冷暖でエアコンはバックアップが必要になる。その2

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2015年の「緑の家」に設置されスローリークし壊れた三菱製のエアコン。尋常ではない錆び。

今シーズン複数の「緑の家」で夏期に冷房用エアコンが故障し、修理まで数日間エアコンがない状態があった。夏期にエアコンがない現代の住まいは耐えがたい苦痛を強いる。そこでバックアップエアコンが必要との考えを↓のブログでお伝えした。

予言・・・冷暖でエアコンはバックアップが必要になる。
昨年にはっきりとわかった国内家電メーカーの家庭用エアコンに対する姿勢・・・。 先日案内したとおりエアコン室...
移動エアコンのTAD-22Jw(トヨトミ)。品番でなく愛称が必要だと私は思う。愛称がないのは商品としてデメリット。私なら「クールBOX」では如何か。

「だから超高断熱高気密はだめなんだよ」

との意見も聞こえるが、冷房用バックアップエアコンの対策(冷房用エアコンは2台以上)さえしていれば全く問題ない。一方バックアップエアコンが無い場合の家で、エアコンの修理まで時間がかかる時のために、オーブルデザインでは移動式簡易エアコンを用意した。それが上の写真。

この機器の凄いところはこの大きさで冷暖房出来るようにワンパッケージにまとめていること。考えてみてほしい・・・通常一番小さい6帖用のエアコンの室内機は7.5kgで室外機は19.5kg、合計27kgくらいある。このTAD-22Jw(面倒なので今後「クールBOX」と呼ぶ)は一台で26kgと重量はほぼ同じであるが、機器の容積が通常のエアコン室内機よりちょい大きい程度。つまり室内機と室外機をくっつけて重さは同じであるが半分の容積にしている。そこが凄い。更に凄いのは除湿量が多いのである。

除湿量を多くするためには冷媒温度を下げる必要がある。しかし下げるには減圧幅をより大きくするので効率が落ちる。このため最近の省エネエアコンは冷媒温度を下げずに熱交換器大きくして効率を上げている。冷媒温度を下げないので通常運転での除湿量は少なめになる。

一方この「クールBOX」はこの小さな容積にまとめるために熱交換器を大きく出来ない。この小さい熱交換器で2.0(2.2)KWの冷房能力を得るために冷媒温度を低くしている。当然インバーターではないので風量によらず常に冷媒温度は一定になる(内外気温によってかわるが・・・)。写真でわかるとおり吹き出し温度(冷媒管近く)6度台(室内26度、室外26度時において)。

6度台の吹き出し口温度。
その時の室内の温湿度は26度RH58%と比較的乾いた空気。

この冷媒温度なら除湿は相当良いだろうと思い、ドレイン水による結露量を測ってみる。この状態で10分間運転すると・・・ドレイン量はどのくらいだろうか。

ドレン水を集める。

多少こぼれてしまったが10分の運転で180mlのドレン水が発生した。

なんと10分で180mLとなり、仮に24時間運転したとすると26L/日となる。それは当たり前でメーカー公表値の除湿量は驚異の36L(42)L/日。

計算上の除湿量ではあるがほぼそれに近い実測であった。上はメーカーHPからの転載

これは一般に販売されている移動式除湿機の除湿量である6.0L/日から9.0L/日の5~6倍にもなる。驚きである。価格は除湿機の倍であるが除湿量は5~6倍!

「でもこれはエアコンでしょう。除湿機の代わりにはならないのでは?」

とのご意見があろう。しかしこれは多分除湿機になるのである。

標準でダクトと窓の仕切り板がセットで付属する。

上の写真のとおりこのクールBOXの背後には室外機に相当する部分の廃熱をするために吸気ダクトと排気ダクトがある。これを写真のように外部に繋げば本格的なエアコンと同じ機能になる。しかし排気ダクトと吸気ダクトを屋外放出でなく室内で放出すると市販されている除湿機と同じことになる。市販されている除湿機は湿気だけ棄てて消費電力は全て室内へ放出するので一種の暖房器でもあり、連続除湿しても部屋や冷えないし逆に暖かくなるのが除湿機である。

では何故「クールBOX」が「除湿機」となるのだろうか。

メーカーHPからの転載。冷房中はドレン水がでないとある。

「そういえば先ほど実測したドレイイ水はどこから来たの?」

と直ぐ思われた方・・・マニアである。そうそのとおり、もしドレン水が排気で気化されたら液体として採取出来るはずはない。

私はこの「クールBOX」の企画・設計者に拍手を送りたいと先日ブログで伝えた。それがこの件なのである。この「クールBOX」にはドレイン口が上下2つある。

ここから推測であるが取説と機器の配置を考えると次ような設計になっていると思われる。

ドレインパンは2つ有り、上部のパン1は冷房時に使用し下部のパン2は暖房時に使用する。パン1が排気口と繋がっているのでドレインレスが可能になる。

冷暖房できるのでそれぞれの熱交換器にドレイン水が発生しそのためドレインパンは上下2つ有る。冷房時には上のパンに水は溜まり、それを下で排熱をおこなう空間に導くと気化して排熱風と一緒に屋外へ拡散するが、空間に導く前にドレン口をつけて排出も可能になっているようだ。上図で栓Aをとればドレイン水が下の排気口に流れず栓Aから出てくる。

つまりこのドレイン口(栓A)を設けなければ除湿機にはならないのであるが、このメーカーさんはあまり必要のないこのドレン口を設けたのである。栓Aをあけ、排気は室内放出にすれば連続運転でも温度が下がらない状態・・・といより室温上昇させ湿気だけ取りさる優秀な除湿機となる。

栓Aを取りさればドレイン水は気化されず外部へ放出される。

そのためデフォルトではゴム栓でふさがれているし、商品にもノンドレン冷房できると書かれている。取説には連続冷房するときにはこのドレン管の設置をお勧めするとあり繋げばこの口からドレンは取り出せるのである。無論なくとも冷房は可能である。一方暖房の時は屋外側の熱交換でドレン水が出来るので下のドレンパンに水は溜まる。当たり前だがここは排熱を利用できないためドレン水として棄てる構造になっているので流石に加湿(湿気を逃がさないこと)はできない。

排気ダクトと吸気ダクトがあるので、通常のスポットクーラーの欠点である屋内空気を利用して冷やす事をしていないこの「クールBOX」は「緑の家」の臨時のバックアップエアコンとしては大変ふさわしい機器である。特に先日エアコンの室外機を床下に設置し再熱除湿専用機として使いたいと願った機器がまさしくこのクールBOXであり、既に販売されていたのであるから、この機器をつくったトヨトミさんに心から拍手を送りたい。愛称を与えれば最も認知拡散効果が上がり販売数が伸びると思う。

デフォルト冷房時の模式図(栓Aは閉める)。吸気口が外気ということが他メーカーにないこの機種だけの利点。

但し最近のエアコンCOPは定格冷房で5.5程度であり、そこからみれば「クールBOX」は3.4と流石に悪いし、運転音も大きいのでやはりは臨時機器だろう。一方緊急事態なら移設が簡単なため一時的なバックアップエアコンとして、除湿機としては最もふさわしいと思われる。

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コメント

  1. Asama より:

    とうちゃんさん

    コメントありがとうございます。

    >ちなみに、エアコンはどれぐらい能力があるのでしょうか?

    同じかそれ以上の能力はあるはずです・・・が、
    省エネ思想のインバーターが悪さをしてしまい、設定温度に近づくと圧縮機の回転数を落とし冷媒温度が上がります。すると除湿量は下がるので、設定温度を最低にして負荷を多くかけると36L/日以上の除湿が可能だと思われます。冷えすぎて困りますが・・・。

    このクールBOXはインバーターがないので昔のエアコンみたいにガンガン除湿します。36L/日は東日本の50Hzで西日本なら60Hzで42L/日とりますよー。

    >スローリーク

    昨日また「緑の家」のオーナーさんの東芝製エアコンが壊れたと連絡あり。
    東芝メーカー修理は26日以降まで満杯とのこと。この暑い時期こんな壊れるエアコンをつくっておいて恥ずかしくないのか・・・と思います。東芝は間違いなく買わないし選ばないと決めました。

  2. とうちゃん より:

    36リットルは凄い数値ですね。
    店舗で使っている除湿器は、12時間動かして、3リットルぐらいですから。

    ちなみに、エアコンはどれぐらい能力があるのでしょうか?
    エアコンは適温になれば、除湿効果は下がるでしょうから、こちらの方が除湿的には良さげに思えてしまいます。

    エアコンと言っても、いろんな種類がありますけども。