吉田の家 擁壁工事開始

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真冬並みの気温で降雪となった17日

昨年の秋に地鎮祭を行っていたが、未だに本格着手ならなかった吉田の家がようやく動き出した。停滞していた理由は地境の確認のためであった。

こんな立派な境界杭でも双方の合意がないと無意味。

新しい分譲地を購入したときには、確定測量図があり自分の敷地境界がはっきりとわかったうえで建築することができる。しかし建て替えや譲り受けた敷地、古くからある敷地を購入した場合、その隣地との境界が確定測量図や覚え書きのような書面にはなっていないことがほとんど。最近の土地売買ではこの確定測量図がほぼ必須になっているが、20年以上前は確定測量図がないまま売買されることも多く、購入してから境界が新たにきまったり、改めて確定測量することもある。多くの人が勘違いしているが土地の境界とは通常隣地との合意のみによってきまり、「境界杭」できまるわけではない。杭は境界の当事者双方の合意があって初めて効力をもち、片方の主張のみでは杭があっても確定境界とはならない。互いの主張が違うと裁判になるが、裁判においてもまずは仲裁から始まる。今回はその確定測量を行うために2ヶ月ほどおくれることになった。

特に擁壁は敷地境界ギリギリつくる事が一般的なので、確定測量を待った方が後々トラブルにならない。

h=720の小さいたかだかの擁壁だが、されど擁壁如何で家に影響が出るときもある。

擁壁の配筋検査は順調に終り特に大きな問題も無い。現場築造擁壁で注意する事は・・・養生期間の確保である。住宅の基礎とはちがい、土を埋め戻した瞬間に応力がかかるのので、土は4週間埋め戻すことは通常出来ない。このあたりを住宅屋さんは間違い、住宅の基礎と同じように脱枠後直ぐに埋め戻す業者さんが多いが、これはNG。もし早期に埋め戻すならコンクリートの強度試験(現場ピースで試験)を行い設計強度に達していること確認するしかない。この時もし設計強度が21N/mm2ならコンクリート強度が直ぐ上がるように呼び強度を30N/mm2以上で打ち込む。今回は所定の養生期間を確保出来、通常の寒中コンクリートの補正さえすれば良いので27N/mm2(住宅の基礎なら36N/mm2)。

雪の日の現場は大変である。

さて随分前のブログで「住宅の基礎コンクリートから放出される水分の推測」を書いている。今読み返してもなかなかためになる内容だなと思う。

基礎コンクリートから放散される水分量を調査した論文。

通常入居時点で基礎から放出される水分は一日あたり5から6Lになる。これは洗濯物より多く、家内では基礎以外で一日あたり水分が12L発生するので、その半分が余計に発生する事を考えると結構多い量となる。であるため入居後一年目は基礎内の梅雨から夏にかけての高湿に気をつける。「緑の家」では床下内に湿度計を設置して頂き、RH(相対湿度)60%を超えるくらいから再熱除湿エアコンによる除湿を行ってもらっている。一度カビが生えると根絶はなかなか大変である。このようにエビデンスを確認し実施してするのは「緑の家」の強み。設計者がそんな根拠を確認し実測をすることがすきなのだ。それだから高基礎で床下収納を初めて24年以上の実績ができる。

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