最近の暑さにはもうヘキヘキしていらっしゃると思います。ようやく明け方の最低気温が24度になってきました。もうすぐ秋です。乗り切りましょう。
さて熱中症で亡くなる方が連日報道されていますが、その殆どの方は高齢者でなくなる時間は夜とのことです。暑いことで亡くなること、これはとてもつらい事です。人ごとではありません。しかしエアコンの設置率が2.5台/件を超える今の世の中でどうして夜に発症するの?という疑問がありますから解説と対策をオーブル流(荒っぽい)で考えてみます。
全国地球温暖化防止活動推進センターウェブサイト(http://www.jccca.org/)より
熱中症でなくなる方の殆どが、エアコンを使っていないで夜を過ごす高齢者です。
あるアンケートによるとエアコンを使わない理由は・・・
1 体に悪い(と教わった)
2 お金がかかる(と思う)
3 自然ではない
とのことです。
確かに私が子供のころ(40年前)はエアコンが家庭にある家は大変希でした。そしてその10年年後には一般家庭にもエアコンが普及し始め、さらに10年後(今から20年前)には普及率は60%を超えました。
このグラフは40年前と現在が殆ど気温、湿度とも変わっていない事を示す。楕円部分のように今年のように気温が高い事は過去にもある。変わったのは人の生活、文化。ただし気候統計はデータの選び方、見方で大きく与える印象が違うのでこのデータが全てではない。
良く巷で
「地球温暖化の影響で最近の気温が高く、熱中症が増えている」
と言われることもありますが、これは誤り(だと思う)です。
最近変わったのは気候ではなく、我々の生活や文化です。
上のグラフは新潟市で過去40年間の8月の日最高気温(日中)と日最低気温(明け方)と更に湿度(絶対湿度)を示したものです。見ると殆ど40年前と変わりありません (そもそも気候のような人と時間スケールの違うものを40年ぐらいの時間軸とピンポイント地域で比較すること自体ナンセンスですが、自己経験で判断する私は、40年位の単位で述べた方がわかりやすいのでそこはお許し下さい)。
私達の何が変わったか?
1 夜は窓を開けっ放しにできない(防犯心理上)
2 待機電力(熱)や家電製品から発熱が倍増
3 都市の密集化により通風がとれない
4 3に加えて全開口部に網戸設置で更に通風阻害
5 肌着が室内でも敬遠される社会になった
6 蓄熱素材が多くなった(コンクリート、舗装道路など)
どうですか?すべて思い当たりありませんか?
気候が急に変化したと言うより、人の生活が急変したのです。ここの認識が高齢者ほど薄いので エアコン=贅沢、健康に悪いとなるのでしょう。
蚊取り線香で網戸のなしの窓全開、近隣の目線は気にしない、家電は小さなTVと小さな冷蔵庫だけ、更に40年前は男性ばかりか女性も真夏は肌着に近い状態で家にいました。こんな東南アジアの住まい方を日本でしていれば何とか暑さを凌げます。だから当時、家を建てる時はエアコン設置など全く考えない家造りだったのです。しかし今その家は暑くてエアコンが効かない家です。だから電気代もかさむし悪循環となるわけです。
TV報道ではこんな理由については積極的に伝えられず、
「熱中症対策に窓を開けましょう」
と言われてますが、
「エアコンを設置し、夜は運転してくだい」
と伝えた方が現実的な解決ではないかと思います。エアコン設置が経済的に厳しい世帯には、移動可能な小さなエアコン(高効率を開発)を行政が貸し出す事で解決できます。貸し出しなら税金を一個人の不動産に使う事ににはなりませんし、緊急防災用としても使えます。仮に1kwと小さいエアコンでも夜であればある程度の効果があります。電気代はCOP効率が3であっても333W×8時間×25円/kw=67円/日→2000円/月です。病気なってお医者さんにかかるよりはよいと思います。
これからもっと都市の住まいは「エアコン」を前提とした住まいに変わる必要がありますし、今後計画する家はエアコン設置と運用が必然で、それを効率よく使う家にならなければなりません。緑多く敷地が雄大な田舎なら冷房は必要無いかもそれませんが、それでも暖房は必要ですよね。その暖房はエネルギー高騰の問題で今後エアコンになりますからやはりエアコンを前提した建物に間違いはありません。仮に今後エアコンがまるっきり使えない世の中になったら、その時は世界の人類の生命の維持さえ難しい事件が起こる時ですから諦めがつくというものでしょう。
家造りで重要な事は・・・
エアコンは科学の賜です。だからそれを前提に考える家も科学的に根拠が必要でしょう。これが法律で規定されている性能評価では「温熱環境の性能」と呼ばれ、
Q値(断熱の性能 温、冷熱のにげにくさ)
C値(断熱の性能 冷、温空気の逃げにくさ)
μ値(日射侵入の性能 夏の太陽光の入りやすさ)
となるのです。重要な指標です。必ず新(増改)築前にチェックしましょう。
そして次に大事なのがエアコンの選定と使い方。これは今度、今までの事をまとめてお伝えします。