「緑の家」の床下は空調空間と保管庫を兼ねる。だから清潔な空間とするため照明も標準設置。
清潔な床下空間・・・。
いつでも入って掃除可能・・・
設備類が丸見えのメンテナンス最優先・・・。
そんな基礎内が「緑の家」なのです。
今一番危惧するのは、
基礎断熱がもたらす温暖地域への床下等のカビ問題です。
基礎断熱とは従来屋外空間としていた床下を、室内に取り込んで屋内空間とした断熱工法です。元々北海道で産声をあげたと思っておりますが、少なくとも寒冷地で育った工法が故に、温暖地での多湿気候の場合に問題があると思われてきました。そのため10年以上前に、その影響を実測した論文が数多く書かれ、温暖地でも夏は床断熱による従来の床下より湿度が低くなるとの結論で問題なしと決着されたはずです。でもこの時はカビというより、木材腐朽菌に対する懸念払拭が目的でしたから、測定の方法やその期間、評価は腐朽菌に対する若年数だったと記憶しております。
評価場所が屋外空間ならカビは全く問題になりませんが、屋内空間でのカビは多くの問題を引き起こします。その一番大きい事がこのシリーズで申し上げている「家の寿命はカビが大きな理由の一つ」です。カビの影響で健康を害するについてはその専門家でないのでわかりませんが、とにかく精神的にカビ臭がするというのは大多数の人が避けたいと事だと思っております。
そこでシリーズ7回(この後おまけ解説で7をアップする予定)に渡ってお話ししてきましたが、室内カビ問題は時間経過が原因の一つになることがこの問題をわかりにくくしてきましたので、大変長い説明になりました。
そこで結論は、
建設地が温暖多湿地域※であれば・・・
1.基礎断熱をやめ床断熱にする。
2.基礎断熱にするなら夏は通風を止め24時間空調にする。
3.床下を空調空間に使うなら掃除しやすい構造とする。
4.建て主さんに高温多湿とカビについて説明する。
5.1~4不可なら長寿命住宅は考えずに30~40年破棄も。
です。
とても納得できる人は少ないでしょうが、ゆっくり順を追って考えるとこのような結果になります。
※・・・押し入れ内が黴びる地域。EX.北陸地方の平野部、都市中央部を除く関東以南の平野部(海岸から50km以内)。
コメント
木原様
>設計時には、卓越風のような粗いものではなく、敷地周囲の気流の動き(風向・風速)を細かく把握しておく必要があるということでしょうか?
裏に山があるとか、近くに沼、河があるとか、元々谷地とか、地面の下の水位や水の道など・・・です。
風はそこに住んでいた人の経験が重要ですが、周囲の環境が少し変わるだけでも変化します。ですので野中の一軒家でない限り細かく把握する必要はないかも・・・と思っております。
失礼しました。
おっしゃること、ごもっともです。
同じような条件の方は少ないかもしれません。
今後は一般論になるように注意いたします。
> これは日平均、月平均、時間あたり・・・どの平均でしょうか。
観測点は敷地のかなり近くですが、月平均の市役所発表の粗いデータです。
> 夏の湿度は時間あたりが重要ですし、
そうですね。もう少し詳細なデータが欲しいところですね。少なくとも早朝、午前、昼、夕方、日没後くらいの2-3時間単位くらいのセグメントに分かれたデータは欲しいと思っています。市役所に問い合わせれば元データログを閲覧できるかもしれませんが、無理なら自分で敷地内に機材を置いてデータを取ってみるしかないですね。
> 建築地域環境(市町村単位では無くもっと狭い敷地周囲)が大事になることが多い
設計時には、卓越風のような粗いものではなく、敷地周囲の気流の動き(風向・風速)を細かく把握しておく必要があるということでしょうか?
木原様
申し訳ありません。個別案件はブログ欄質問の対象外とさせて頂きます。ご理解をお願いします。
>私の新居の予定地では外気の相対湿度が6月から1月まで80〜90台で推移します。
これは日平均、月平均、時間あたり・・・どの平均でしょうか。夏の湿度は時間あたりが重要ですし、建築地域環境(市町村単位では無くもっと狭い敷地周囲)が大事になることが多いと思われます。
今回、頭の中を整理してみてはじめて、自分が「ルームエアコン」と「空調装置」をどこかで一緒くたにしていることに思い至りました。
素人の哀しさですね。
両者を区別して考えるということは、きっと基本中の基本なのでしょうが、最初はあまりそこを意識せずに考えていました。よい勉強になりました。
ありがとうございました。
> また最も効率的な除湿器はエアコンの室外機を室内機と同じ場所におくとよいと言われておりますが・・・w
これ、実験なさったことはありますか? 電力効率は無視するとして、除湿自体は本当にうまくいくのでしょうか?
私の新居の予定地では外気の相対湿度が6月から1月まで80〜90台で推移します。ピークは7月〜9月で90前後。9月に84くらいになって、それ以降は1月まであまり湿度は変わりません。
しかも夏期は昼間の外気温は35度前後。日没後は20度以下に気温が下がります。こういう場所ですから、床下(基礎断熱)の湿度管理は重要な課題になりそうです。特に1年目は。
今のところの暫定案としては次の2つがあがっています。
1階のエアコンを除湿運転しつつ…
(1) 床下に扇風機を設置して湿気を撹拌希釈しながら除去する案
(2) 床下に換気扇を設置して排湿する案
まるで浴室の乾燥と同じノリですが、夏に(1)をやると居室の不快指数が上がりそうです。(2)は排気量にもよるでしょうが、床下に内気を引き込むので夜間に結露するのではないかと懸念します。
できれば浅間様のご意見を伺いたいです。
木原様
熱・・・うなされるのも数年に1回なら体がウイルスリセットされるようで良いかもしれません。があくまでも人ごとですね。実際は辛いでしょうから。
>理解しましたが、正しいでしょうか?
流石です。そのとおりと思います。
家庭用エアコンは再熱除湿が装備されるまでは、潜熱除去は成り行きでした。
再熱除湿ができても、室内熱交換器の膨張と凝縮で使うコイルの物理的割り振りで除湿能力が決まりますから、ビル用の顕熱潜熱独立制御と違いその巾が低くなると思われます。別々にコンプレッサーと回路があればよいのですが、それだったらエアコン2台を同じ場所で冷房と暖房を同時運転させれば大きな除湿量と温度制御が理屈では可能です。また最も効率的な除湿器はエアコンの室外機を室内機と同じ場所におくとよいと言われておりますが・・・w。
インフルエンザで寝込んでおりました。
寝込むのにもいい面がありました。(笑) 顕熱比というキーワードをいただけたので、エアコンの仕組みを改めて考えることができました。
家庭用のルームエアコンの冷却コイルの制御は室温の安定(顕熱除去)を主目的としたアルゴリズムによっていて、顕熱比に応じて潜熱も除去されるとはいうものの、潜熱除去は従になっている‥‥別の言い方をすれば、両者は独立に制御されていない。湿度は室温変化に従ってある程度成り行きで、飽和空気線に近づいたり遠のいたりしているだけ、と‥‥理解しましたが、正しいでしょうか?
丁寧にお答えいただきまして、
ありがとうございます。
基礎断熱するなら、冬に過ごしやすくするために、
床下エアコンが良いと思っていましたが、
こう考えると、夏対策としても、
床下エアコンがあった方が良い気がしてきました。
木原様
なかなか面白くなってきましたw。
>つまり、湿度センサーが搭載されていても、湿度センサーからの情報は当てにしていない(あるいは、事実上無視している)ということでしょうか?
いいえ、温度・湿度センサー両方からの情報を頼りにしていると思われます。但し湿度40%以下にはまずなりませんから実際は温度によって制御されると事になります。
もし床下内にエアコンが設置された場合・・・
仮に湿度40%で温度26度で設定したときに、再熱除湿運転は室内の熱交換器の割り振りで顕熱比が決まるので、床下の低い温度(26度以下)を感知した時に、再熱除湿の出力を落とさないと温度が下がりすぎるので冷媒温度を下げないように制御する可能があります(つまり除湿量が少なくなる)。
一方床上においた場合は、吸い込み温度は常に26度以上あるはずなので、再熱除湿能力MAXで運転しようと頑張ります。となると・・・どちらも変わり無いと思われるので先の回答になりました。無論、床下の大きさ、メーカー、機種によって違いますので断言はできませんし、違っていることもあるやも知れません。ただ仮に床下内設置のほうが湿度が下がってもその差は上の理由で少量とおもわれ、あくまでも暖房用のエアコンを再熱除湿の有利性のために床下内に設置する事はナンセンスだと思っております。
「エンタルピがほぼ変わらない」と答えたのがまちがっておりました。カッコの中だけの「吹き出される空気の湿気の割合」ですね。すみません。
因みに再熱除湿の顕熱潜熱能力の割り振りは日立が体感上では顕熱比を小さくしているようです(除湿巾が大きい)。
確認の意味でお尋ねします。
「吸い込み空気が多少違っていてもエアコンから吹き出される空気のエンタルピ(湿気の割合)はほぼ変わり無いと思われるからです(吸い込み温度からエアコン自身が考えて冷媒温度と風量・・・つまり能力を決定するアルゴリズムに左右される)。」
これは、つまり、エアコンの挙動を決定するアルゴリズムは、主に(あるいは、完全に)温度センサーからの情報で動くようになっているということでしょうか?
つまり、湿度センサーが搭載されていても、湿度センサーからの情報は当てにしていない(あるいは、事実上無視している)ということでしょうか?
木原様
いつもどうもです。
>床下エアコンの夏期の除湿運転についてですが
あまり変わり無いように思えます。
なぜなら吸い込み空気が多少違っていてもエアコンから吹き出される空気のエンタルピ(湿気の割合)はほぼ変わり無いと思われるからです(吸い込み温度からエアコン自身が考えて冷媒温度と風量・・・つまり能力を決定するアルゴリズムに左右される)。
それらを押し込むのでおされてゆっくり混合ガスとして希釈されますし、湿気のガス自体でも蒸気圧差で床下内から室内にゆっくり混じります(蒸気は床下に向かってくる)。
最近は深夜電力が高くなったので、エアコン自体を床下に入れて暖房蓄熱用に目一杯運転するやり方はしなくなりました。よって通常床上にエアコンは設置しており床下内に入れる選択肢はなくなりました。
このシリーズもまた大変興味深いです。
床下エアコンの夏期の除湿運転についてですが、エアコンの吸気位置が気になったりという経験はございませんか?
室内機の全体が床よりも下に完全に潜っている場合は、基礎内の空気を直接吸うので、こと床下の除湿に関しては「効率(?)」が良いように思えます。一方、室内機の上部が1階床上に出ているような場合は「効率(?)」があまり良くないように思えます。
実際のところ、両者はそんなに変わらないのでしょうか? それとも有意な差があるのでしょうか? 経験的にはどうなのでしょうか?
お隣さん
いつもどうもです。
>基礎断熱では、床下の温度は夏は低い=相対湿度高い、となるでしょうから、室内がエアコン稼働で湿度70%でも、床下は80%になったりしそうですね。
普通の家ではそのとおりです。
「緑の家」は最近「CF」効果のため温度28度湿度60%が居室になり、床下は温度が25度70%程度が多いようです。70%以下にするためには床下暖房用エアコンをおっしゃるとおり再熱除湿で運転するか弱冷房除湿運転すると湿度が60%台に下がります。この使い方をしないと・・・床下内で当初は木以外の部分からカビが生える確率が上がります。数十年後は木からもカビが生える事になります。
>特に基礎から放湿する最初の数年は。
数年というより一年目がやっぱり辛いですね。結構高湿度になる事も経験しておりますし、そのように報告もされています。
基礎断熱住宅では夏季の通風を止め毎年床下内除湿をしないとカビ爆弾を抱えた家になりそうです。
いつも楽しく拝見しています。
基礎断熱では、床下の温度は夏は低い=相対湿度高い、となるでしょうから、室内がエアコン稼働で湿度70%でも、床下は80%になったりしそうですね。
そうだと仮定すると、床下エアコンを設置して、夏場には、時折再熱除湿で運転した方がベスト、となりそうだと思いました。特に基礎から放湿する最初の数年は。