この内容は、盛岡における基礎断熱と床断熱の床下内の温湿度の比較をシミュレーションで行った結果報告です。
この件は随分前に結論がでており、殆どの地域で基礎断熱のほうが床断熱より「床下内」で結露しにくい。つまり床断熱の床下は基礎断熱より結露しやすいとなります。
今でも私の記憶に残る・・・この文面にあるように1999年に住宅金融公庫標準仕様として期半ばで急遽差し入れられた基礎断熱工法の仕様書。この前まではわざわざ開閉可能な基礎換気口をつけて、住宅金融公庫規定で定められた床下換気の義務を基礎断熱で満たしておりました。
そして1999年~2006年くらいに基礎断熱と床断熱の床下内の年間比較の実測が、建築学会の大会に論文として多く発表され、その殆どがこちらの報告と同じ結論です。
とここまでは定型説明ですが、
この内容では読者さんは?になると思われます。
床断熱の床下内が不衛生的(ダンプネス問題)になる事は、実務者なら様々な現場を見ているので既に理解しております。また基礎断熱された家でも、床下内を積極的に利用しない住宅であれば、基礎断熱の床下内環境が結露し難い事だけで満足です。しかし最近はこの床下内に給気し予熱を期待したり、床下に温風を入れそれを居住部に引き込むような使い方をしております。一方基礎断熱が公に認められた1999年の頃は、北海道を中心とした準寒冷地以北でしか採用されていなかったのですが、現在は九州まで普通に計画されております。つまり1999年から2006年くらいまで論文発表された時と、状況が異なるようになったのです。
そこで建築学会には数年前から床下の環境について論文が発表され始めました。これは昨日のブログで紹介しましたから省きますが、
今、実務者の知りたい事は、盛岡ではなく温暖地における
「基礎断熱における床下内の環境の実態」ではないでしょうか?
そしてこの執筆のように盛岡という東北地方のシミュレーションだけではなく、関東や中部、関西、四国、九州、中国と様々な環境での比較と私は感じます。
なぜなら、それほど日本における外部環境の違いがはっきりとあるからです。
立派な先生が研究し発表する論文は、確かな答えを私達に与えてくれますが最近気になるのは、「地域性の違い」をはっきりと伝え切れてない事ではないでしょうか。
新潟県という狭い地域且つ特殊外部環境(深い雪、湿気のある夏)で家造りをしていると、他県の他環境にとても興味がわき、必ず環境の違いを先に考える癖がついております。しかも環境の違いが文化の違いになりますから設計者としてはとても大事な癖だと思っております。