片貝の家では、全ての居室で東に位置する山並みが見えるように、大きな開口部があります。そして居住部分のメインを2階にすることで更にその景観を最大限得ようとしております。
そこで床下暖房が2階の床下を暖められないか?との建て主さんのご要望を当初から頂きました。
私は今まで床下暖房の家は、1階は暖かいが、吹き抜けがあってもそれだけでは2階は暖まらないと知っておりますし、ましてやこの片貝の家は吹き抜けなどありません。だから・・・「2階床下暖房がメインになることは難しいが、補助的に床を暖められる」とお伝えし、この2階床下暖房計画が始まりました。だから2階の暖房のメインは2階に設置されたエアコン2台で、補助的に2階床下暖房となっております。
巷の住宅会社さんは、注文住宅のプランを公開してその特徴を説明してますが、当事務所はプライバシー優先の考えでプランは公開しておりません。でも今回の2階床下暖房計画はそのラフプランを示さないと、理解できませんので重要な情報を除いて少しだけ掲載させて頂きます。
まず図中表示ですが↓
A・・・アクティブ熱ダクト
B・・・パッシブ熱ダクト
あ・・・アクティブ送風口
い・・・パッシブ送風口
アクティブの方は電動式ファンで強制的に循環させる装置です。一方パッシブは温度差や、アクティブの間接的な影響が主体です。
2階Bの4m真下の1階床下にエアコンが設置されており、Aの4m真下床下にはエアコンはなく、少し水平的に離れております(わかりますでしょうか?)。
この撮影時は午前11時頃で10分くらい日が射した。温度計測は午後2時頃の雪が舞っていた頃。この大きな開口部がコールドドラフトを生む。
超高断熱住宅でも断熱的に一番弱い所はサッシ部分(壁の1/7くらいの断熱性能)ですから、ここからコールドドラフトが発生します。このコールドドラフトでサッシ下の床は17度から19度くらいに温度が下がり、冷たく感じます。
この家で一番大きな窓がついているのは、「い」のパッシブ送風口のある所です。この窓の大きさは巾2.6m高さ2mと大変大きいので、大きなコールドドラフトが発生する懸念があります。
特にこの調査日はほぼ氷点下2~4度と一番寒い雪の降る日です。
吹き出し口手前で23度。ほぼコールドドラフト影響なし。
吹き出し口のないバルコニー出入り口下の床温でも21度。サッシはU値1.7程度の樹脂サッシですが、床がはやり少し暖められている効果が出ております。
一方、プラン左側部分の部屋にはエアコンもなく、表面積も大変大きい角部屋。もし2階床下暖房がない状態であれば、隣の部屋の室温22度の時この部屋は19度~20度で、床温度は17度~18度と想像できます。
天井温度は19度
その左側の部屋の天井温度は19度。
ですが、床温度(窓下のコールドドラフト部分)で20度。
これは凄い結果でしょう。2階強制送風効果が出ております。
「あ」が強制送風口。そこから1mくらい離れた部分の床温を測定。
2階床下に強制的に温風を吹き込まなければ、このように窓に近い床下の温度が天井温度より上がる事はないと思います。ですので工事途中でまだ完全な熱ダクトとはなっておりませんが、その効果の2/3くらいは発揮されている印象です。つまり1階床下暖房の時と同じ温度空間を2階フトコロで実現できれば、その効果が出るでしょう。
今後の熱ダクトが完成し、その結果を待ちたいと思います。
PS
多少のリスクを承知でこのようなシステム提案の機会を与えて頂けたこと、その建て主さんのO様に心より感謝したします。