25年後の発泡プラスチック系断熱性能 

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試験は公的機関で行われている。フェノール系断熱材の安定性のお墨付きが得られたようだ。

今年の長期連載の「思考の組み立て方・・・吸放湿物質と夏型壁内結露」では、

「緑の家」で外張り断熱で使われるフォノールフォーム(ネオマフォーム)の夏型結露に対する優位性を紹介してきた。
しかし発泡プラスチック系断熱材は年数と共に内部空隙が空気と置き換わり性能が落ちる経年劣化が懸念されていたがこの度ネオマフォームが第三者測定期間機関でそれを覆した。

先日旭化成のAさんがお見えになり上のカタログ類を紹介された。
その中に「25年後のネオマフォーム50mm厚の平均断熱性能試験結果がカタログ値と同じだった」との説明があった。

ご存じ「緑の家」でも外張り断熱部分に使うネオマフォームのカタログに記載されたλ(熱伝導率)=0.020w/mKと市販される建築用断熱材の中ではほぼ最高値となっている。これが25年平均でも同じλということ。劣化がないわけではない。製品製造後直ぐのλが0.019以下であるために、当初の数年間はカタログ値よりよい数値で推移して、ゆっくり劣化するので25年間の平均λがカタログ値と同じになる。

つまりカタログ値には無理をした数値を入れることはしないで、試験値より確実に安全側をみることで余裕をもたせ、かつ製造方法で工夫し劣化が遅くなるようにしている。流石フォノールフォーム断熱材を最初に一般市販化したメーカーさんである。

これで繊維系断熱材メーカーさんが言う「発泡プラスチック系断熱材の経年劣化は問題」がネオマフォームにおいてはあてはまらなくなる。25年間でこの数値だから、50年後でもカタログ値に対し5%程度の劣化だと思われるが、このあたりも追加発表してほしい。

Aさんは他の発泡プラスチック系断熱材の試験結果も持っていらっしゃたので見せて頂いたが、他の発泡プラスチック系断熱材は軒並みカタログ値より悪い結果となっていた。ただこのような試験結果では条件が一定でないため鵜呑みにはできないが、少なくともネオマフォームは一般に公表しているので自信があるのだろう。

事務所設立から23年間使用しているネオマフォーム(フェノール系断熱材)を今後も外貼り断熱材として使いたい。

そしてAさんには

「夏型壁内結露に対する発泡プラスチック系断熱材外貼りの優位性」の研究を行って頂けるようにお願いした。是非この機会に研究公表してほしい。

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コメント

  1. Asama より:

    匿名様

     コメントありがとうございます。

    >予算が許せば、充填断熱もフェノール系にしたほうがよいのでしょうか?

    いいえ、現場発泡系は好みではありませんし、充填部分は入り組んでおりますのでGWのような物がよいと思います。今度現場発泡系は吸放湿の点からも考えてみます。

    >GWと組み合わせる利点は、コストと、充填しやすいという点でしょうか?

    適材適所です。無論価格は重要です。

    >次は施工での利点や緑の家の方針なども解説いただけることを楽しみにしております。

    施工は各断熱材メーカーの標準施工図がよいと思われます。新潟県での施工注意点は既に載せてあるのでご覧ください。

  2. 匿名 より:

    予算が許せば、充填断熱もフェノール系にしたほうがよいのでしょうか?
    GWと組み合わせる利点は、コストと、充填しやすいという点でしょうか?
    素材の利点はわかりましたので、次は施工での利点や緑の家の方針なども解説いただけることを楽しみにしております。