土地条件が90%影響するのが住宅 その2

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「土地条件が90%影響するのが住宅」の その2である。

海を見ながら暮らしたかった。

建物はその土地の環境によって大部分が決まると良く言われる。特に住宅はその土地によって間取りも含めた暮らし方が90%決まると私は思っている。

築102年の「て・こあ」。沢山の抱えきれない想いが引き継がれ、詰まった建物である。

まず「て・こあ」を例に出すと、

「て・こあ」は最寄りの駅から徒歩40分くらいかかり実質徒歩では行けないし、最寄りのバス停まで2分だがバスの間隔は3時間に一本で長岡駅と一日2~3往復となる。これでは日常の足は自家用車となり家族(管理者)分の車の台数(3から4台)が止められる敷地がまず必要。更にこの建物にはお客さんもいらっしゃるので最低8台くらいの駐車場は必須。
積雪は1.2mであるが、土地は少しだけ周囲より高い所(約5m)にあり、水害による水没はないが冬期は4輪駆動車が必要となる。周囲は木々に囲まれており裏山は土砂災害の危険地域であるが、夏期の北側の山颪は大変気持ちがよく、南北に窓があるとこの風が室内を抜けていく。土地価格は安いので薪を沢山おけるし煙も原則も問題無いから薪ストーブが使え、裏山の伐採で発生した樹木は無償の燃料となる。

築28年の拙宅。家の裏手は国道を挟んで海となる。

次ぎに拙宅を例に出すと

市街地から外れているので子供の学校はスクールバスとなる。スーパーやコンビニも歩いて行ける距離にはない。子供のことを考えたら大変な環境であり、必ず幼稚園から中学までは何らかの家族サポートが必要。しかし親はなんとしても海の見える所で暮らしたい・・・。親が海を見て幸せ笑顔なら子も幸せ笑顔という勝手な論理で、自分達が大好きな環境を選ぶ。持論は自分が幸せでなければ他の人も幸せに出来ない。だから業である設計も常に自分がとても幸せなのでそのオーラのまま他の人の家も設計させて頂きたいと思っている。
海が見えるということは、海側に家が建たない環境又は隣家が建っても海が見えるような崖地であるかになるが、拙宅は後者になる。当然崖地では水害による水没は100%なく、その代わり地震時の津波、崖地の崩落の心配をする。
また冬期は毎日が台風状態の強い西風でも家が暖かいように高気密高断熱が基本となる。間取りは海を中心に考え、海側に隣家が建っても海は見えるように窓配置をし、当時子供がいなかったので、子供を授かってからどうにでもなるように各階ワンルームで仕切り無しとなる。であるのでプランは海によってほぼ決まったし、土地単価は海が見えない土地の倍であったため、家の建築費に制約ができることになり当初の床面積は24坪とスモールな戸建てであった。

現在は増築して32坪+車庫5坪程度となる。このようになったのもこの土地を選んだから・・・。

こんな感じで家の内部・仕様にまで影響を及ぼすその土地の条件。しかし土地とは唯一無二であるため土地の選定を間違えるとそこに建てた住宅も手放すことになる。

多くの人に「土地を決めるのに何が決めてだったか?」と伺うと、

最初は月並みの言葉が出てくるが、よくよく事情を聞いていくと、人によって想いはそれぞれ違う。だから人と比べる必要はない。その土地が気に入り決めたときに家の設計も90%終了している。地盤が悪いとか日当たりが悪いとか、塩害があったとしても受け入れられることであったりする。土地が思い通り決まれば家の設計は90%成功であるから私の仕事は残り10%のうち半分の5%であり、4%は工事に携わる人であり、残り1%は・・・その後の運?かな。

最後まで読んで「なんだーもっと科学的な事を期待のに・・・」と思った人には大変申し訳ないが、住宅の土地選びはやはり人の想いが一番強く、影響が大きいと感じている。

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