規矩術の古書とサンスケ

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otomo vie centのリノベーションで、蔵から出てきた古書「規矩術階梯」。なんと明治15年頃書籍である。

明治15年というと今から138年前で、明治維新から直ぐのことである。この時に今のような大量に刷れる印刷機はまだない。そのためこのような書籍の販売数は少量に限られていたはずである。

表紙裏紙が剥がれ全く違う書籍の表紙があらわれている。紙が貴重な時代。

聞けばこのotomo vie centの数代前の主は棟梁だったとのこと。この書籍があった蔵は一度曳家されその時の多くの物が破棄された。その中でこれが残されたのはやはり棄てがたい何かがあったからだろう。さらに何代か大工職が続いたので、なんと「尺」の三角スケールまである。指矩や巻き尺で「尺」表示はいまもあるが、三角スケールで「尺」だけの物は初めて見た。

尺からメートルになる計量法が改訂されたのは1958年。建物は長期的な計画もあるので1966年まで尺を猶予されていたが、私が子供の頃には既に「m」となっていたので、この三角スケールは私の生まれる前の物である。それにしても退色はあるが、まだ使えるほど目盛りは確かである。曲がりも無く変形もないその素材は木の集成材である。そこにメラミン樹脂類のコーティングがされている。この組み合わせは「緑の家」の水回りに使うカウンターでもまだ標準的に採用しており、実績と歴史的な裏付けのある素材である。

おなじみの△形状のサンスケ。基材は木の集成材である。

これらの物をotomo vie centの管理者は処分するつもりだったので、私が引き取り必要な方に渡るようにオークションに安価で出す予定。

こんな図柄や指矩の使い方記載されている。しかし・・・パソコンの無い時代に指矩一つで四方転び柱の墨付けをする大工さんには、卓上ならこっちのテリトリーであるが現場ではまず適わない。それはもう技術と芸術の融合である。

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