確信!今のところ断熱材は0~50㎜まで。その2

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解体工事でビルなどで施行される場所打ち杭を地中から引き抜いているところ。住宅ではこんなイメージで地中内に作られるのが柱状改良といわれる深層混合処理工法。

今月の始めに「確信!今のところ断熱材は0~50㎜まで。」を掲載して数件の助言やコメントを頂いた。ありがたい事である。

皆さんのご意見・指摘を伺い少し丁寧にまとめたいと考えている。

まず何時も案内している基礎の参考書「小規模建築物基礎設計指針」からの抜粋から始める。

この本は建築学会が住宅関係者の要望に答えて主に住宅むけの基礎の解説書となっている。この本の前身はこちらで

発刊は1988年であり、その後阪神淡路大震災を教訓にできた品確法の施行により現在の「小規模建築物基礎設計指針」が世に出た。こちらの初版は2008年だからかれこれ10年くらい前になる。

まず基礎の役目を明確化すると、

1.上部構造鉛直荷重の地盤への伝達

2.水平荷重の  〃

3.曲げモーメントの  〃

である。

今回の話の中心は1.の上部構造鉛直荷重の地盤への伝達である。つまりべた基礎のスラブの下にある断熱材は「長期的に」※地盤として見なせるか?又は構造材料として見なせるかである。※長期的でなければ木板でも地中に埋め所定の支持強度をえる事は可能。

その鉛直荷重の地盤への伝達方法であるが、それが基礎形式と呼ばれ一般的には

・直接基礎

・直接基礎+地盤補強

の2つがあり、特殊な場合だけ(RC造の住宅や鉄骨造の住宅)に住宅でも杭基礎がつかわれる。「緑の家」は主に木造住宅なので「直設基礎+地盤補強」が90%以上となる。残り10%が直接基礎となり新潟市の砂丘部および平野部以外の地域となる。

さてこの直接基礎+地盤補強は通常使用される工法が4つあり

A 深層混合処理工法

B 小口径鋼管杭

C 小口径杭

D 浅層混合処理工法

である(Dは大規模分譲地以外は行われないので説明は省略)。

このうち「緑の家」はAが大半を占める。ここでA・CとBで注意しなければならないことは、その地盤補強の目的が違う事。

小規模建築物基礎設計指針P71からの転載

A・Cは「支持力の増加と沈下量の低減が目的」であり、Bの小口径鋼管杭だけは「支持力は基礎フーチングで確保し、沈下量の低減が目的」であること。一般的に小口径鋼管杭はハウスメーカーの布基礎タイプに多いが、この構造計画では基礎のフーチングで先ずは許容支持力を確保することになる。そして沈下低減として鋼管杭を考えるので、通常布基礎では30KN/m2の地盤支持力を必要とする。一方Aの布基礎+柱状改良では、柱状改良を行ってその効果で30KN/m2以上の地盤の支持力があるという計画でもよい。無論べた基礎は20KN/m2からOK。

A・Cでは支持力の増強で地盤改良するので、直接基礎であるスラブやフーチン部分も鉛直荷重を相応負担することが前提であり、補強として地盤改良をおこなうとされている。ビルなどの杭だけで鉛直荷重(水平力も)を支える杭基礎とは違う構造形式である。

つまり仮に柱状改良してもべた基礎ならその全面に相応の鉛直荷重を受ける事が原則であり、それを前提にまず考える。

その3に続く。

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