「緑の家」のエアコン 新たな空調計画 2016年版

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2016年08月26日 表修正(顕熱換気除湿量修正)

この夏「緑の家」で室内の環境を実測しております。そこで今後の「緑の家」でのエアコンの設置計画が決まりました。エアコンはその特性が機種や時期によって変化するので今回は2016年版として2011年から5年後の変更計画です。

高い性能の高気密高断熱の家において、多くの設計者がエアコンの設置方法を計画するとき、主に冬の暖房時の暖房負荷を考えてエアコンを台数や位置を決め、冷房には緻密な計画をしないと思いますが、新潟県ではそれだけでは不充分で有るということがはっきりわかりました。

夏期の空調計画を決めたきっかけの写真。

「緑の家」では、事務所設立当時(約20年前)から暖房最大負荷でエアコンの台数や位置を決めていない事は、このブログの読者ならおわかりだと思います。
つまり暖房の最大負荷ではなく、快適性と冬期の実燃費がよくなるようにエアコンの台数や設置位置を決めております。仮に6帖用エアコン1台で暖房できる家であっても1台のエアコンだけで暖房する事を勧めてはおりません。これは20年以上前からエアコンの効率は定格時よりも定格時の1/2から2/3くらいの弱運転が一番よいCOPになるとわかっていたからです。

近年(SSプランを作った2009年から)は、暖房費もできるだけ抑え更に床下エアコンの標準採用した事で冬期の快適性の目標も達しました。

そこで6年前からご存じの通り、夏のエアコン設置方法に軸足が移りました。

「緑の家」の今後のエアコン計画と選定は

冬・・・床下暖房中心(今までどおり)の選定

夏・・・RH(相対湿度)45%が可能な選定※

※・・・「可能」であって通常は床下を含む屋内RH(相対湿度)が65%以下なら問題ない。

です。

従来の夏の機種設定は、冷房負荷から考えた最小構成の空調計画でしたが、今後はRH(相対湿度)が45%が可能なエアコン配置計画とします。

昨年までは冷房はできる限り負荷集中のSHFが低くなるエアコン運転で、目標RH(相対湿度)は65%以下・・・成り行きでも65%くらいにはなるのでそれでよしと思ったのですが、低湿度を好まれる方が多くいらっしゃるますし、数十年経過時のカビ問題もあるので、それに対応した空調計画が必要と思い直しました。きっとこのような価値基準で夏の空調計画を考える事は、県内では初めてではないでしょうか。

特にAPFが6.5くらいだった7~8年前と違い、最近のAPFが7.5を超えるエアコンは、その特性が定格時の1/2あたりのCOPをよくする為に、冷媒温度の変化量を少なくし風量を上げることでAPFを上げているので、日中以外のSHFがあがり除湿が出来ないよう先祖返り(8~12年前の特性)しているようです。この点は注意しなければなりません。


梅雨から夏にRH(相対湿度)45%をキープするための1日あたりの除湿量。CFの効果が8L/日。

 

 

具体的には30坪から37坪前後の家なら
RH(相対湿度)45%にする為には、最低でも温度が下がりにくい再熱除湿ができる機種が2台から3台必要です。しかも換気は全熱交換型が必要です。全熱交換型換気扇を使っても8月の温湿度から考えると除湿量は15L/日にもなり、ここに生活で発生する湿気(人、洗濯物、家事、風呂)が12L/日になりますから合計で27L/日の除湿が必要です。
全熱交換型換気扇を使ったとしてもお風呂場を個別の排気型換気扇にした場合は更に増えて32L/日、全熱交換型換気扇を使わない場合は、5237L/日の除湿が必要です。1日5237Lを除湿出来なければRH(相対湿度)45%は難しい事になります。

27L/日の除湿を行う為には、1.1L/hの除湿が必要で、このための露点温度は約4~8度が必要です。こんな冷たい風を作ると、日射遮蔽を確実に行った家なら家が冷えすぎてOFFにする事になりますから、何か工夫をしないと再熱除湿以外は難しい事がわかります。
※・・・2階ホール等で人のいないところで吹き出す

当方が選ぶエアコンの除湿量を調べると1台では12~15L/日で消費電力270~350W・・・。つまり最低2台が必要だとわかります。3台あると確実に低湿度維持できます。仮に200Vの14帖エアコン1台の再熱除湿では1日の除湿量は最大で30L・・・。しかし最大運転では音も大きいですから、総合的に考えるとやはり2台がよいと思いますね。無論床下用エアコン(再熱除湿あり)をそのうちの1台にあててもOKです。

このように今後夏の冷房空調は、RH(相対湿度)45%ができる設備計画にします。冷房費だけをかんがえる思考から一歩進み、快適さと湿度管理の自由度を踏まて行います。

まとめると・・・冷房負荷の大きさでエアコンを決めるのではなく、除湿能力で夏期のエアコンを選定する事になります。

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