R2000から・・・R2000+(プラス)へ その⑤ 気密

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R2000から・・・R2000+(プラス)へ その⑤は 気密が悪い原因を探るため予備調査2回を行いました。

1回目は9月30日に行い、竣工後気密保持施工しないまま壁を貫通させたエアコンやFFストーブを取り外し、その貫通部分を気密処理して気密試験をしましたが、結果は0.1cm2/m2向上しただけ・・・。

さて、困りました。

このままリノベーションを行ったとしても気密がC値で1.0(0.99以下)未満にならなければ高性能住宅の仲間入りはできません。Q値だけ0.8w/m2Kだったとしても気密が悪いようじゃ仕方ありません。

そこで第1回目の予備調査か時点で怪しいと睨んでいた窓周囲の気密施工状態の確認です。上の写真が外部から取り壊し防風透湿シートと窓の取り合いの確認です。

すると不思議な物体が出てきました。「コウモリ」の糞です。わずかな外壁の通気層内が住かだったようです。私どもでは外壁の直下にアスファルトフェルトを貼るのでこういったことはほぼないと思います。

そしてこれは驚くべき事実ですが、タイベックが風化(劣化)して所々自然に破れています。この部分を触ると、劣化した紙のように簡単に破けます。タイベックとは今回の原発事故で一躍有名になったあの白い防護服素材です。これが破れると断熱材の断熱機能が大きく失われます。北側のタイベックが正常であったことから劣化原因は多分「熱」と考えられます。リノベーションでは外壁に付加断熱行うので新しいもの貼りますが、これはショックでした。築20年の自邸でも調査する必要がありそうです(現在は熱劣化防止剤が入っているのか追調査)。

そして発覚した問題は・・・

やはり「あれ」で防ぐ事ができたと思われることでした。

この建物は高性能木製サッシによく使われた「アルミクラッドの木製サッシ」を使用しておりますが、そのアルミクラッドと木の隙間からサッシ内に水が染み込み、それが窓台受けを完全に腐食させております。
木製窓はどうしてもアルミよりその素材自体が伸縮します。その隙間から雨が入りやすいことは確かです。この時庇が大切な役目をします。庇があればに仮に雨(通常の雨)が降っても庇があればこのような状態になることは少ないでしょう。そして暴風時はあきらめ、サッシ内に侵入した水が乾きやすいように、クラウドがない方が良いでしょう。

今、無暖房住宅とか、パッシブハウスとか、超高断熱住宅とかで頻繁に高性能木製サッシが使われておりますが、このような事実をしって計画して頂きたいと思います。
ちなみに上野住宅建材さんの取り扱う木製サッシは、オール樹脂クラウドなので、このような心配は大変少ないアンダーセンというサッシです。

ここまでは気密が悪くなった原因は見つかりませんでした(多少タイベック劣化の影響はあるが決定的なものではない)。

さて、今度は内部側です。

内部の窓廻りを切り取り壊して行きます。もう外は真っ暗です。

すると・・・

ありました。原因となるなる部分が・・・

今では考えられない気密施工で、気密シートと窓が密着されておりません。気密シートが切りっぱなしでした。これでは建物の経年劣化や地震での揺れで気密は低下します。

ほっとしました。これで気密が再び元に戻る可能性が高くなりました。
とにかく私の流儀は現場主義です。現場を見ずにして事実(原因)はつかめません。

23年前、まだ日本の本格的な高気密高断熱住宅が存在しなかった当時、英字のマニュアルを見よう見まねで試行錯誤しながらこの建物を造られた当時の人たちに敬意を払って、R2000のイノベーションが進行しております。

PS

ブチルテープは23年経っても全く問題ありませんでした。凄いテープです。また気密シート(ベーパーバリア)は0.1mmが使われておりましたがこちらも問題ありません。当時は専用の0.2mmの気密シートがなかったのでしょう。でもその機能はいきておりました。

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