2010.10.23緑字加筆 2010.10.29茶色字加筆
今度編集者さんと一緒に飲みに行きたいくらい・・・(いやがられるでしょうが)
またまた素晴らしい情報提供です。勿論これは日経ホームビルダー(日経BP社)11月号。取り上げた話題は「気付かない屋根の悲鳴」
いいですね。素晴らしい内容です。写真は荒く加工してあるのでぜひ本を購入してお読みください。
当事務所も何回も屋根のテーマをこのブログで書いています。
そしてその結論は、
屋根の防水の耐久性(屋根素材の耐久性ではない)は、屋根素材の耐久性ではなく、下葺き材でほぼ決まるので使用する屋根素材、例えば瓦、金属、スレート、木などで大きく左右されないと申し上げて来ましたが、それを裏付ける一部ではないかと思います。
過去の記事
http://arbre-d.cocolog-nifty.com/blog/2009/05/post-29bf.html
http://arbre-d.cocolog-nifty.com/blog/2009/05/post-a943.html
ちょっとショッキングな見出しです。従来の住宅に多く見られる屋根形状が複雑で、下地がアスファルトルーフィングならこの数字は不思議ではないと思います。
屋根の複雑な家はどうしても谷という部分ができるのでそこで水漏れが起きやすくなります。先ずはシンプルな外観が屋根の耐久性も高めます。
そして重要なのが下葺き材と言われる2次防水材です(私はこの呼び方はあまりしたことがない。私にとって瓦やコロニアル、スレートは防水ではない。ただの水切り材です。)。
http://arbre-d.cocolog-nifty.com/blog/2009/11/post-6569.html
下葺き材とは屋根の下に葺かれるシート状の物です。そして防水性はこのシートが一手に担うと私は考ているくらい重要な部材です。ですので当事務所は設立時からゴムアス系のアスファルトルーフィングしか使っておりません。普通のアスファルトルーフィングに比べ価格は2倍以上のこともありますが、ここはケチる部分ではありません。
さて、9割の家が劣化原因となる下葺き材のどの部分にその原因があるかというと、普通の工務店さんがつかうアスファルトルーフィングは手で簡単に切れる位もろい物です。実際触って見れば直ぐわかります。すこし曲げただけでもヒビが入って切れそうな感じです。これでは30年位経つと問題が生じると普通は想像できます。
またアスファルトルーフィングは屋根の完成時には穴だらだと知ってますか?
普通、地震や台風などで屋根材が飛ばないように必ず釘を打ちます。昔は和瓦は釘など打たないのですが、今は地震で落ちないように和瓦でも釘は沢山打ってあります。ですので防水材のアスファルトルーフィングは穴だらけなのです(あぁ 更にタッカー釘を考えると蜂の巣状態。その状態で職人さんが仕上げ材の施工するので、体重で下葺き材がずれて穴が広がる)。加えて屋根は夏冬の温度差や地震、台風で動きます。動くと屋根材を支えるために打ち込む釘穴周囲が広がり、ここから豪雨時に雨が染みこむのです。この穴が大きくならないように改良されたのが、ゴムが配合されたゴムアス系のアスファルトルーフィングなのです。配合されたゴムが釘穴の周囲に伸びて張り付いて穴をふさぐように働きます。だから水がしみ込みにくいのです。←染込みであって漏水にまで至らないのです。しかし雨の降る度くり返し染みこみ、少しづつ進行する屋根の劣化に気づかず冒頭の見出しののような事になるのでしょう。
さらに最近は透湿ルーフィングと言ってゴムアス系ルーフィングの性能で更に湿気だけは通してしまうもっと優れたルーフィングもあります。コストが見合えば採用をしたいと考えてます。
さて以前から屋根の耐久性は建物の部位では一番最後に考えるべき所と申し上げております。これは歴史が証明しています。屋根は簡単に葺き替えができるものなので、30年~50年保てばそれで良かったのです。その証拠に今でも屋根を木で葺いている建物、重要文化財は多く存在します。今日もたまたま通った新潟市江南区の中野邸美術館の長い塀屋根は木でできていました。
上の写真ではわかりにくいですが、この長い塀の屋根は木でできています。こんな立派な塀なのに瓦ではないのですね。もちろん木は大変薄く9mmくらいしかありません。だから腐りにくいのですね。良い雰囲気です。
瓦を固定する釘が下葺き材を貫通しないようにホールレス工法などが紹介されている。
怖い屋根に通気層がない屋根断熱の紹介もある。この辺も10年以上前からオーブルでは警鐘をならしていた。そのコラムはここ。