最近は何かと話題になる中古住宅のリノベーション。そのリノベーションの負担増となる規制強化がされる。
今朝のネットニュース(朝日新聞)によると、今後一般住宅においても建物の解体やリフォーム、リノベーションを行う時に、アスベスト(石綿)の飛散による健康被害を防ぐために、厚生労働省が規制を強化する方針を固めたとのこと。
現在は使われていないが過去アスベスト(石綿)が使われた住宅用建材は多数あり、20年以上前の住宅ならどこかしらで必ず使われている。
その代表的な住宅の建材類は、
・屋根素材(瓦、スレート、折板)
・外壁素材(サイディング)
・外壁表面塗装(リシン吹きつけ塗装、樹脂塗装)
・軒裏素材(フレキシブルボード、ケイカル板)
・煙突素材(石綿煙突、眼鏡石)
・内装用壁紙(一部クロス)
・内装用ビニール床(樹脂タイル)
であり、国交省のHPによると
ありとあらゆる部分に使われていたことがわかる。
但しこの中でリノベーション、リフォーム、解体でその対策に最も処理コストがかかるのがレベル1とレベル2に分類される現場で固めて使かわれたアスベスト混入建材である。
サイディングや屋根瓦などは組み立て品なので分離が可能で、撤去時に飛散することが少ない。よってその対策は比較的安価にできるが、吹きつけ断熱材・耐火材や塗装の中に混入している場合、それを除去するときに剥離させ小さく切り分けなければならないが、この時に飛散する可能性が高い。この為吸塵機を使い、周囲を幕で覆い隔離して解体撤去し作業員の防護服も破棄する。よってそのコストは従来の解体費だけの時と同じくらいかかる。つまり解体費用が単純に倍となる。最近携わった「緑の家」でも古いリシン吹き付けの外装だったため解体費用は倍以上に跳ね上がった。
こうなると今までよりリノベーションやリフォームの敷居があがり、中古住宅を購入する事を再考することになる場合も多くなる。つまりリフォーム、リノベーション時だけで無く将来転売や解体するときに、まだ残っているアスベストの撤去費用が大きくかかる恐れがある。
「そんなの安い解体業者さんを選んでやってもらえば良いのでは・・・」
との意見もあるだろう。しかし他の法律とちがい、廃棄物処理法は最終的にはその持ち主に責任があることになっている。例えば解体業者さんが安価で受けたが故に違法に処理した廃棄物は、その業者さんが廃業、倒産などして存在しなくなった場合で且つ責任がとれなくなった状況では、その廃棄物の元々の所有者が引き取る又は処分することになっている・・・とのこと。川上までさかのぼれる法律となっている。つまり適当に処理すると必ずその廃棄物の出し主にペナルティーがくるのである。この時出し主とは、解体を発注した人=建物のオーナーである。それでなくとも飛散により近隣さんにご迷惑をかけたとなると後々問題になるはず。逆の立場を考えればわかるが、仮にお隣さんが古いリシンの吹き付け塗装の解体を何の対策もせずに行っていたと後でわかったら貴方はどう思うだろう。怒りで訴えたくなるはず。
一方70年以上前の建物なら逆にアスベスト混入がすくない。中途半端な20年~70年前の建物に多く含まれている。また2004年以前(15年前)でもはまだ外装材(屋根、外壁、軒天)に普通に含まれていた。中古住宅のリフォームやリノベーションを安易に考えると後々火傷をする事もあるので気をつけてほしい。
ちなみに・・・今の新築住宅にはこのようなアスベスト建材は原則含まれていない。となると凄く古い家か真新しい家がアスベストレスと言える。