「 2010年 」一覧

自然素材で超高性能の新潟の家 見学会 ②

2階の階段を上がったところ。

今週末の23日24日に行われる見学会の内部です。
ようやくクリーニングが始まり、床に貼ってあった養生シートが外されました。
光らない床は無塗装の証で、かれこれ12年以上前から「緑の家」の定番。10年経過した家では、ピカピカの表面になってます。荒く使うと直ぐに傷が付きますが、それが物を大事にする気持ち育みます。

左手の壁の陰影。こちらは漆喰コテ塗りの証です。流行の漆喰は色々なタイプがあり、一番安価なものはクロスに漆喰を混ぜたもの(漆喰とは言わないかも)からローラーや刷毛で塗るもの。そして今回の家のように、コテで塗るもの。勿論コテ塗りが一番風合いがでます。特に今回の漆喰は西洋漆喰で厚さ2~3mmと日本の漆喰の2倍の厚さ(日本の漆喰は1.5mm程度とかなり薄い)があるのでコテムラを残す事で風合いがあります(建て主さんとそのご家族で全て塗りました)。

普通漆喰は真っ白です。が、今回の西洋漆喰は黄色い石の粉でベージュ色をつけてあります。
だから穏やかな感じになります。

床下に設置された、排湯熱回収装置です。

シンプルな熱回収装置です。オーブルデザインのオリジナルで実用新案か特許申請予定です。
その装置の奥に見えるのが床下暖房用の「高効率エアコン」です。暖気が床下にまんべんなく対流するように隙間があることがわかります。

床下に貼り付けた断熱材はグラスウール換算で240mm。この床下がHeatingFactoryです。ここを見るだけでも価値はありますね。


自然素材で超高性能の新潟の家 見学会


天井のデザイン変化がよい感じです。

23、24日に新潟市で行われる見学会の内部(施工中)です。
最近、天井のデザインが気になります。平らな天井ではつまらないが、一階は勾配天井もできない。そんなときは、こういった天井は如何でしょうか?
部分的に2階の床裏が見えたり、梁が見えたり・・・ローコストでできます。
こういう天井は構造も一緒にデザインしないと見栄えがしません。つまり構造計画も設計者自身が行える、そんなスキルが必要です。普通の設計者では、構造の梁全てのサイズを決めることはその構造図を描かないのでできませんが、オーブルデザインでは設計者が構造図も書きます。だから構造材でデザインできるのです。

「「えっ」大工さんが決めるのではないの?」
と思った方もいらっしゃるでしょうし、
「「えっ」そんなの当たり前」
と感じたひともいるでしょう。

住宅位の建物規模なら、設計者が全て決めたほうが、構造=デザインになり、より楽しい家になります。

お待ちかねの床下暖房です。1380mmもある床下ですから、お掃除もしっかりできます(いまお掃除してます)。このくらいあると温風もいきわたる事がわかりますね。奥に見えているる四角い穴の下の基礎の高さでも普通の家の基礎の高さより高い(しっかりしている)のですよ。凄い基礎です。基礎は取替えが一番できないところなのでしっかりとしたいものです。

これは玄関の床です。建て主さんのご家族がデザインしその施工もご自分で行いました。完成度が高く設計者出る幕無しですね。
因みに厚さ3cmくらいの大理石ランダム貼りと白モルタルの子砂利洗い出しの組み合わせです。


長く愛する住宅を作る為 ⑤ 新潟という地域にふさわしい性能

柏崎市で積雪105cmと100cmを超えるなんて信じられません。長岡でも既に120cmを一時的に記録し4年ぶりの降雪。

先日も申し上げましたが、地球温暖化は、気温が上がるだけでなく、このように気象の変化が大きくなると予想されてます。降る時はたくさん、降らないときはまったくと・・・。

その中で地域にふさわしいと言う事はどういうことでしょうか?
新潟県は人口がある程度集中している地域の中で世界的にも雪が最も降ることで有名です。ですので1m以上降る事が多い場所はそれなりの配慮が必要です。例えば雪下ろしのしやすい屋根もそうですが、最近はとんがり屋根(屋根勾配が急)だけれども、雪下ろし以外に対応できない家などを見かけます。本当にそれで大丈夫なの?と首を傾げたくなります。住宅密集地では、雪下ろしや自己落雪屋根は計画できませんので、耐雪住宅が一番コストもかからない提案です。オーブルデザインは悠々自適なお住まいほどこの提案をまずします(採用見送りもあります)。

まずは三条下田の2mの耐雪住宅
これは3日前の状況ですから今はプラス40cmくらいあるでしょう。雪庇防止もよく機能してます。
雪に埋まる事のないエアコン設置位置やその屋根も考えています。

外壁の無塗装の木は少しずつグレーのカビ(このカビは木にとって問題ありません)も生えだんだんシルバーグレーになって来ました。今が一番気になるところですが、ここを過ぎると穏やかな色になります。
注意して見ていただきたいのは、雪が降っているのに、外壁がほとんど濡れていないことです(気温が低い理由もある)。だから木が長持ちします。
前面のカーポートは融雪装置を計画しました。バッチシ綺麗に溶けてます。

最近はデザインばかり重視して、本来の地域にあった家の計画をおろそかにしている傾向があります。
新潟県は雪が沢山降る地域があるということしっかりと設計者は認識する必要があります。

次は長岡ニュータウンの耐雪2.5m住宅です。
さすが雪国長岡!。この写真の道はニュータウンのメイン道路で普段は片道2車線+αくらいの道幅がありますが、この雪でロータリーラッセル車が間に合わないので1車線の細い道になってます。

道沿いの「あるお宅」ですが既に雪下ろしをされています。

黒い中央の家が耐雪2.5mの緑の家です。あと2mくらい載せる事ができます。余裕で十分ですね。

今のところ雪庇もできる気配がなくよい感じです。

雪国では余計なところにコストをかけるのではなく、風土に合った基本性能がある家となるように設計すると長期間愛せる住宅になります。建てたばかりの若いころは、雪なんてどうにかなるよと言う事で、設備に、インテリアに、広さにお金を掛けますが、30年後を想像してください。子供は独立して高齢の夫婦しかいない時に、雪下ろしや除雪は誰もがしたくないのです。こんなときに耐雪住宅なら心配ご無用ですね。

さて、雪が比較的降らない新潟市では、多雪の代わりに一週間に2日位は強風(平均10m/s)が吹き荒れる地域ですので、新潟市での地域性は超気密C値0.5㎝2/m2前後の住宅でしょうか?この気密性なら外部が風速8~10mまでならほとんど外気が隙間から入らないとされてます(通常のC値2から5程度の高気密住宅では家の中の空気が1時間に2回から1回も入れかわる位の外気が入り隙間風を感じます)。

そのC値が0.17cm2/m2の超気密住宅の見学会を来週行いますので、是非おこしください。


長く愛する住宅を作る為 ④ 新潟の家で阪神淡路大震災から学ぶもの。

 新潟ではこの6年間で大きな地震が2度あり数十名の方が亡くなっています。しかし都市直下型地震である1995年の1月17日におこった阪神淡路大地震では、その100倍の6000人以上の人が亡くなりました。あれから15年経ち、被災者以外の人の脳裏からから少しづつ記憶が薄れてきております。

我々建築士は、この阪神淡路大地震を教訓にいろいろ学び、改善策を実施してきたと思います。が、今でも一般の木造住宅の4号建築物特例という法律が改善されないままです。4号建築物特例とは、普通の規模の木造2階建ての構造の安全チェックはその設計者が建築士の場合は、その建築士に一任し行政ではチェックしませんと言うものです。
この法律を建て主さんは知らないと思います。家を作るときは行政に確認申請を行い、この時点で行政(国)が構造も大丈夫かどうか見てくれると思っている人がほとんどでしょう。
しかし行政は一般の木造住宅の構造にはタッチしません(長期優良認定取得住宅等を除く)。その家の構造は設計者(法人を含む)が全て責任を持ち、行政は関与しません。
行政チェックやダブルチェックと言われる機能は、ここではありませんし、もしかしたら設計者のシングルチェックさえも「感」によってしかされていない場合が多くあるのではないかと考えます。

さて、この構造チェックをしていない設計者もいまだにおり、それを確認するには、プランが決まった基本設計時点で

「構造計算書」か

「壁量計算書」を

見せてください。
とお願いすればよいのです。

「構造計算」は専門知識が多少要るので少ないでしょうが、壁量計算は建築士であれば誰でもできるくらいもので、逆にこの壁量計算(四則演算程度)ができない人は建築士になれません。この壁量計算は安全性を確認する一番簡単な根拠(私は雪国の家では甘いと思いますが、法律ではOK)です。
基本設計終了時点でこれらの構造チェック(ラフでも)が終了していなければ、そのプランは絵に描いた餅(安全性が確認できない建物は家ではない)と同じで、きっとこの後も構造の安全確認はしないでしょう。

「構造確認は後で行います」
といっている設計者は多分こういうでしょう。
「今までの経験で大丈夫」
こういう人(会社)が一番危ないですね。

また、「4号建築物特例は住宅程度の小物件には必要だ!」
という業界関係者がいらっしゃいますが、私もそう感じます。
が、問題はその特例をいい事に構造の安全確認を設計者が決められた手順で行わないと言う事があるので、性善説が成り立たなくなっている事です。だから行政チェックによって法律が守られ建て主さんを保護しなければならなくなってきている状況であるという認識です。そうなるとまた確認申請料が上がり、建て主さんの負担が増え、また行政の肥大化を招きます。本来なら法律を守らない設計者が悪いので、4号特例を廃止するより
「法律を守らない設計者を一時免許停止のように厳罰に処す」と決めるとすぐに改善されるはずです。このほうが建て主さんにずっとメリットがあります。

最近は小屋裏収納のロフトや中間収納、太陽光発電パネル設置など、家がどんどん重くなってます。重くなると言う事は耐震性を増さないと家が壊れやすくなります。またその耐震性アップの方法は法律で決まってます。姉歯事件がきっかけで行った国の調査で、これを知らなかった設計者が関与した建物が100棟以上が法律違反となった関東の大手建設会社があり、きっと調べると全国的に相当多数の家が安全性に疑義がありそうだと言う事で4号特例が廃止される議論になったのです。
怖いですね。スキップフロアーや組み込み駐車場による大開口など、アクロバット的な家も多いですね。日本の諺の「のど元過ぎれば・・・」となってはいけませんね。

さて、阪神大震災の亡くなった人のうち5000人は木造住宅での圧死です。倒壊した木造住宅の大部分が古い法律時の耐震性しかない建物や腐朽した建物でした。現在の法律に沿って安全確認をし、上のようなアクロバット的(一般的でない)な事をしなければ倒壊等が起きる可能性が極めて低いと国はアナウンスしております。
因みに新潟でおこった地震の被害は地盤が原因である場合が多くあり、まずはがけ地や埋立地(過去に潟だったところ)の場合は、上物構造の安全確認ができたとしても家が傾くリスクがあると思ってください。この場合は、簡単に傾きが修繕可能かどうかが重要ですし、家具の倒壊防止も重要です。

過去の教訓を活かしたいといつもこの時期に思い出します。


雪国で今の電気自動車ではだめ!

昨年から一般に電気自動車が販売されています。ガソリン車より効率が3倍以上もよい電気自動車の早期普及が待たれますが、現実的には厳しいでしょう。つまり間違いなく日本ではハイブリッド車が当面主流です(7~10年)。

理由は今朝車に乗って見てわかります。こんな寒い日で雪が降っている時は、車のフロントにどんどん雪があたってきます。ワイパーを早く動かしても、ワイパー自身に雪が付き氷となってガラスで氷結します。この時フロントにあたる温風量をけちるとあっという間に氷で視界がなくなります。ガラスに貼り付く氷を融解できるだけの融解熱を供給してあげないと運転はできなくなります。

ハイブリッド車のプリウスでは、一般車より少し効率がよいので排熱が少ない車です。しかしそれでも排熱が相当でますので雪が強くならなければ氷を溶かす事はできます。

もしこれが電気自動車だったら・・・  排熱が全くありません。多分運転は不可となります。温風を造るヒーターを大きく(又はエアコン暖房可能に)すれば良いのでしょうが、電気で熱を造るということはとても大きなエネルギーを使います。ただでさえ低温でかつ雪道のため燃費が落ちるところにヒーターでは・・・。満充電で走行距離40kmもいかないでしょう。また雪道は渋滞が付き物です。突然渋滞中にバッテリー切れ・・・。これは生死ものです。厳寒期に周りに民家がないところでエンストでは生死の恐怖を味わいます。
ここは雪国だからと言っても平地ですから今日でも-3度くらいです。特別厳しい環境ではありません。でも近場でもボードやスキーには絶対いけないでしょう。あの世界は-10度は当たり前ですから・・・(まあそうなると冬は使えない車でセカンドカーとなりますね)。

フロントガラスを真空ガラスにして、雪をガラス面で溶かさないようにし、ワイパーを工夫することで雪を溶かさないで削りとるなら、融解する大きな熱は必要ないまもしれません。このシステムは特許が取れそうですね。

電気自動車が普及するためにはバッテリーの容量が今の5倍は必要です。今でさえ高価な電気自動車が450万もする事を考えると5倍の容量のバッテリー(バッテリー代が車代の半分とも言われる)が普及価格になるには、相当なバッテリーの技術革新がなければ実現不可能です。それにしても炭化水素(ガソリン等)はエネルギー密度が大変高い物質ですね。大事に使いましょう。


自然素材 無塗装の床を勧められる理由がわかった。


築後8年経過の「緑の家」の無塗装の木の床。全く何も塗っていなのに艶々。

昨日ようやく理由がはっきりとわかりました。

当事務所は、無塗装の無垢の木の床を薦めて12年以上たちます。このことをとても不思議がっていらっしゃる人(同業界)がいました。その人は

「無塗装の床に住んでいる人からクレームありませんか?」

と毎年冬に聞かれるのです。

「えっ・・・。ないですがなぜですか?」と私

「冬になって家の中が乾燥すると、床が『ささくれだつ』と言われるのです」
「特に無塗装の床でなく、天然系オイルやワックスを塗った床でも言われるのです」

「そんな事いわれた事が今まで一度もないし、そもそも年月が経てば光って艶々ですよ。ささくれなんて考えられないです」と私

「全く同じ床を使ってもそれがそうなりません」

・・・すこし間をおいて

「それはスリッパを家の中で使用しているからでしょう!」と私

「そういえばスリッパ使ってますね。確かに裸足ではありません」

ここでようやく理由がはっきりわかりました。元々日本人は家の中で履物(スリッパ)を履く習慣はありません。スリッパは戦後の昭和30年くらいから一般の家で普及が始まったと言われてます。つまりそれまでは旅館、病院、学校など、ヨソで使用、借用するものであり靴下を汚さないために履くような考えでした。
そうですね。スリッパがささくれの原因です。無垢の無塗装の床は数百年の歴史がありますが、それは全て裸足か靴下で歩く歴史です。スリッパの底は、裸足や靴下より無論硬いですね。これが摺ることで木の表面に傷をつけていたのです。だから幾ら油成分を自然に出す針葉樹の木(ヒノキや杉、松)の床であっても表面がささくれてしまうのです。畳の上をスリッパで歩かないように自然素材は・・・。
更にスリッパでは足の裏から「人の油」を供給できないので光らなく磨耗するのです。
居住後の「緑の家」に伺っても「スリッパ」は一切その家に見当たりません。いらないから出さないし、購入しないのです。床はきれいだし冷たくなければ必要ありませんね。

さて、理由がはっきりとしました。ではなぜ当事務所の家以外のでは、スリッパを履くのでしょう。答えは簡単、簡単です。

家の床が冷たくて冬はスリッパなしでは歩けないからです。

目から鱗の理由でしょう。緑の家は家中暖かい性能の家と無垢の無塗装の床が必ずセットですから、あえてその無垢板の気持ちよさが最大限受けられるように「スリッパ」は薦めてません。またスリッパがなくとも冷たくない家を100%提供して来ましたから今までクレームがないばかりか、上の写真ように艶々するのです。しかしただ単に自然素材の無垢床しか薦めていない仕様バランスの悪い会社や設計者の造る家は、床が冷たいのでスリッパがなければとても歩けません。だから感触の悪くなるオイルや蜜蠟ワックス塗りを薦めるのです。オイルなどは汚れ防止だけではなかったのです。

いつも「蜜蝋ワックスを床に塗るのは絶対しないほうがよい」と言ってますが、冬に裸足で歩けない家の性能(構造)であれば表面にロウの膜を造るワックスは仕方なかった事だったのです。本当に今回の関連はびっくりしました。

確かに無塗装の床が数年でピカピカというブログや建設会社の実物写真を見た事がありません。これは家の仕様のバランスが悪いため、本来の木の使い方ができなかった事が原因であるとはっきりとわかりました。スリッパが存在しない寺や銭湯の床が光っているのはこのためです。

当事務所の薦めてきた「緑の家」の性能と自然素材のバランスに間違いはなかったと自負できるお話でした。感謝です、ほんとに久々に鳥肌が立つ時間でした。

この写真は新築時の床。まだ艶は全くない。これが裸足で数年歩くと上のぴかぴかの床になる。


プリウスのユーザーの変化から家を考える。

昨年のホンダの新インサイトが発売された当時のブログで、「ハイブリッド自動車が本命!でも購入者は若者がいるのかな~」的なお話をさせて頂きました。私は初期型プリウスに乗って早10年以上も経ちますが、当時から一昨年まで約10年は、このプリウスに乗っている人はどちらかというと高齢者か女性の方で、男性の20代30代は乗っている人はほとんどいなかったと思います。だから娘から「じじーの車」と揶揄されましたが、最近は全く言いません。
最近の新プリウス及びインサイトのドライバーの顔を見ると、全く変わり新潟県でも若い人や30代の男性をよく見かけます。本当に変わりました。去年からハイブリッドに乗っている人がガラっと。

今後も益々この傾向は強まり、今度は若い人ほどハイブリッドになるのではないかと思います(一度良さがわかると若い人ほど受け入れが早い)。ミニバンは大家族には大変便利ですが、最近の少子化傾向から家族平均人数が最大5人。とするとこれらのハイブリッド車でも何とかなります。
従来はローインパクト(環境負荷が少ない)を求めて選んだ購入者が多くを占めたハイブリッド車ですが、これだけ爆発的にヒットしているのは、一昨年の原油高騰が理由の最大であり、維持するのに経済的な負荷が少ない理由で選択していると私は思ってます。今でも同じ装備のガソリン車から見れば価格が割高に変わりありませんから、初期投資を少し多くしてもハイブリッドを選ぶのは、ランニングコストが安くそれがCO2削減にも貢献するということに価値を見出していると思います。

また私が知っている根っからのベンツのユーザーでも、今年から「ハイブリッド」を選ぶと変わってきております(冗談かも知れませんが)。これはレクサスのハイブリッドが本格発売されたためと思いますが、やはりプリウスの話題が影響していることが第一でしょう。選択肢にはプリウス(もちろんプラグイン)が上がってました。

ここで強引に家へ話を持っていって恐縮ですが、今後家を新築される若い方はこのような低い光熱費になる家(超高断熱住宅)に価値を見出す方が多くなると期待しております。決してローインパクト(環境負荷が少ない)が最大の動機ではないところがハイブリッド車と同じではないでしょうか。
ただ、車と違い家は簡単に買い替えができない物です。ですから車より10~15年くらい早い基準で購入しないと手遅れになります。つまり今がその時でしょう。もしこれから家を建てようとお考えの方は、その選択肢に「超高断熱住宅」を必ず入れてください。それでもし家の勉強してみて自分には必要ないと思っても、「自分の子供の世代には必要かな?」という事まで検討してみてください。今の家が親が建てた25年前の家で寒くて仕方ないなら、将来の自分の子供も今の基準で建てる家(断熱が次世代断熱基準程度では)はそう思う事になり、結局無駄な資金を使う事になります。ですので後悔しないためにも超高断熱は、冬に太陽光の恩恵が薄い日本海側には必要な仕様だと思います。


長く愛する住宅を造る為に③ 建築士として

家の構造図や構造計算書が手元にありますか?

長く愛する住宅を作る為にその住宅の履歴は必要です。特に基礎構造や柱、梁、土台、耐力壁が書かれた構造伏せ図がないと、長く愛する事を途中で止めなければならなくなるかもしれません。

長く愛するスパンとして通常住宅ローンが終わる30年くらいが節目と考えられます。30歳で建築したとすると60歳がそのころですね。その頃にはもしかしたら、息子娘夫婦と同じ敷地に住むかもしれません。そうなった時に増築やリフォームが考えられます。またその頃までにはエネルギー変革がありそれに対応した家に改造する必要があるでしょう。
その時に必要となるのが、家の構造図や構造計算書です。私も築40年くらい経った家のリフォームをお手伝いしますが、その時に一番困るのが構造図や構造計画書(構造計算書)がないことです。
実はある法律がありまして、少し柔らかく表現するとそれは・・・
「設計者の了解がなしで構造等に関わる手直しするときは、その家の責任を新しい設計者が引き継ぐ事になります」
当たり前ですね。構造が変えられたのに、前の設計者がその構造の責任を取れるはずがありません。だから変えた設計者が責任を引き継ぐことになります。そうです、このときに前の構造図や構造計画書がなければ、その責任を引き継げるはずがありません。いくらプロの建築士でも壁の中の状況や、隠れた接合部がわかるはずもありません。もちろん基礎の配筋でも同じです。専用の装置を使ったとしてもあくまでも推測の域をでません。それで責任を引き継げと言われても普通の感覚なら首を縦にはふれませんね。だからローンが終わったばかりの家を「リフォームなら建て替えた方が早いね」などと住宅メーカーから薦められてしまうのです。

さて、リフォームのとき一番困る住宅は何と大手ハウスメーカーの特別なオリジナル工法なのです。大手ハウスメーカーの工法は、ほとんどがクローズでブラックボックスですから、一般の設計者では構造の把握しようがないのです。仮に建てたメーカーに聞いても(存在していればですが)、そんな30年前の昔の仕様は残っているはずがありません。理解できない構造は責任が取れないので、取り壊され新しい家を再び建てる事になるのです。

日本の住宅産業はこの点が世界から見ると大変いびつなところです。世界をみると、クローズされた工法を持つ会社が最も大きい住宅メーカーであるという国はないでしょう。世界の先進国の住宅の寿命は50年以上がほとんどです。だから1度や2度は大きなリフォームや増築があることも多いでしょう。そのとき、○×メーカーの工法は構造的に理解できないから取り壊そうなんていうもったいない考えはないからです。家は国の財産でもあり流通商品でもあり、債務を引き受ける銀行の財産でもあるため(日本ではこの仕組みが待ち望まれる)、ブラックボックスになる事を避ける政策なのでしょう。
さて、日本はこの点についてこれからどうするのでしょうか?残念ながら、大手メーカーは国の機関に大きく食い込んでいる(天下り?)ため凄く難しい問題です。本当は国が「住宅は個人の財産ではあるが国の資産でもある」という大方針が出れば改善されるかもしれません。

では現在どんな工法がオープンなのかといえば、2×4工法や木造軸組み工法、普通の設計事務所が計画する鉄骨やコンクリート(S、RC)工法がオープンな工法(わけ隔てなく設計できる)です。
反対に特別な工法として、セキスイさんやミサワさんダイワさんパナホームさん旭化成さんパルコンさん等が有名です。また木造軸組み工法では珍しくSE構法、KES構法などがクローズされた工法(ロイヤルティー、特許料等が掛かる工法です)。特殊工法のようなクローズされた認定工法の場合、巾はありますが外壁を変えたり屋根材を変えたりするだけでも家の重さが変わりますから、それだけでも構造チェックの必要があるかもしれません。

偏った考え方かも知れませんが、もし長く愛する家を造る為には、一般の建築士が理解できる工法や、普通の構造計算された資料や履歴がある家がよいと思います。特殊性の高い工法や構造、計算方法の家は数十年後に同じメーカー、設計者がいれば良いのでしょうが、30年後というスパンでは非常に期待薄です。
そこまで厳密にこだわらなくてもいいじゃない?とのご意見もありますが、家は命を守る器です。せめて構造の責任の所在が明らかな事が求められるのではないでしょうか?

汎用計算方法である構造計算書(許容応力度設計)
緑の家の設計図書(計55枚~100枚) 

国が評価した「住宅の性能評価書」



今月23日(土)と24日(日)に新潟市で見学会を行います。

すばらしい壁です。

巷では自然素材と言われる漆喰。一般の漆喰には下塗りやそのものに人工化学合成したのシーラーやのりが使われますが、今回の壁の漆喰は化学合成の糊やシーラーは一切使ってません。昔からある漆喰「だけ」です。本物に拘るなら、この漆喰がまさしく本物でしょう。

いつもの緑の家は水性エマルジョンを使って壁を塗りますが、こちらは全て漆喰でした。価格は漆喰が倍ですが、何と建て主さんのご家族で全て塗り上げました。拍手ですね。仕上がりも良いコテムラでいかにも手仕事の壁の雰囲気が出てます。

クリックすると大きくなり少し素材感がわかりますが、この良さは実物ですと感動します。
ムラがある仕上げが天井の大きの梁と重なり、洋風民家調で独特の手作りの雰囲気が出てます。

この建物は、国の性能評価を受け耐震等級3という最高の評価でしたので極めて地震に強い建物です。
写真のように大きな吹き抜けがあっても等級3の評価を頂けるほどバランスが良い構造計画で、地震に強い建物にありがちな圧迫感や暗さはありません。
今年度の長期優良住宅補助金事業でこの等級3で新潟市で認定されたのは多分数棟しかありません。

また、新潟の亀田郷という地域柄地震時の不動沈下や液状化が予想されますが、万一大地震で傾いたときに補強なしでジャッキアップし補修できる性能の頑強のスラブを持ち合わせてます。

この耐震性の良さは2階の天井になっている厚さ28mmの構造用パネルも一役買っています。そのパネルをそのままインテリアとして使う素朴さが、鏝ムラがある塗り壁と調和しております。

これも長期間使い続ける住宅(所謂長期優良住宅)には是非ほしい設備シャフトです。
大体50cm×50cmくらいの四角い断面で、床下空間から天井裏まで貫通しております。ビルなどは頻繁に設備メンテがあるので設置されますが、住宅ではまだ一般的ではありません。しかし長期優良住宅の意味合いを考えると計画したほうが良いに決まってます。
この設備シャフトは、将来の新ネット配線や配管そして超高断熱住宅では秋と春に必ず起こるオーバーヒートした熱風を床下に送り込む通路でもあります(今回は吹き抜けにシーリングファンがあるのでこのシャフトは使ってません)。

このように今までの住宅ではなかった仕様や構造、材料が「ぎゅっ」と詰まった家ですね。

見学会の詳細はここです。

※写真はまだ施工途中のものです。


長く愛する住宅を造る為に② 建築士として

日本の人口が自然減となり国家として本格的な成熟期に入りました。そんな中、長期間住まいつづけられる家が求められ、長期優良住宅という名称と法律が昨年から本格運用されております。

「昔の民家はよかった。丈夫で100年位使えたし、いまも残っている民家は立派な構造だ」とおっしゃる方を耳にします。全くそのとおりです。しかしだから全てが昔と同じ構造や架構方法でよいかというと、それだけでは家の供給ができないと思います。
今も現存する立派な民家は、ある程度の財力がある人(地主)が作った邸宅がほとんどだからです。庶民が暮らしていた本当の民家は残ってません。ほとんどの人が現在は残っていない取り壊された家(借家)やに住んでいたのです。成熟期の今だからこそ普通の庶民が手にする長期間維持される家造りが求められております。・・・とここまでは昨日と同じです。

家造りの計画はまず周囲の環境、地盤の把握から始まります。所謂土地探しです。どこに住まいを構えるのか?どういった基準で土地を探すのか?は大切な第一歩です。私はよく土地は「ご縁」と申し上げます。この地上で同じ土地は2つとありません。それは人間の手で作り出されたものではない所謂「天然」の一部だからです。だからこそ「ご縁」では無いかと思います。そして決めては・・・自分の「直感」を信じましょう。技術者が語る台詞ではありませんが、そもそも「直感」とは、その人が過去に学んだ又は体験したもの全てを総動員して瞬間で判断している事になります。学校や駅が近いとかスーパーが近くにあると言うようなこまごました事が書いてあるマニュアル本に頼らず「ここだ!」と感じたところが都になります。もちろん親、親類の土地でも「ここだ」と感じればそこがよい土地です。
ですが必ず裏づけを取りましょう。裏づけは直感で決めた後付理由にもなります。
さて具体的な裏づけは、建築士(中立的な立場の)などの専門家に聞いて見ましょう。しかしその専門家が難色をしめした土地でも、そのデメリットを受け入れる事ができれば後はご自分の判断です。
土地とはそういうものです。とにかく直感が一番です。直感はただ単に物理的な問題ばかりではなく、その人の他人とは違う価値観で優先的に判断することになります。これは他人ではわかりません。「ここだ」と決めた時、そこに住んでいる自分を想像してとても「わくわく」すればそこはあなたにとってよい土地なのです。
仮に、仮に・・・将来その土地とご縁がなくなったとしても自分で決めた事に後悔も無いはずです。

拙宅の土間(アトリエ)からデッキ越しに見える裏山が借景となる。

因みに私が20年前にご縁があったその土地は、バブル真っ盛りで今の値段で現在の5倍近い信じられないような単価でした。今金額を考えるとなんともいえない思いがありますが、現在楽しく生きているのでそれで良しとなるわけです。そんなものです。この山有り、海有りのこの土地は多少狭くとも大好きです。前日の庭が絶対必要と言った話と違うとのお声があると思いますが、庭は自分のものでなくとも借景(半永久に続く公園や河、海)でもよいのです。(笑)


長く愛する住宅を造る為に① 建築士として

日本の人口が自然減となり国家として本格的な成熟期に入りました。そんな中、長期間住まいつづけられる家が求められ、長期優良住宅という名称と法律が昨年から本運用されております。

「昔の民家はよかった。丈夫で100年位使えたし、いまも残っている民家は立派な構造だ」とおっしゃる方をよく耳にします。全くそのとおりです。しかしだから全てが昔と同じ構造や架構方法でよいかというと、それだけでは現代の家では不合格です。
今も現存する立派な古民家は、ある程度の財力がある人(地主)が作った邸宅がほとんどで、庶民が暮らしていた本当の民家はほぼ残っておりません。ほとんどの人が現在は残っていない取り壊された庶民の家(借家)に住んでいたのです。しかし社会の成熟期の今だから、庶民の手にする家こそ長く使われる事を求められております。

現在も高いコストを掛ければ、より有能な設計者、技術者、職人を集められ、後世に残るような建物とその維持管理ができるので古民家のような住宅を建てることは可能でしょう。しかしそれはほんの一握りの人にしかできません。実は高いコストを掛けなくとも、その家で人の愛情が育まれ引き継がれていけばその家は長期間存在すると私は考えていますし、そのようになるべきと考えてます。

バージニア・リー・バートン作「ちいさなおうち」

この絵本にはそんな想いが感じられます。家への直接的愛情ではなく、家の中で育まれ引き継がれる「愛情」は、その家を長く維持するために最も必要な事です。この想いが家から発せられるようになり、それがその家の魅力となります。全ては人の「想い」で長く維持され引き継がれると考えてます。

さて、我々建築士にできる事はこの表紙にもありますが、庭を含め総合的にバランスをとる事です。目に見えない構造や温熱環境、維持管理しやすさの考え計画することです。

新築計画の最中は、どうしても家の内部(間取り、インテリア等)にだけ意識が集中しがちです。家は間取りと設備、仕上げ類だけではありません。私どもが基本設計するときには必ず外部とのつながりである道や緑(庭等周囲の木々や土地の環境)から考えます。
高いコストを掛けなくとも、小さな家であっても長い間残っていく建物が、緑と共にあることにお気づきでしょうか?有名な「トトロのいえ」もそうですし、近所にある100年経過した家のそうです。庭がしっかりある家が長く存在していることが多いのです。もの言わぬ緑を大事にする心は、周りの環境や人への気遣いも同じように大事にするでしょう。その気持ちが「愛情」なのかもしれません。
多少家が小さくとも、庭や畑、敷地に余裕があれば何とかなるものです。古民家を移築や再構築する方の全てが、庭があるところに建てます。都心の狭い庭が取れない土地に民家を造る人はいません。民家とは、それと一体のなった周囲の環境に同化するのことなのではないでしょうか。

都心のような高度土地利用必要なところは、個々に庭が無い集合住宅(借家含)がふさわしいでしょうし、事実住宅寿命が長い国でもそのような都市計画です。がしかし戸建て住宅が無理なく建てられるようなローカル地域では、庭が無ければやはりその家の寿命は長くなるとは思えません。それほど緑(庭や家の周囲の緑の環境)が重要と考えます。

次に家の構造や温熱環境、維持管理のし易さ、経年変化に適したよい材料となります。これはまた次回にお話します。


老後を悠々自適に楽しむため 建築士として② 高齢者の家

屋根の出があると外壁は少しの雪や雨では濡れません。ケヤキの幹は濡れ色ですが、外壁は乾き色です(花台のみ濡れ色)。

今日の寺泊は未明の4時ごろから突風が吹き荒れました。アメダスによると最大風速は27m/sとサッシ規定値位の風が吹きました。事務所へ通勤道中、寺泊から燕へ入ると風は弱まり、三条に入ったころはほとんど風が強いとは感じませんでした。新潟の冬は地域差があります。そんな厳しい環境にある拙宅は家にいれば冬も家中全く快適です。洗濯物は一晩で乾くし、寝起きも苦ではありません。

ここから本題ですが、拙宅の家族には今年満20歳を迎えるトイプードル犬(ビアンコ)♂もいます。去年から人間で言う認知症が始まり、朝と夜の区別がわからなくなっているようです。今日は深夜2時半から2時間くらいおきて徘徊をしてました。・・・徘徊する・・・そう、お分かりのとおりビアンコはロープでつないでもいないし、サークルも基本的にはありません。これはできる限り自分の足で動けるようにと思っているからです。既に走る事はできず、歩行もよろよろで時々転びます。転ぶと自分で起き上がる事ができないときがあり、この時間が長いと怪我や関節が痛むせいか数日間立ち上がる事ができません。ですので常時24時間付き添いがひつようです。
「そこまでするなら、サークルに入れたほうがよいのでは?」
とおっしゃる方もいらっしゃいますが、徘徊の歩く事はとても重要な事だと思ってます。適度に歩く事で足の筋肉が落ちないようなリハビリになり、バランス感覚も維持できます。この自分の足で動けるということは、介護するほうも非常に楽ですし、何と言っても介護する側される側どちらも楽しく感じます。この「楽しく」が家族には一番重要で、家族が檻に入っているような環境は楽しくありません。
高福祉で有名な北欧の介護の基本はいかに寝たきりの時間を短く(無いように)するかと言われてます。寝たきりは介護するがわに肉体的にも金銭的にも大きな負担を強いるからです。

今日は深夜2時30分から2時間位おきてました。 汚れてしまった床の清掃や座布団の洗濯をその時間にしました。
何がいいたいかと言うと、こんな深夜に起こされても家中寒くないので、そのストレスがないという事が大変ありがたいのです。薄い一枚のパジャマでお風呂場からトイレ、キッチンまで難なく裸足で移動できること(床が冷たくない)。これは実際夜の介護した人にしかわかりません。
故父も、認知症で徘徊がありました。実家は高気密高断熱ではなかったので、家中暖房は無理でした。トイレは10度くらいしかなく、お風呂場は外気とあまり変わりない温度です。そんなところを夜おきて仕事や洗濯をしたり、父に洋服を着せるのは大変ストレスがたまります。寒いと言う感覚がない父が寒い場所に移動したときは、直ぐに上着を着せなければならないし、最初から沢山着ていると今度はトイレのとき脱がす事が大変です。

介護施設はいつ行っても温度一定です。トイレでもお風呂でも暖かいですね。これは介護する側にも大変なメリットです。半そで一枚で介護できる事は、汚れたら直ぐに着替えられ、気温差によるストレスもまるっきりありません。もしかしたら介護を楽にするために、施設内を快適温度にしているのではないかと思わせるくらいです。
家中暖房は、高齢になったときその真価を最大限発揮できる人工環境です。自分ばかりか、介護する人にとても優しい空間なのです。

最近、数十年後はエネルギーが高騰するので・・・と言う理由で超高断熱住宅ををお勧めしてます。「するとそこまで考えてなくともいいよ。」とおっしゃる方がいらっしゃいますが、ますます自宅で介護される施策が進められるなか、介護者に優しい家は介護される側にも楽しさをもたらします。
「寒い」と顔をしかめる事が介護する人になく、心に余裕を持って接しられます。その余裕が介護者にも伝わりお互いハッピーです。更に家中暖房できる家は、床が冷たくないのでスリッパがありません。これは私がお手伝いした家の99%そうでした。メンテナンスに伺ってもスリッパが玄関にありません。スリッパがないということは、引っかかって転ぶ心配も少なくなりなす。介護施設も入居者のスリッパは原則禁止ですよね。ほとんどがスニーカーですが、たまに裸足の認知症の方もいらっしゃいますが、足が冷たくなければ裸足ほど安全な歩行条件はありません。

自然素材重視の住宅メーカーさんのなかで、超高断熱の家を見ると
「そこまで断熱性能が必要ないよ。性能マニアの家だよ」
といわれる方がいらっしゃいますが、老後は何かと収入源が固定化されると思います。ですので新築後20年くらいたった時、断熱リフォームをされる意欲はないと思います。最初から断熱性は20年後のエネルギー高騰を予測し高い性能で新築すれば、介護する人にもやさしい家中暖房が少しの暖房費で可能です。もちろん、それまでの間でも家中暖房の良さを体の芯から感じることができます。高齢になったときは、家で体を鍛える必要はなく、体やお財布に負担を掛けずに悠々自適に快適な環境で過ごす事ができる住宅・・・超断熱住宅をお勧めする理由です。


未来につなぐために 建築士として

新年にあたり少し私の家に対する思いをお伝えします。

私たち現世に生きているものは、過去の人が残してくれたものの上に成りたっています。仮に悲しい過去があっても過去を否定する事は現在の自分を否定する事になり、大変さびしい行為です。また一方で私たちには未来につなぐ責任を持っています。過去の人が築いて来たものを消去することなく、その上に積み上げていくか、分解し再構築していく必要があります。
その受け渡し方法はただ一つ「生命」そのものしかありません。人間には科学、技術、文化、言語など様々な受け継がれる学ぶべき分野、形態がありますが、それを生かすも殺すも「人」しかありません。その人から人への受け渡しはどのようなことなのでしょう。私はその核が「親子」であるといつも考えてます(これは血がつながっていない親子も含みます)。

「一人で裸でうまれ、また一人で去ってゆく」人は最初と最後はすごくシンプルです。しかしもうすこし詳細にみると、生まれる時は一人ですが、生まれる前でもすでに母の胎内にいます。卵子はそれが「ある」時点から母に守られ暖かい愛情に包まれてその時を待っているのですね。もうすでに最初の親子が始まってます。
「三つ子の魂百まで」ということわざがあります。これは先人が残してくれた大切な知恵です。ある解説には「満2歳までに身に付けたものはその子の性格となる」とありますが、私は「性格」ではなくその子の生きていく上での思考、感情の核であると思ってます(性格はすでにDNAで引き継がれると考えてます)。

哺乳類を除く生命のほとんどが、親から生まれた途端に自立し生きてゆけます。ところが哺乳類は生まれてから自立できるまである程度の期間を要します。人はその期間が2年間最低必要だということなのでしょう。ですので最低この2年間は親の愛情(命に変えても子を守るそんな感情であり、躾ではない)の中に包まれている必要があると思います。この2年間が仮に愛情のない期間となってしまったなら、それを哺乳類でない他の生物に例えると、卵が途中で割られてしまう事を意味し、本来現世では存在できない事になるからです。ですのでこの2年間は人として特別な期間と解釈し、だから「三つ子の魂百まで」という諺になると考えています(三つ子は満で2歳の事)。
さらに社会に自立できるまでまだ相当期間がいるのですが、本格的な集団行動ができる6歳までが核が分裂し増産される数の次期になると考え、更にその後9年間がその配列を決める時期なります。つまり15年間は人としての思考、感情の未来への引き継ぎの期間と考えてます。

さてお話が住まいと違う話題のような気がしますが、しっかりつながっています。
この15年間は親子として住まいとその周囲の環境を中心に活動します。特に母と子の関係は重要で、母の家・庭・人に対する思いはダイレクトに子に引き継がれると思ってます。住まいや周りの環境の善し悪しで引き継ぐものが全く違うとは思いませんが、影響はすくなからずあるといつも考えてます。ですので私たち建築士はその事をいつも感じ、真剣に未来に引き継ぐ重要な「人間形成の巣」を造っていると心にとめております。


昨夜の出来事 

今朝の寺泊の海です。午前中は比較的穏やかでしたが、夕方から再び風が 強くなってます。
30日から2日までの平均風速は9m/sで、実際の体感となる10分ごとの瞬間最大風速は、元旦の日では何と20時間以上も20m/sを超えてという台風並み。このデーターはアメダスの地点(海岸より400m内地)のデーターなので、拙宅はそれより概ね2~3割増しになります。
いかにc値1.0cm2/m2未満の高気密住宅でも風速25m/sもあれば機械換気等しなくても、法律で決められた0.5回/h以上にはなるので、最近は風の状況で換気扇をOFFにしてます。ちなみに高気密でない住宅では、その換気量の多さは恐怖です。
秋のように外気が20~15度くらいであれば、この換気量でも恐怖ではないのですが、なんせ今は外気が0度くらいですから、換気量大=すごく寒いといことになります。本当に約20年前から冬が来るたびに高気密で良かったと実感してます。

前置きが長くなりましたが、昨夜10時30分ごろふと海を見ると、何か花火が上がっているようではないですか?しかしこの冬空に・・・。よく見ると上写真右側に写っている電柱の変圧器下部数か所から火花がでてます。げっ・・・と思い勘違いかなと思って電柱まで見に行くとやっぱりオレンジ色の綺麗な大きな線香火花ような火花が出てます。
これはまずいと思い「東北電力」さんの緊急コールに電話すると、「ただ今停電地区があり電話が込み合ってます」との録音アナウンス。待つこと15分位でつながり、もうすでに11時近かったので、「近くの電柱がスパークしているみたいなのでお伝えします。電柱番号は寺泊線229。・・・当方への連絡は結構です」とお伝えしました。これで解決と思って12時ごろ就寝すると深夜1時10分ごろ電話が鳴り、眠い目をこすり電話にでると、
「電気の者です。どちらが具合悪いのですか?」と相手。
「電話でお伝えしたとおり家の前の電柱の変圧器です」と私。
「何にもなさそうですが・・・。お宅停電してます~?」と相手。
「停電してませんが。だからスパークが・・・」と私。
「それでは多分塩害らな。この時期良くあるのだな~」と相手。
「では、問題ないのですね」と私。
「問題なくはありませんが・・・断線はしていないし・・・」と相手。
先方も深夜で大変そうだったから、
「では、問題ないとしたらこういう現象を見た場合は連絡しなくとも大丈夫でしょうか?」
「それは私から申し上げられません」と相手。
「えっ東北電力さんでしょう?」と私。
「違います。ただの委託会社で、夜に呼び出しがあったので・・・」と相手。
「では誰に聞けばよいのですか?」と私。
「東北電力さんにきけばいいだろうかね」と相手。
「お宅さんはどこの会社?名前はなんですか?」と私。
「別に名乗らなくていいでしょう」と相手。
「私は名乗っているのに何で深夜に用事で電話を掛けてくる人が名乗らなくても良いといえるの?」と私。しぶしぶ
「・・・・○×」と個人名だけをいう相手。

中略

「では明日、「今度は連絡したほうがよいかどうか」連絡します」と相手。

電話を切ったあと、
「まあ、無料で花火が見れて良かった」と笑っていましたが、寝付けませんでした。
でも今日夕方まで今のところ電話がありません。  ふーーまあいいか(;;;´Д`)ゝ。

皆さんも見かけたら「冬に良くある現象」なのだそうで、電話は慎重にしたほうが良いかもしれません。

この変圧器下部付近4か所位から綺麗な火花が2時間?ほど出てました。


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