今夏は簾(すだれ)を科学する。その3

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TEXT スタッフM

ラーメン接合の窓の多い伊達の家では東南全ての窓に外部ブラインドを設置し日射を防ぐ。

簾に高い日射遮蔽性能があることはその1その2でお話しした。

では外部ブラインドはどうだろうか?

簾と同様に科学的に検証をする。尚、その1、その2と同じようにこのページでは日射遮蔽は直射光のみを扱う。

想定する外部ブラインド

図(左)想定する外部ブラインドの断面 。図(右)計算をわかりやすくするための模式図。(単位mm)

図(左)のような羽の幅80mm、間隔70mmの外部ブラインドを想定する。こちらは現在市販されている外部ブラインド(オスモ社のヴァレーマ)を参考に設定。最初に基本形である羽を水平にした状態を考える。

上下の羽の端部を結ぶ直線の仰角(水平からの角度)は41°であり、この仰角(水平からの角度)より太陽高度が低くなると日射は外部ブラインドを通過する。ただし、41°とは日射が外部ブラインドに対して直角方向から入る場合。外部ブラインドに対して斜め方向から入る場合は、日射を遮る限界仰角(水平からの角度)は直角方向の場合より小さくなり、日射は通過しづらくなる。

実際の太陽の動きに合わせて日射遮蔽を考えるために、日射の方向と日射を遮る限界仰角(水平からの角度)の関係を計算する。計算をわかりやすくするため、羽を図(右)のような断面で考える。断面の形状は日射遮蔽に対して厳しくなるように設定。

日射遮蔽の計算式と考え方

日射を遮る限界仰角の計算。日射の差し込む角度によって日射を遮る部分が変化する。

考え方は簾の時と同じ。外部ブラインドに対する日射の方向が変化すると、図のように日射を遮る限界仰角(水平からの角度)が変化する。

外部ブラインドの隙間を通過する日射の割合の計算。

羽が水平な状態の外部ブラインドでは日射が入りすぎる

実際の太陽の動きとあわせて15分ごとの日射遮蔽率を計算する。

条件は
・外部ブラインドは真南面と真西面に設置した場合を想定。
・外部ブラインドは上で模式化した断面形状。
・外部ブラインドの羽の角度は水平とし、1日中角度を変更しない場合を想定。(有効開口率83.4%)
・太陽の高度と方位は当事務所近辺のものを使用。
・梅雨明け例年の最暑日付近である7月31日。
・直射光について検討。

外部ブラインドと簾の日射遮蔽率計算結果。

真南面は簾と同様に外部ブラインドも一日を通して日射遮蔽率100%(但し直射光とし以降同じ)。

真西面は15時15分まで日射遮蔽率100%。
16時00分には日射遮蔽率80%以下となり、17時15分には日射遮蔽率が50%を下回る。

一方、簾は16時00分まで日射遮蔽率100%であり、17時30分で日射遮蔽率80%。

外部ブラインドは簾と比べると日射が通過し始める時間が早く、時間に対して減少する日射遮蔽率も大きい。日射遮蔽率80%以下となる時間は、簾が1.5時間であることに対し、外部ブラインドは3時間となる。

外部ブラインドの羽が水平の状態では、有効開口率が83.4%であるため、太陽高度が低い場合は日射遮蔽率が大きく減少する。

この状態では日射が入りすぎてしまうため、実際の生活では外部ブラインドの羽に角度をつけて日射を防ぐことになるだろう。

そこで、その4で外部ブラインドの羽の角度を変えた場合を検討する。

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