この写真をよく見て・・・。数年前伐採した木の根っこが残っているところ。
まだ仮説ですが・・・
あの堅そうに見える土の中をいとも簡単に白アリは移動しております。クロアリなら土を掘る事に長けていると思いますが、白アリは土を掘るところを見たことがありません。たぶんあまり得意でないはずです。ところがこの現場でその移動方法がわかりました。
今年の5月にこのブログで紹介した16年前の「緑の家」白アリがでた話・・・。
先月大事を取って駐車場を広げる工事と一緒に玄関ポーチ側に究極の白アリ予防を行ってきました(家内部は除く)。
完成当時の外観写真(2000年撮影)。当時はデジカメがなく銀塩写真をスキャン。この後に木が2回植えられる。
先月外構変更が完成。しかし16年経っているのに今見ても見栄えする普遍的なデザインだと自画自賛。東の窓が圧巻。外壁等は当時のままノーメンテ。
上の写真で竣工時と今を比較すると、今の方が写真が良いせいか綺麗になっている気がします。「緑の家」は当時から流行を追わない普遍的にバランスの良い家を設計しています。
さて本題ですが、
よくある玄関ポーチ階段。16年経つとタイル汚れも酷くなる。矢印部分から郡飛したらしい。
今年玄関ポーチの階段途中から郡飛(羽アリが一斉に飛び立つこと)が確認されたそうで、その部分を確認すると・・・
ありました。原因が・・・。
表面から見えないタイル下にあるこんな小さな(3cm角で長さ10cm)木に白アリがつく。
玄関階段を造る時に印とした木の木っ端。その木っ端が穴だらけになっており、この小さな破片を白アリが食べていたようです。しかし不思議なのは、コンクリートで囲まれたこの場所までどうやって白アリがたどり着いたか?
無論表面はタイル貼りでそこから白アリが侵入することは無理ですね。
こんな小さな(3cm角で長さ10cm)木に白アリがつく。最後のあがき=分家のため郡飛がおこなわれる。
不思議に思って解体を見守っていると・・・
「あっ・・・ちょっと作業ストップ」
「これだー」
コンクリート継ぎ目に細いものが・・・
コンクリート同士の打ち継ぎ部分から根っこが内部に入っていることがわかる。
木の根っこです。この根っこが先ほどの木の木っ端までつながっているのです。
生きている木の根っこは水分を探るように地中を進みます。特にこの外構のように全てコンクリートで囲まれていると、そのコンクリートの裂け目から入る水分に向かって根っこ延ばします。コンクリートに木っ端があれば他の部分より水分が浸透しやすくなります。よってその木っ端に向かって根っこを延ばします。
なるほど・・・
だから白アリも木の根っこに添って、また根っこを食べながら移動する事で、地中に微細な連続空洞を造り、遠く、長く移動できるのです。しかも高確率で水分の多い腐朽木にたどり着ける・・・。そうなると土より断熱材のほうが木の根のように通りやすくなる素材とわかります。だから土に接するr断熱材は慎重になり十分注意する必要があるわけです。
土を掘ると古い根っこが
ある。この根っこが奥の白い矢印につながる。
建て主さんには申し訳有りませんが、なぜか晴ればれした気持ちです。白アリの移動方法がはっきりわかりました。
森や林の中にある家よりも、なぜか白アリの被害や出現が大きいこの砂丘地。その理由は、木の根っこにありました。木の根っこが水分を探し、水分があるところが家の周囲の水が漏れる場所につながるのですね。そこに木があれば白アリが食す事になります。
しかし誤解しないでください。
こんな木の根っこが欠点であっても庭木を植えることは止めないでください。白アリは弱い生き物で、この家も郡飛して分家しなければもう絶滅する間際で、来年以降はこの部分からは発生しないと思われます。新潟県にいるヤマトシロアリはそんなに怖い白アリではありません。白アリ防止のためだけに木を止め無機質な家だけの町並みに何の良さがあるのでしょうか。今回の家はたまたま駐車スペースの拡幅で庭木が伐採されましたが、出来れば緑は絶やさないでほしいと願っております。
さて、原因がわかれば玄関戸付近を確認し、対白アリで究極の玄関ポーチの予防設計をします。
玄関ポーチ床を壊し確認中。玄関戸下から白アリの侵入は見られなかった。
究極!玄関ポーチの白アリ予防。建物と切り離された浮き階段。手摺柱下も浮き構造で。
木製玄関戸は16年経過。今年塗装をしなおした。床はアイアンウッドで木を使うとなぜか南国仕様に見える。
何事もオープンで真っ向から取り組めば必ず理由がわかり対策ができます。そしてその都度更に「緑の家」が進化します。
コメント
わたなべ様
コンメントありがとうございます。
>切り株や枯死した庭木を放置しておくことがシロアリを呼び込むことに繋がるそうです。
そうなんです。このお宅も数年前に撤去した庭木の根っこが階段まで伝わっており、そこで木っ端に取り付いたようです。
土の中の根っこを全て取り去ることはできませんので、早く腐れば問題ないのですが、砂丘地では水分が直ぐなくなる性質上、遅いのではないか思われます。
>ヤマトシロアリ以外に、新潟県内でもアメリカカンザイシロアリの発生が確認されているそうですから、困ったことです。
これは初めて知りました。
確かにググると
http://ci.nii.ac.jp/els/110009470751.pdf?id=ART0009943121&type=pdf&lang=jp&host=cinii&order_no=&ppv_type=0&lang_sw=&no=1472882019&cp=
ありました。しかも2010年で長岡市です。
専門家なのにこの情報を得ておらず申しわけありません。
アメリカカンザイ白アリに対する予防策は殆どないのが現実です。ホウ酸がよいとの事ですが、木製品一つでも食べる事ができる木であれば取り付く可能性があります。例えば入居後購入した机など輸入家具に入っていれば防ぎようがなく、ホウ酸は内部浸透しませんからそこを拠点として床材、構造材内部に潜られたら・・・。
この辺りが普通の白アリではないところで、乾燥しているピアノだって食害に合う可能があります。
唯一の救いが拡散スピードが遅いことです。
さて・・・どうするか?
以前に住んでいた家がシロアリ被害を受けていたので、興味深く読ませていただきました。
一般的にシロアリは生木は食害しないそうなので、庭木を植えること自体はまったく問題ないと思いますが、切り株や枯死した庭木を放置しておくことがシロアリを呼び込むことに繋がるそうです。
森林地よりも砂丘地のシロアリ被害が多いとのことですが、森林は餌となる枯木が豊富にあるほか、シロアリの外敵となる生き物が多く生息してるのも家屋に被害が及びにくい理由の一つだと思います。
ヤマトシロアリ以外に、新潟県内でもアメリカカンザイシロアリの発生が確認されているそうですから、困ったことです。
シロアリ被害がこれだけ多いのに、どうして火災保険の適用対象になっていないのでしょうかねぇ。