新潟での自然素材・・・床は無塗装

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この写真は緑の家でよく使うヒノキの床板の8年経過した写真。

こちらは新潟市で竣工当時の松の床板。無塗装ですが、8年たつと上のようにぴかぴかになります。素材は違いますが、針葉樹である松やヒノキ、杉には、木本来が持っている脂(ヤニ)があり、その脂と人間の足の摩擦(分泌類を含む)で表面がピカピカになります。

広葉樹であるカリン、梨、桜、カバ、ナラ、ケヤキ、タモ等では、この脂がないので無塗装ではぴかぴかに成ることはありません。そればかりか、カサカサになり、ざらざらとささくれができます。したがって、床に使う場合は人間が故意に油(オイル)成分を補給します。拙者が小学生だったころ、小中学校では、ナラの床が多かったので、一年に2回以上は油をわざわざ床に塗る日がありました。今の学校はリノリウムやPタイルなのでないでしょうね。40代以上の人は懐かしい油の匂いはまだ記憶にあると思います。

近年は自然素材ブームなので天然木の床を使っている家が多いのではないでしょうか?その多くが間違った使い方や認識をしています。
例えば、針葉樹である松やヒノキの床に蜜蝋ワックス系を塗る行為。これは大変な間違いです。そもそもワックスとはローソクの「蝋」と同じで、常温で固体です。ですので表面に蝋を塗ると薄い膜ができ、「木」本来の吸水性や温かみを阻害します。蝋は蜜蝋であっても床に絶対塗ってはいけません。一度塗ると、2年に一回は塗りなおさないと、表面のうすい蝋が所々はげ、剥げたところだけに汚れが集中して染込み「まだら汚れ」となります。これが一番みっともない汚れ方です。私共事務所では、12年間一度も蜜蝋ワックスをお勧めしたことがありません。今後もないでしょう。これは過去に蜜蝋を塗った木が、不自然で汚れがひどくなる事を経験したからです。欧州で蜜蝋が床のオイルに混入されているのは、彼らは靴や室内履きを使う習慣のため、素足で歩くことがないからです。結果、足からの分泌類は木に補給されず、自然に艶は出にくいし、靴は汚れを持ち込むので汚れやすい蜜蝋でもOKなのです。
針葉樹系の床は間違いなく無塗装が理想的です。木自身の脂でゆっくりと光るその艶は、人工で造ったつやとはちがう品のよいものです。
また温かみがなくなるというのは、無塗装ではどんなにつるっとしても表面がでこぼこしてます。そのため、手や足で触れても密着せず空気が間に挟まります。これが温もりと感じるゆえんです。ですのでその表面のでこぼこをなくす蝋成分を塗ったとたん、冷たく感じます。一度お試しください。目に見えないでこぼこが如何に木の温かみの貢献しているかわかります。
建て主さんが、感覚的に自然素材の木がいいね!という事は問題ありませんが、木のプロである施工会社の人がこういった基本的な木の事も知らずに自然素材がよいと宣伝したりするのは勉強不足としかいいようがありませんね。

さて、今は針葉樹の木のことでしたが、最近は広葉樹の木のほうが多く床に使われていると思います。広葉樹とはカリン、梨、桜、カバ、ナラ、ケヤキ、タモがあります。こちらは脂がないので最初からオイルを塗る必要があります。もともと針葉樹より硬い木がほとんどなので木の温かみが落ちますので、オイルを塗ってもそう印象はかわりません。しかし裸足で歩く場合の床は、ワックスは避けオイルのほうが肌触りやメンテナンスはよいです。スノーボードやスキーをする人なら想像できると思いますが、蝋は水分をはじきます。つまり肌触りにとっては最低な条件です。

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