笹越橋の家 気密シート

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気密シート施工の始まった現場。基本に忠実に気密コンセントボックスで気密処理する。

「緑の家」は超高断熱高気密である。断熱は無論だが気密と防湿という最も大事な性能を維持するのは上の写真のJISA 6111:2016準拠の気密シート(0.2mm厚ポリエチレンフィルム )を必ず使用するし、22年間一度も省略したことはない。

気密シートは原則重ねで連続させる。しかし重ね処理が適当でない箇所は気密テープ処理となる。3本並ぶ梁の内1本は照明など設置するために計画。

最近は高気密高断熱の建物であってもこのような気密シートで気密と防湿を行わない施工方法が多いが、本州において気密シートの歴史は既に35年以上あり、その安定性は2012年にリノベーションしたR2000+で実証されている

一方いまや3.11の事故の防護服で有名になった「タイベック」と言われる高機能の合成高分子化学シートの透湿防水シートは、この35年に2度の大きな問題が発覚している。当然現在の「タイベック」はその改善がされているが、30年前に建築した拙宅をはじめ当時最新の高機能化学シート「タイベック」を誇らしく使った建物は、現在不安をかかえて過ごすことになっている。

24年程度で破れて防水機能が全くなったタイベック。2011年撮影。

つまり・・・最新科学を駆使した人工材料は、予期せぬ欠点が将来指摘されることがあり、住宅のような35年スパンを考える設計には最新技術を使うことには慎重になる必要があると学んだのである。そこから高気密高断熱の根幹を支える気密、防湿シートは、所謂枯れた単機能の材料が良く、気密と断熱を同時にかなえる現場吹き付け断熱材や、防湿と透湿を同時にかなえる合成高分子素材のシートの使用は慎重になる。何故かは・・・これらの素材は何故か数年ごとに最新素材にバージョンアップするが、バージョンアップは欠点の補完時にも行われるからである。一方気密シートや気密テープ(ブチル系)はここ20年ほど全くバージョンアップされない。つまり安定しているので改良の必要がないともいえる。

1階と2階の階間とよばれる懐にある合板耐力壁に空けられた穴・・・。これは先日お伝えした2階床下暖房(建て主さんのご希望)への供給穴である。合わせ梁背が450mmを超えるので、この部分へは暖気が入り難い。そこでこのような穴を空けて積極的に暖気をいれるのである。

笹越橋の家の床下エアコン模式図

その暖気は2階バルコニー出入り口下のスリットから吹き出されコールドドラフトを防止し超高断熱の快適性を最大限発揮する。

ピンク色辺りに細いスリットが設けられる。

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