黒アリが断熱材を巣にする・・・北海道の事情
熱交換型換気は省エネではなく、寒く感じさせない配慮の設備

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ふとしたことから北海道住宅新聞のページに飛んでいき、そのページには・・・

黒アリが基礎断熱材を巣にする事が問題

とあった。

あの寒い北海道だからか、それともあの寒い北海道でも・・・だからだろうか?

基礎断熱を採用し始めた30年前は、よもや基礎断熱内が黒アリの巣になる事なんて考えていなかっただろう(所謂・・・想定外)。

でしょう・・・。だから何時も言っているのである。地中の生物なんてまだ全容把握していないし、仮に現在の把握していても、生物は進化するのであると・・・。

黒アリが断熱材を食料としていないので大きな食害穴はないと思うが、これは黒アリのとき。他の生物が今度は劣化要因を作り出すかもしれない。特に温暖地域では地中生物が活発なので。

多分・・・炭素Cと水素Hで作られた化学物質は簡単に生物分解され二酸化炭素と水になりやすいと考える事。つまりそれらは建築物としては一般的には構造材として扱わない。その中で例外として使われるのが乾いた状態の木材である。

黒アリ事件があっても北海道は布基礎が主流であるから、構造とならない垂直(立ち上がり)、水平方向(土間コン下)に断熱材を入れられるが、べた基礎が主流である本州以南ではべた基礎の下に断熱材を厚く入れるのは・・・構造に影響がある将来の想定外を生むだろうと思っている。

次は換気だがーーーーーーーー

北海道といえば床下に給気を入れ予熱する換気方法が多い。

本州では夏季にこの方法で行うと床下内が高湿になりダンプネスの心配がでる。よって気軽に行う事はできないが、気持ちは大変理解できる。

新潟県のような雪は降るが気温は下がってもせいぜい氷点下2~4度くらい地域であると、第一種全熱交換で問題が起こることが少ない。この時の問題とは・・・

「給気口の近くが寒い」

と言うこと。

U値が0.3w/m2k程度又はそれ以下の超高断熱高気密住宅になると、壁、床、天井では全くと言って良いほど冷えた空気が発生する感じはない。樹脂サッシのガス入り複層ガラスUw値1.4w/m2k程度であると少し寒い空気が発生するとわかるが、カーテンを閉めると、寒さを感じる事は少なくなる。従って寒く感じる空気が発生する最大の場所が換気システムの給気口付近である。

このため「緑の家」では超高断熱住宅を始めた9年前から熱交換換気を標準として、5から6年まえから全ての換気が熱交換型換気システムになった。それまでは一部にはまだ熱交換なしの換気システムを使っていた(効率とメンテナンスは熱交なしが優れている)。

一方、数年前から新潟県より寒い地域で設計を行う事が増え、そこで感じる事は・・・

「熱交換型換気システム」を使った給気でさえ・・・寒く感じる。

つまり・・・新潟では最低気温が氷点下2~4度くらいの時には全熱交換率が65%として、

(OA-SA)/(OA-RA)×100=65%(エンタルピ)なので

室内温度が24度RH50%、外気温度が-4度RH75%であれば、SAは18度RH50%となるが、

室内温度24度RH50%、外気温度が-10度RH75%であれば、SAは15度RH50%となる。

つまり3度低くなる。

この3度の違いは大きい・・・。
新潟県でも工夫しないで熱交無し換気であれば、当然寒くてクレームになるが更に寒い地域は熱交有りでも工夫が必要かも・・・と思った。その結果がもしかして床下に給気を一度入れてから居室に運ぶ換気方式なのであろう。理解は出来るが・・・やはり本州以南では床下にダイレクトに給気を入れる事は避けたい。

ダクト式換気ではそのSA口の配置だけである程度寒さの解決出来るが(ダクトもスパイラルにすれば完璧)、ロスナイ型の個別熱交換気において今後どのようにすれば寝室などに寒く感じる事が少ないようなSAを20~25m3/(人・時)供給できるか?・・・課題である。

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