この写真は2006年に当HPのコラムに載せた写真。鉄骨のラチス梁がしっかり浮き上がる。これも透湿抵抗(無通気工法)の問題。
私達技術者に思い込みは禁物です。
実験や実測を行う前に、
「こうであろう」
「こうなってほしい」
「そうなるはずだ」
と思ってその結果を見ると間違った方向へ結論を導いてしまいます。
思い込みによって事象を解析すると、「故意ではないのに」間違った結果になってしまいます。この故意ではないところが技術者として怖いところです。
ある有名な相談サイトに、
「雨がかかりやすいことが原因で外壁が汚れたり痛んだりする」
との推論でその後の理論を展開されている記事がありました。雨も原因の一つですが・・・
この写真は本文とは別物。2005年頃に当HPコラムに書いた記事からの写真
。すさまじいカビ(透湿抵抗不足)の様子。透湿抵抗が高い柱、間柱部分は綺麗。
その発端となった写真の家をよく見ると、
柱や間柱、窓枠そして1階と2階の懐、小屋裏がそのまま外壁に写っているような汚れ方・・・。雨が主原因だったら、このような模様がつかないはず・・・。雨なら一様に汚れがつくと思いますが人工的な模様・・・
その写真と建物の窓(方位)から推測すると、
主原因は外壁の透湿抵抗不足による、室内の湿気が外部仕上まで通過してそこで結露もしくは高湿となる時間が多く、そのためカビや汚れを吸着したと思われます。
よって雨のあたりやすさは主原因ではないと思います。まあ外壁通気層工法なら起こりにくい汚れ方です。
思い込みがあると間違った方向に意識が行き、得られた結果が間違いでそれに気づかない事にならないように・・・、この事を私達技術系の仕事は特に注意しなければならないと肝に銘じて、業務に励みたいと思います。