条件とする1.0mまでの減雪数値である。だから正しく考えると、耐雪住宅=適雪住宅であり、一般の住宅は減雪緩和住宅となる。
最後にこちらは、今建築中の三条市下田地区Y邸。 積雪2m。(この建物だけが地方自治体で設定している積雪量1.8mより多く計画している。)概略屋根の形状は、ほとんど平らに近い単純な屋根。木の外壁であれば軒の出を設け、ガルバニューム外壁の場合は、軒の出を設けない。
無塗装の木の外壁の家がとうとうお披露目になった。とは言っても足場が外れただけ。しかし木の雰囲気はばっちりと伝わる。
Q値はまだ正確に算出していないが、1.9W/km2くらいだ。その割には窓が大きく開放的。5月下旬には完成する。
このY邸は、プランはほとんど建て主さんがお考えになり、その裏付けを当事務所でしっかりととり、耐雪2m住宅としてご提案した。
Yさんは、ウェブで当事務所を探し当てて頂き、お選びになった。当HPは探しにくく、検索でもなかなか上位に来ない。そんな中お選び頂いたことについては改めてお礼申し上げます。
耐雪2m住宅なので外観はいたってシンプル。これは箱形にすることで、屋根の上に2mの雪をバランスよく載せることができる。加えて耐力壁が通常の約
1.3倍程度割増しでに入らないと、地震時の安全性を確保できない。これで等級2相当で、積雪1mであれば等級3相当になる。それとともに地盤面2mから固い土となる適所地に表層地盤改良、オーバースペックのよう壁、ダブル配筋の高さ1mのべた基礎など自然災害に対し極力被害が少なくなるように考えた高性能住宅。長持ち仕様だ。
玄関が奥に引っ込んでいるのは、季節風の様子によって、風除室を設置できるスペースを残したから・・・。
後は仕上げとなる「対のシンボルツリー」。これが植えられると木の無塗装の外壁がピシッと決まる。
私 が建築業界に入ったのは23年前。そのころから使い続けた定番の照明器具(パナソニックのNL56262)が今年で廃盤となった。少し寂しい。
この器具はご覧の通り壁に使う。本来なら天井につけるのだろうが、壁でないと雰囲気が悪い。一日の初めと終わりには、お天道様が真横にくる。その光でできる影と同じように横に照明器具を設置する。すると表情が穏やかにみえる。これは、食卓におく燭台(しょくだい)と同じ効果。横からの光に照らされてできる影は独特の雰囲気がある。だから廊下やトイレ、階段など横につける事が多い。 ご覧のとおり白い壁には独特の陰影ができるのも魅力。
木に囲まれた家にも似合う。時には鏡をくり抜いてつけることも出来ので事務所の定番器具になった。
この器具のよいところは、本体が鋼板製というところ。プラスチックが多い中、なんとなく金属にには引かれる。またこれに代わる定番器具を探すことにしよう。
熱の量=熱量というと何が思い浮かぶだろうか?やはり食べ物のカロリー(熱量)ではないだろうか?
物を動かすというエネルギーは熱と比べると意外と希薄なエネルギーだ。重さ1000kgもある車が時速60km/hから急に止まると、そのエネルギーの多くはブレーキで熱になる。確かに手では触れないほど熱くなるが、鉄が赤くなるほどではない。そのくらいで運動エネルギーを熱で吸収(置き換えること)できる。
車の燃費を10km/L、ガソリンの発熱量1L=9.6Kw とする。成人男性が一日に必要とするエネルギーが2300Kcal くらい。これをワットに直すと2.67Kwとなる。このエネルギーを運動エネルギーだけに変換すると仮定し、人間の食べている食品で重さ1000kgある車をどれだけ移動できるかを考えると・・・2.67/9.6*10=2.78km 一日で約3km車を動かせるエネルギーになる。いつも食べるご飯やおかずだけで造れる熱なのにすごい量である。車を押したことがある人ならわかるが、タイヤがあっても意外と押す力は大変。実際は人間の体温維持(つまり熱)に2km分のエネルギーを知らない間に使っているので、1kmしか動かすことができない。それだけ熱はエネルギー密度が高いといえる。
このように熱は密度が高いので、冬の暖房の熱のエネルギーロスがあると大きなエネルギーを捨てていることになる。たとえばQ値2.0w/km2の高断熱高気密の家では、冬の一日で96000wのエネルギーを捨てている。もしこの96000wの熱エネルギーをそのまま運動エネルギーとして車に使うことができると、普通車を100kmくらい走らせる事ができるくらいのエネルギーとなる。20度の室内外温度差がつく暖房期間が4ヶ月間あるとすると、100km*30日*4ヶ月=12000kmとなる。12000kmは東京新潟30往復くらいだ。車の燃費は敏感にわかるけれど家から逃げる熱はには鈍感。暖房(熱)はエネルギーの塊である。大事に使いたい。
現在施工中である旧栄町の性能表示住宅は、工事も半分を終えその雰囲気が徐々にわかるようになってきた。
納屋の外壁は、最近お勧めしている無塗装の杉の外壁。軒の出のある意匠とスッキリとした羽目板のバランスがとても良い。雨板にすると突然和風になるが、羽目板はそういう雰囲気にはならない。
雨板・・・新潟県の古くからの木の外壁のこと。縦に細い木を取り付ける貼り方。木の暴れが抑えられる。今でも田舎では使われる。
最近思う。木がなぜ気持ちよく感じるのだろう?その答えのひとつが色が変わる素材だからと思う。
自然界にある素材のほとんどが、濡れた時の色と乾いているときの色に差がある。いつも当たり前に見ているが、これが色が変わらない素材であったならどうだろうか?朝起きて外を見たとき、道の「濡れ色」を見て「ああ、昨夜雨が降ったのだな。」と感じることができるが、色が変わらない道路(カラー歩道)であればぱっと見た瞬間では判断できない。その瞬間に感じる空気感という表現があるが、この濡れ色も空気感の一部であると思う。
この無塗装の杉の壁は、自然界にある木の幹と同じく雨の時の色と晴れた時の色が大きく違う。また、年月が経ったとき、緑色の藻が所々生えたりもする。人間と同じようにゆっくりと常に変化している。だからこそ心に響くものがある。そんな素材の使い方(耐久性も大事にしながら)を心がけたい。
木の家といえば木の構造が思い浮かぶと思う。木の構造は日本では大きく4つに分けられ、「軸組み工法」、「2×4工法」、「ログハウス工法」、「その他(ハウスメーカー)」となる。県内で一番なじみの深いものは、軸組み工法であり、当事務所もほとんどこの構造で家を作る。最近この軸組み工法が2×4工法のよい所を取り入れ、プラットフォーム(床に合板を張り強くする工法)や耐震壁に合板を使うことが普通になっているため、両者は同じような形になってきている。しかし決定的に軸組み工法と2×4工法の違いがある。それは鉛直荷重をどの部材で支えるかということ。軸組みは無論「柱」で荷重を支え、2×4工法は壁で荷重を支える。ここが大きな違い。今日のブログは少々専門的な表現や記述が多いので読み飛ばして頂ければと思う。
軸組み工法の柱は、梁から荷重を受け取り柱で支える訳であるが、その接合部がとても重要なポイントとなる。昔はこの接合部を大工さんが刻んで作る「仕口」と呼ばれるものであるが、現在は「プレカット」と呼ばれ上写真の通り工場でこの「仕口」が機械加工される。この丸みのある形状のプレカットは軸組みの半数以上を占めるくらいまで普及しているが、当事務所ではめったに使わない。それは・・・
このプレカットは機械加工なので仕口は数種類程度の形状で統一される。そこに問題がある。新潟県は空間が大きく造られる家が多い。また雪の荷重で、関東の家より大きな力が仕口にかかる。図を見てほしい。これはプレカットで加工した仕口部分の模式図である。雪や床の加重は梁を通して柱にかかる。たとえば梁一本で約1000kg(10KN)の力がかかると、両端部には500kgづつに分散され柱に伝わる。この500kgをたった梁の端部15mm×120mmの断面で力を柱に伝えるのが今のプレカットの仕口である。するとこの15mm×120mmの面積では、片側529kg(松の場合、杉なら340kg)までなら木が押しつぶされなく支えることができるが600kgならNGとなる。瞬間的にはこの2倍1000kgまで大丈夫であるが、それでも1000kgというとそう大きい数字ではない。
一般的には床の積載荷重(梁用)が130kg/m2で、固定荷重が65kg/m2であわせて約200kg/m2で構造計算する。すると床の広さ10m2で2000kgになる。これは片側1000kgの重さとなりその広さは10m2で畳6枚くらいである。このようにあっという間にMAXの重さになり余裕がない。一方当事務所が標準としているクレテック金物を使った軸組みであると、529kgのところ1800kg迄大丈夫となる。瞬間的には3700kgまでOKという。この差は大きく、クレテック金物を使えば耐雪住宅や、12帖以上の広い空間をつくる時に有効であるため13年前から当事務所では使っている。
さらに地震時に梁が受ける引っ張り耐力もプレカット仕口ではクレテック金物より大きく劣っている。クレテック金物は少々高いが耐力的に今までの仕口とは大きく違うものである。
では、昔ながらの大工さんはどうしてかというと、大きい荷重がかかるところは、梁と柱の接合断面積を増やすように仕口を選んで加工していたのである。ところがプレカット加工では、工場でオペレーターが計画、加工するシステムで、いちいち細かい梁の力加減に対応できずに大きな力がかかっても小さな断面積の加工となる場合が多い。運任せに近いシステムともいえる。ただ、標準的な家や耐雪住宅でない場合は安価でよいシステムである。
三条栄地区で建設中の「緑の家 シェーカー風」が順調に施工されている。施工会社は栄地区一番の建設会社「住宅のよしけん」さんこと、吉田建設さんである。
シンプルであるが、素材や形、デザインを吟味した質実剛健米国版=シェーカー風である。
屋根にもこだわりがあり、アスファルトシングル葺きでケラバまで綺麗にシングルで納めるデザインで、日本の屋根ではないイメージを出している。見学会は6月20日21日に行われる予定。是非こだわりの内外装をご覧くださいませ!!
ケラバとは、切妻屋根の斜め部分の面のこと。通常板金(金属)で仕上げるのであるが、見た目はアスファルトシングルそのままのほうが良い。
アスファルトシングルは、コロニアル葺きにイメージが似ているが、手で曲がるほどやわらかい素材。だから雪下ろしに屋根に上がっても割れないので積雪地にも都合が良い。
三条下田地区に現在新築中の「緑の家」はこの春の陽気につられて、外壁が貼り終えた。とっても良い感じである。外壁も無塗装の杉板を貼る事で今後目指す「緑の家」となった(近くに寄るだけで気持ちよいですよこの外壁は)。
新築時の色も良いが、上の写真のような(拙宅)数年経った時の外壁色が好きである。シルバーグレーに近づきつつある。杉板なので最終的にはシルバーグレーよりも少しこげ茶色がかるはず。
2mの雪が屋根にあっても全く問題ない耐雪住宅の屋根は、上りやすく形がとってもシンプル。外周全ての屋根がちょっと雪庇防止の落雪であるため、珍しくアンテナは屋根頂上へ設置することになる。
最近木の外壁が使われているが、まちっがた計画が多い。木には必ず屋根が必要。一部雨ざらしでも耐久性がある「ウリン」などがあるが、これは例外。デザイン重視で軒の出の無い建物には木の外壁は絶対お勧めできない。たとえ防腐剤をたっぷり塗ろうとも、多雨である日本では耐久性は半分以下となり正しい使い方とは言えない。
上の写真は現在三条市に建設中の「緑の家」。見慣れた新築時の明るい木の色が青空に映えますね。また密に並んだ柱が構造計算に支えられた力強さを表現してます。また基礎が普通と違う事がこの写真からでもすぐわかります。
一方この写真は、ある分譲地の木の家の新築中(撮影は数年前であるが、今も同じ)のもの。こちらはほとんどの木の色が暗い色をしている。理由は、このメーカーさんは、ほとんどすべての木に防腐防蟻薬剤を工場で加圧注入し、色をつけている(色が付かない薬剤もあるが・・・)。
ここから先は好き嫌いで判断するので様々なご意見があることをご承知の上お聞きください。
私はできる限り薬剤塗布を木にしたくない派です。なぜでしょうか?
身近にある話を先にすると・・・最近、屋外で煮炊き、魚を焼ける釜場を作りました。その釜場では現場で捨てる木っ端を頂き、燃料にしています。このときやはり虫を一切寄せ付けない防腐防蟻薬剤が処理された木で、魚を焼くには抵抗があります。何か体に良くないと直感的に思うからです。自然の木でも燃やすと煙には「クレオソート」という劇薬成分が発生しします。昔このクレオソートの強防腐性を、鉄道の枕木に塗っていた事は良く知られてます。 この成分も体に良くないでしょうが、色々な化学物質が入ってますが人は何千年も前の大昔から木を燃やしそれで煮炊きや食物を焼いてきました。だからこの成分には多少体が解毒作用を持っていると考えてます。ところがこの防腐防蟻剤は数年ごとに成分が変わったり、薬剤自体が販売中止になっていることが常です。つまりそんなに頻繁に変わっていたら体の解毒作用は追い付かないと想像します。現実的に言うと、防腐防蟻薬剤処理された木の「箸」を使う人はいません。ある程度で腐ってもいいから何も塗らない木の箸がいいに決まっています!!
「緑の家」は国が定めた家の性能表示において、「耐久性」の性能が最高ランクで評価されます。しかし「緑の家」では薬剤処理された木は使う事はありません(2%はどうしてもやむを得ない所だけに使います)。一方下の写真のように普通に造ると、薬剤処理された木を使うことが多くなります。特にこの写真のメーカーさんは、ほとんどの木に加圧薬剤処理された木を使うことを自慢し宣伝してます。ここまで使わなくても、、国の「耐久性」の性能が最高ランクを取得できます。しかしこのメーカーさんは、耐久性の「正しい施工」に拘ってます。良いことです。普通の建設会社は工場ではなく現場で防腐防蟻剤を塗ったりしてますが、この現場塗り薬剤は耐久性が長くても10年といわれてますから、20年位たったらまた外壁を壊して防腐防蟻剤の塗り直しです。でもこれは現実には不可能です。だからこのメーカーさんは工場で薬剤を加圧注入するということで効果が長く発揮されるこの正しい防腐防蟻施工をしているのです。拍手ものです。(ではなぜ「緑の家」はそのままでも耐久性が大丈夫なのでしょうか?その理由はここにあります。)
しかし、私はこの正しく防腐防蟻された家に住む事にためらいを感じます。防腐防蟻処理された木は、虫や菌がほとんどつきません。そんな虫一匹住むことを許さない木に囲まれて生活して木の家の良さがあるのでしょうか?(感情論なので気に障る方は流しください)木は水や湿気があれば腐ります。だから循環する材料(自然素材)なのです。腐らないものがよければコンクリートで家を造った方が理にかなってますね。腐りやすい木を、できるだけ木のままで長持ちされる工夫が自然素材を使う「人」の知恵であり、先人の棟梁さんが伝えた知恵と技です。
「緑の家」の構造では自然素材の木に少し加工を施した集成材も多く使います。しかし集成材は、木と同じように腐りますし、虫もつきます。少しでも木のメリットである循環性を残そうとしてます。できれば私は集成材をやめて無垢材にしたいと思いますが、まだ品質、性能的に製材が一般的に勧められないので集成材を使う事にためらいはありません。しかし長期にわたって薬剤効果が持続する加圧注入された防腐防蟻材を大量に使う事にはどうしても抵抗があります。写真のように何十年も色が変わらない真っ黒い木の家は、これが自然と共存できる家とは思えません・・・。
2009年4月9日訂正。
木を燃やしてできるクレオソートは、正式には「木クレオソート」と呼ばれ、防腐剤として使われるクレオソートと全く別物でした。「木クレオソート」は医薬品として正露丸に含まていて、安全性は高いそうです。間違った情報を書き込みお詫びと訂正いたします。
事務所定休日である 昨日は快晴。拙宅の小さな屋上菜園では種まき準備です。昨年作った海の嵐から守る菜園の屋根。よく潮風から守りました。このトーメイな屋根で冬取りのスティックセニョールは収穫量も多く、とても楽しめました。
イソヒヨドリがえさの少ない厳冬時に、スティックセニョールの葉を丸々食べて管理者はショックを受けつつ、「冬のおすそ分けだからよし」と寛大な言葉。
自然農で全く肥料を入れない菜園。そこで不思議とよく育つ緑。
時にはイソヒヨドリがスティックセニョールを食べた代わりに落とした、よくわからない木の赤い実が芽吹くこともあるらしい。小さいけれどミラクルワールドですね。
鳥も人も犬も狸もみんな無事に冬を越せたことに感謝です。
性能表示住宅を三条市で建築中とご案内した。現在は屋根下地や外壁下地を造作中。その屋根下地であるが、新潟県の屋根の主流は「ガルバニューム鋼板葺き」である。当事務所でもほぼ100%がこの屋根である。ところが、今年から100%アスファルトシングル葺きに変わってきている。 アスファルトシングル屋根は写真のような感じの仕上がり。20年位前にアスファルトシングル屋根が流行し、一度は手がけたことのある屋根屋さんも多いだろう。しかし当時の商品は粗悪品で苦労したと聞いている。もともと素材は道路のアスファルトと同質の石油製品。アスファルト自体は古くから屋根の防水に使われてきた実績のあるもの。昔はそれを浸み込ませた基材となったものが紙質のようなものであったため、粘りがなく風で寸断され飛ばされた。今の製品は基材にガラス繊維を使い。それにアスファルトを浸み込ませ防水性を確保するというもの。基材がまるっきり違う。メーカーの説明によると、なんと北米極寒のアラスカから灼熱のグアムまで半分以上の戸建住宅の屋根に採用されているらしい。耐久性も30年とガルバニュームと同じくらいで、価格も同等か低いぐらい。そして何より写真のとおり意匠がよい。特に私はこの屋根材の特性上、20年も経つと色が変わったり、藻が生えたりする可能性もあるところが気に入っている。これはうれしい。藻が生えたりすると嫌う人が多いが、最近は屋根緑化が流行中。私は雨漏りしなければ全く問題ないと思うというか、緑色屋根大賛成である。
しかし気をつけなければならないところがある。それは、今まで施工されていない屋根の防水下地(所謂ルーフィング)と水切りの両面テープ貼りが必要だということ。従来のガルバニューム屋根は、水切り板金と屋根が一体になるため、このテープは貼られていないくても全く問題ないが、関東で主流のコロニアル葺きなどは、このアスファルトシングルと同じため、両面テープ貼りが普通。そして今年から瑕疵担保保証加入住宅では、この両面テープ貼りが原則だ。 重要なポイントなので是非上棟時見てみよう。新潟県ではたぶんほとんどの住宅で施工されていないはず。しかし瑕疵担保検査員はチェックしていないと思われる。だって検査に来るタイミングは、この上に屋根材が貼られてしまっているから。やはり工事監理は専門の監理者が必要!!←自画自賛ですみません。
ちなみにアスファルトシングルはまだ耐雪住宅での採用は見合わせている。それは耐雪住宅が普通の屋根より勾配が緩い事と雪圧力が普通の2から3倍になる為。
三条で建築中である無塗装の木の外壁が、着々と完成に向かっている。外壁は上の写真のとおり杉の無塗装の羽目板。いい感じですね~。
完成は、写真(模型)のように非常にシンプルなBOXの形。これは地域柄、2mの耐雪住宅のため。木の外壁の時は、軒の出は大きいほどよい。軒の出がない建物に、木の外壁を使っているところをたまに見るが、腐食が早期に始まり見るも無残なことになる可能性が高い。昔からの大工さんはそのことを親方からよく聞いているので、屋根のないところに「普通の木」を使うことはしない。木の塀でも屋根があることは見慣れた光景である。
木は無塗装でも意外と耐久性はある。上の写真は築50年は経過したと思われる木の外壁の建物。道路に近いところは、緑色の藻が生えているがいまだ現役(藻は木を腐らせる腐朽菌ではない)。これを汚いと感じる人にはお勧めできないが、私にはとてもエコに見える。無論こういった建物から連想するのは、かび臭く寒い家となるので、なんとなく印象が悪いのであるが、中が暖かく清潔ならどうだろう。そのままの木はエコ住宅の代表である。
下の写真は田舎でよく見る「雨板貼り」の家。築30年位だろうか?無塗装の木の外壁はこのような色で落ち着く。ここに緑(木に葉)があるととても感じがよい。無塗装の木の外壁には必ず「シンボルツリー」や、花等の緑と共にある必要がある。まさしく「緑の家」である。
緑字は2009.04.02加筆
加筆前回の性能表示 耐震等級2の基礎②では、「緑の家の基礎は一体打ち込み」とご案内した。なぜ一体打ち込みがよいか?
しっかりと管理されたコンクリート建築は、打ち継ぎがあっても問題ない。そうでなければ、コンクリートの高層建築ができるはずもない。よって住宅の基礎では、2回打ちでも1回打ちでもしっかり管理すれば構造耐力に差はなくどちらでもよい。ではなぜ一体打ち込みにこだわるのか?
上の写真はある大手メーカーのべた基礎完成風景。公道から撮影しているので少々荒れている画像であるが、赤丸のところを見てほしい。この部分がベースと立ち上がりの接合部分。素人でもここがつながっていないことがわかるジャンカが見える。これは2度打ち基礎工法で基礎立ち上がりを打つ際、周囲まできっちりとコンクリートが入らなかったのである。たぶんコンクリート強度(水セメント比)を高くした高品質生コンが裏目となって、打ち継ぎに隙間が発生してのだろう。しかししっかりとバイブレーターを掛ければジャンカはなくなるはず。きっと全体的にこの現象があるので、施工管理が甘いと想像できる。しかしジャンカは大きな事ではない。表面を直せばOK。問題は施工管理が甘いと、ジャンカ以外に一番怖いレイタンスをそのままにして打ち込んだ可能性がある。これは問題である。せっかく立ち上がりが低い事をべた基礎のベースを一体化することで高くするように考えられている基礎なのに、これでは一体化にならない。また、この打ち継ぎの大きな欠点がある。今後完成時に図のように間違って地面の周囲が高くすると、雨水が床下に進入する恐れがある(当事務所でも一度経験あり)。「緑の家」のようにいつも人が入ってメンテナンスしている床下ならすぐわかるが、そうでないと床が腐るまでわからないことになる。
このような管理が大変なので、一体打ちをお勧めしている次第である。すると下の写真のように、一体の基礎ができる。これで設計計算どおりの基礎体力が確保される。
この写真は緑の家の基礎で、型枠をはずしたばかりのところ。立ち上がりとべた基礎のスラブとの境は全くない。一体化されていることがわかる。気泡が抜けきっていないが、耐力には影響はない。右下のところは、コンクリート型枠が他の部分とは違っていたため、色がついた。
写真を見ていてもうひとつ不思議な事に気がついた。一番上写真の大手ハウスメーカーの家の基礎は、基礎が土の中にないのである。所謂根入れが浅いのである。法律では120mm以上だから、たぶんぎりぎり問題ないと思われるが、すごく不自然な基礎である。上の「緑の家」の基礎は、周囲が掘り込んである事がわかると思う。これで根入れは220mmである。