ある「緑の家」の電気代(冷暖房含む)と電力プランについてのわかりやすい表を頂いたので少し加工して年間冷暖房費を推定した。
この「緑の家」の環境条件
- 日本海が特有の冬期の日射がほとんど望めない地域。
- UA値:0.29w/m2k(国認定数値)
- 延べ床面積:37坪(122m2)吹き抜けを入れると41坪。床下を入れると52坪相当。
- 測定年月:築1年以内のデータ
- 冷暖房方式:床下エアコンによる暖房と再熱除湿、2階エアコン冷房
- 床下高さ1.4m
- 24時間家中空調(暖房室内温度約24度)
- 太陽光発電は一切無し
冷暖房算費だけの算出方法は、5月の冷暖房をほとんど使わない月の差額を冷暖房費としているので、絶対的な正確さにはかけるがこれ以上の冷暖房費になることはなく概ねこの数値を目安にすることは間違いないと思われる。
すると・・・
年間暖房費3.9万(平均0.6万/暖房月)
年間冷房除湿費1.9万(平均0.7万/冷房除湿月)
になる。ちなみに冷房除湿費用は築1年以内でかつ基礎容積がとても大きいので今夏は2割ほど下がると思われる。
超高断熱住宅の割に「緑の家」は年間の冷暖房費をあまり宣伝しない。というのは・・・
超高断熱と気密をできる限り行ったらそれでよいと思っている。無論、もっと窓の性能をよくすれば暖房費はすこし下がるし、床下暖房をやめて普通のエアコン暖房にすれば2~3割くらいも暖房費が下がる可能性はある。しかし少しの暖房費の差よりも自分の思う快適で暮らすことを主眼においている。よって「緑の家」ではオーナーさんによって暖房設定温度が違うし(26度から20度の範囲)、冷房除湿もRH(相対湿度)45%~65%まで幅広い。暖房温度が違えば暖房費もその分大きく変わるし(エアコンの場合は特に)、除湿も同様・・・。暑いの寒いのを少しだけ我慢して電気代を下げるのもよし、快適さ優先で気にしないのもよし、バランスでいくのもよいだろう・・・それでよいと思っている。
さて・・・表を見ると「緑の家」ならではの工夫がある。
東北電力さんの電気料金プランで深夜電力時間が12時間である「よりそうナイト12」に変更してから深夜電力を多用する暖房運転方式に変えたのである。よって表の緑色部分の冬期電気使用量を見ると、夜間の使用量が日中の5倍!夜間の電気料なんと12円/kwhだから、一般単価の1/2以下の電気料金なので、ここで多く使うことが暖房の快適さはほぼ変わらず電気代が安価になるコツ。
オーナーさんによると、
12月~4月までの冬期は、床下エアコンを夜9時から運転し、朝9時まで行う。その後エアコンは完全OFF。とても寒い日だけ夕方から追加でエアコンONで過ごしたととのこと。
そう・・・
床下が1.4mもあり基礎コンクリートが一般の家の2倍以上だから、蓄熱量もコンクリート部分だけで2倍ほど。その他蓄熱材料はなくこれだけでこの暖房方法が可能であるのだ。鬼門の夏も夜間に床下用エアコンを再熱除湿でカラカラに低湿度にして蓄湿させ、年間で電気代を考えると案外うまくいくと思う(大きくないが無塗装の家具、床下収納保管の洋服、無垢無塗装木材、コンクリート全ての材料には調湿性がある)。
この電気プランに換えたのはオーナーさんの意思で、こちらでは何もタッチしていない。当然他の「緑の家」のオーナーさんは違うプランで違う使い方している人も多い。
「緑の家」の優れているところはオーナーさんに合った住まい方を選べかつその効果が発揮しやすいことである。