無塗装の木だけで作られる外観・・・特にこの木格子をみると、木の家は良いなと改めて思う。
昨日大野町の家の現場打ち合わせに伺った。この家の独自特性の「ある」ことで、縦樋の取り付け位置に困り、現地から連絡がきた。これは足場とネットが外れ全容がわかるときに改めてお話ししたい。そこまで建て主さんが「ある」ことに拘るからこちらも応えるのである。
話は本題へ・・・
今はまだ養生ネットや足場で全く外観は見えないが、この中は木だけでできていると言ってもよいほど木の意匠。
うん…良い感じだ。
何が良いって・・・大工さんの手仕事の跡がわかるから。人の作業した重みというか努力というか・・・兎に角に人がこの木の素材から「ぶんぶん」伝わるのである。
しかし・・・最近世の中は先祖返りしているのである。
これは昨日事務所に見えた上野住宅建材さんも言っていた。
「最近床にしても高級ラミネート加工(いわゆる印刷)された床が人気だとのこと。又再び人工素材(新建材)に戻るのかも・・・」
なるほど・・・
確かに無垢素材が重宝されてから20年もまだ経っていない。たぶん無垢材ブームになったのは15年ほど前から。つまり今から50年前に無垢から新建材への置き換えがおこり、今度はそれが行き過ぎたという振り子の原理で15年前から無垢材への人気が高まって近年ようやく天然素材の無垢材が一般的になってきたのである。
つまりその50年から15年の35年間、西暦にすると1970年から2010年頃で生まれ育った人は、身の回りが新建材の素材だけになったので無垢材の建物や素材に触れること(手や足でふれること)がなくなった。そうなると無垢材のあの良さはわからず新建材を基準とした価値判断になっている。そのような人が今は家を建てる世代の中心なので、・・・新建材の人気が高まっているのである。たぶん一度無垢材に先祖返りして更に新建材への先祖返りなのかも。
無垢材指向である「緑の家」のオーナーさんに伺っても確かに
「生まれ育った家が無垢材でできていた」
とか
「小学校等の床と机が無垢材だった」
という人が圧倒的に多い。だからこそ無垢材の家の良さがわかるし実感するのだろう。
無垢材はヒビも割れも時折入るし、季節によって隙間ができたりなくなったり、時にはとげが刺さるほどのささくれもできる可能性がある。そして極めつけのカビが生えやすいのも天然素材である無垢材の特徴。それでも無垢材に拘るのは・・・、工場で作った新建材に人の仕事感は感じられず、無垢材に人の時間(とき)を見るのでしょう。木はそのままでは使うことができず、何らかの人の手がはいる(仕上げ)。それを感じるのである。
人は人がいてこその人である。
こんな美しい木目を、人がデザインすることは不可能。つまり本物!
さて・・・
今回の大野の家は断熱グレードが最上級のAグレード。
窓は基本的に単独取り替え可能型であり、このように木枠で囲まれる手の込みよう・・・。
この掘り深さが木の無垢を強調し、まるで角ログのような厚みを見せる。
新出窓だけは外壁がわずかなのでそれ全体を取り替え枠に見立て設計している。
一方、室内では今まで拘ってきた一本柱の緊張感だったが、大野町の家は2本柱となっている。さてこれでほどよい緊張感が生まれるか・・・?
最後はこの大工道具。
マルチ?マルチツール?と言っていたが、すごく優れもの。本当の職人芸の細かさはできないが、通常の木の納まりではとても役に立つ。
どのような時に使うかと言えば・・・
ノミのような上から深く小穴を入れたいときに、あっという間に穴を掘るためのカットができる。私はノミの代わりとみた。これは私もほしい(マキタだし)。日曜大工でもノミを使うひとならこの良さはわかる。
現代は効率の社会であるが、ノミに変わりこのような道具で少しでも現場での手仕事が早くなればよいと思っている。