厚物構造用合板の勾配天井は危険かも。 補足編

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小屋裏は振れ止め・筋かいで和小屋らしく一体空間化させ、桁下地回りは2階と明確に分けると構造計画が明確になる。赤ラインが厚物合板の位置で、青ラインが防湿気密シート。

前回の内容では一般ユーザーさんでは図もなくわかり難かったであろう。補足では図を紹介する。上は厚物合板を貼ったときに最も無難な構成で設計した図である。

余裕のある矩計。水平面剛性を確保するために、28mmの構造用合板を桁上端にはりつめる(赤い部分)。その上に気密シートで防湿層を造り断熱材を450mm施工する。その外側は大きな小屋裏空間を持つので、従来の日本家屋の夏型結露に対し最も安全な構成。この時の建て主さんのご要望は60年以上のノーメンテナンスの屋根であった。このためルーフィングも一般のゴムアスの耐久性30年より倍の60年耐久性のルーフィングを選んでいる。また天井もはり、照明器具の配線のやり替えなどにも対応させている。

次は「緑の家」でコストをにらみ最もスタンダートな構成の厚物構造用合板貼りの構成である。

こちらの上の構造と考え方は同じ。構造は小屋裏空間と2階の地回り下空間で明確に分ける。赤ラインが厚物合板の位置で、青ラインが防湿気密シート。

耐震等級3を耐雪2.5mで確保するために、厚物合板を28mmを桁上全面に貼る。
天井仕上げの直ぐ外部側に防湿シートを貼り450mmの断熱材を施工。その上に少し自由に動く空気層50mmを設け、ここに外気をいれるために小穴を均一にあけた厚物合板を桁上にはる。一マスに4個の50Φの穴があるため合板裏で結露は防がれる。また厚物合板の上にも小屋裏がしっかり確保してあるので、小屋裏換気も自由にでき夏型結露の蒸し返しも防止できる。このような構造なら安心して厚物合板を貼ることが可能である。

「緑の家」では登り梁上に「厚物」構造用合板をまだ計画したことがないので、その事例はご紹介できないが、薄物構造用合板を屋根勾配なりに貼った時の事例は多く下のリンク先を参考にして頂ければと思う。23年前から勾配天井時でも「厚物」合板を屋根面に貼らないように、水平面剛性は火打ちMAXで設け、薄物合板を屋根に貼ることで確保していた。

3年前の五日町の家、今年の笹越橋の家白山浦の家でもその構成の勾配天井を設計している。今度厚物合板を勾配面で利用しつつ内部結露や夏の蒸し返し結露対策した「緑の家」を設計する予定だが価格的に見合うかどうか見極めたい。

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